2016年3月15日 

■底辺、広がる! 興味、増える! JP250スタート!

開幕戦とはいえ、30台のエントリーが集まったJP250。全国統一ライセンス、MFJ公認競技となって国際ライセンス昇格も可能になったことから、人気が集まりそう。

 2016年から本格的にスタートする、250ccスポーツモデルによる新レースカテゴリー「JP250」。地方選手権と全日本選手権併催の2本立てで始まるこのレース、これからのロードレースの可能性を感じさせてくれました。

 カワサキNinja250をはじめ、ホンダCBR250R、ヤマハYZF-R25にKTMのRC250と、市販250ccスポーツバイクの人気がいま、日本のバイク市場をガッチリ支えている。

 2015年の250ccクラスベストセラーになったヤマハYZF-R25は、1年間で約7700台も販売されていて、現代250ccスポーツの先駆であるNinja250も3500台以上、GSR250が2400台、CBR250Rが1300台といったセンだから、そのネイキッド版(MT-25、Z250、250DUKE、CB250F)を含め、250ccスポーツモデル全体で、約2万台近くのバイクが生み出されているのだ。

 ちなみに年間150万台が販売されていた1987年を例に出すと、250ccのベストセラーはヤマハFZR250=約28000台だったから、まだまだだ。けれど、Ninja250Rが発売される08年以前は、このカテゴリーはほぼ壊滅状態だったんだから、250cc市場が復活してバイク業界に活気をくれた、と言っても言い過ぎじゃないのだ。

 人気が出て台数が増えたら、それで競争しようぜ、っていうのは世の常。ホンダはいち早くCBR250Rのワンメイクレースであるドリームカップを開催し、各地のサーキットでは、そのちょっと前からスタートしていたST250やネオスタンダードってクラスにも元気が出てきていた。じゃぁレギュレーション統一して市販250ccスポーツをベースにしたレースにしよう、っていうのがJP250なのだ。

 さらにST250やCBR250Rドリームカップと違うのは、このJP250がMFJ公式種目に認定されていること。各エリア選手権のランキングじゃなく、MFJのランカーとして認定されるし、JP250から国際ライセンス昇格、ってルートも出来上がるのだ。たとえばサーキットライセンス、MFJライセンスを取ってエリアのチャンピオンにでもなったら、その翌年から全日本選手権に出場できちゃうんです。8耐も! コレは大きいよね。

 そのJP250、エリア選手権と全日本選手権併催の「MFJカップ」の2本立てで行われる。そしてこの週末、筑波サーキットと岡山国際サーキットでエリア選手権JP250が、いよいよ開幕したのです。その筑波選手権の開幕戦に行ってきました。

 新クラスのエントリーは30台。昨年までのCBR250Rドリームカップも引き続き行われているため、この台数はリッパ。なんか、独自にやってた草レースっぽいST250が、格式がきちんとした、みたいな雰囲気でした。

 エントリーの顔ぶれはさまざま。ほとんどノーマルの個人エントリーもいれば、ショップチームやレーシングチームの姿もある。CBRカップからのスイッチ組、STクラスからのスイッチ組、それに新規エントリーと、まさに新しいカテゴリー、って感じだ。

 筑波選手権は、午前に予選、午後に決勝、ってスタイル。JP250は、タイムスケジュールのいちばん最後に行われてて、やっぱりこれはメインクラスだな、って感じ。前日のスポーツ走行から天気は曇りだけれど、時々は陽が差す程度で、まだまだ風は冷たかったね。

 予選上位は見慣れた顔ぶれ。ポールポジションはセッション最後で逆転した#69薄井徹也。CBRカップ上位の常連で、このシーズンオフはCBR250R改300ccでもくもくと練習とデータ取りに勤しんでいた。2番手#4吉澤、3番手#1中沢もCBRカップからのスイッチ組。ただし、薄井が引き続きCBRで走るのに対し、吉澤はYZF-R25に、中沢はNinjaに乗り換えての戦い。くー、こういうのが面白いよね。薄井のタイムは1分07秒1で、タイムを出した周に、他マシンにちょっと進路をふさがれていたから1分06秒後半は出ていたと思う。このへんがJP250の筑波でのレコードタイムになりそうだね。

 レースは、ポールポジションの薄井が飛び出すものの、うしろに中沢がはりつく、筑波のCBRカップでは見慣れた光景。すぐに中沢が前に出て、薄井がピタリ追走。抜かないのか、抜けないのか、と思ったら、レース中盤を過ぎた頃から、インフィールドで何度も前に出ている。バックストレッチから最終コーナー、メインストレートは中沢Ninjaが速いし、ヘアピン、ダンロップ下、第2へアピンでは薄井CBRが速い。マシンもライダーもほぼ互角の戦いが9周にわたって続きました。

 結局、レースは最終ラップに薄井が仕掛けるも、第2ヘアピン立ち上がってからのストレートで中沢が前に出て、最終コーナーでアウトからまくった薄井が並びかけた瞬間、フィニッシュ! なんと同着タイムで、中沢がほんの数cm前に出ての決着でした。

 この好レース、きっと全日本ロードレース・筑波大会と併催のMFJカップでも見られるはず。もう一回見たい、他のサーキットも見たい、なんなら次はオレも出たい! って思わせてくれる新しいカテゴリーなのです。

 ちなみに筑波より長距離、ストレートも長い岡山国際の開幕戦では、CBR勢はCBRドリームカップに出てJPにエントリーがなく、決勝は井手翔太(ヒットマンRC甲子園ヤマハ)のYZF-R25がポールtoウィンで勝ちました! 1-2がR25で、3位からズラッとカワサキ勢ってのも興味深いね。

 来週はもてぎ選手権でもJP250クラスが開催されます。下に各エリアのJP250、全日本併催のMFJカップ日程も載せておきましたので、いちど見に行ってみてください。数年後の日本のトップライダーが育ってますよぉ♪  

(取材・文:中村浩史)
            
「JP250」各エリア選手権の2016年スケジュール
■十勝選手権
1:5/22 2:7/17 3:8/28 4:10/9
■SUGO選手権
1:4/3 2:5/22 3:6/25(全日本併催) 4:8/14 5:10/9
■もてぎ選手権
1:3/20 2:4/16 3:7/10 4:8/20(全日本併催) 5:9/24
■筑波選手権
1:3/12 2:4/9(全日本併催) 3:6/4 4:7/16 5:10/29
■鈴鹿選手権
1:3/27 2:5/8 3:9/18 4:11/5(全日本併催) 5:11/27
■岡山選手権
1:3/13 2:5/1 3:7/10 4:8/14 5:9/24(全日本併催) 6:11/20
■九州選手権
1:4/3(SPA直入) 2:5/8(オートポリス) 3:6/11(オートポリス・日本併催) 4:7/3(HSR九州) 5:7/24(SPA直入) 6:10/9(オートポリス)



Ninja250で優勝した#1中沢寿寛。CBRカップでも各選手権で上位争いの常連だった。2015年CBR250Rグランドチャンピオンシップでは2位入賞を果たしている。 筑波マイスターこと#69薄井徹也はCBR250R(改300cc)でタイム同着、数cm差の2位。中沢が国際ライセンスのため、国内クラスでは優勝だが「負けです、口惜しい」(薄井)


筑波ではバックストレッチ、最終コーナー、メインストレートでNinja、インフィールドでCBRが速かった。ヘアピンからダンロップコーナーでの薄井のアタックは見ごたえあった! 3位争いのバトルを制したのはYZF-R25の#61折川。写真の#24は250ccのまま参戦し、6位入賞を果たした杉山で、ストレートのハンディをコーナーでハネ返していた。


写真手前からカワサキNinja250、ヤマハYZF-R25、ホンダCBR250R(改300cc)がならぶ表彰台。えーと、スズキは来年ですか? おなじみ中野真矢さん率いる56レーシングはCBR250Rカップへ継続参戦。J-GP3クラスへの挑戦もスタート。