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原付二種(G2)の理想郷を目指す”G2連邦”のピンキー高橋です。日本では昨年の東京モーターショーでお披露目となった待望のモデル「Z125 PRO」に試乗させていただく機会に恵まれました! カワサキにとって2009年のKLX125/Dトラッカー125以来となる原二のニューモデル、果たしてどんな走りをするのか、どんな魅力が備わっているのでしょうか?

■試乗:ピンキー高橋
■撮影:依田 麗 
■問合せ:カワサキモータースジャパン お客様相談室
■TEL:0120-400-819 http://www.kawasaki-motors.com/mc/
 

 
成りは小さくても心昂る演出、
仕上がりは兄貴譲り!

 旧くは1970年代のKV75、そして1980年代にオンロードとオフロードをミックスしたコースでレースする”スーパーバイカーズ”のマシンをイメージして生まれたKS-Ⅰ/Ⅱを祖とする、小径タイヤを履く”カワサキ・ミニバイク”の系譜。1990年のKSR-Ⅰ/Ⅱでタイヤ径は12インチとなり、2002年のKSR110ではエンジンが4ストロークに。2009年、日本国内の排出ガス規制によって”ファイナルカラー”を最後にカワサキ・ミニバイクは国内のラインナップから姿を消してしまいましたが、その後、外装デザインの変更を受けたKSR110はカワサキの逆輸入車を扱うブライトから販売されていました。
 
 そして2015年秋、Z125 PROがワールドプレミア。2016年モデルとして今春、日本でも正規モデルとして販売が開始されました。前後12インチ・タイヤを基本とするディメンションはKSRシリーズとほぼ共通ながら、”Ninja”とともにカワサキの二大ブランドを成す”Z”シリーズのネーミングからもおわかりの通り、ネイキッド・スポーツとしてのキャラクターを全面に出しているのがZ125 PRO最大の特徴と言えるでしょう。ここ最近のZシリーズと言えばとても先鋭的な”ストリート・ファイター”としてブランド・イメージが統一されていますが、その末弟となるZ125 PROも見事にイメージが受け継がれています。

 

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ライダーの身長は173cm。写真の上でクリックすると違う足つき性が見られます。

 
 Zの名を名乗るからには、外観のイメージを変えるだけに終わらせないのがカワサキらしいところ。KSR時代に110だったエンジンは、原二のフルスケールとなる125に。燃料供給はF.I.になっており、型式の頭につく”2BJ”からもおわかりの通り、排出ガスは最新の平成28年規制をパスしております。そして車体。バックボーン・タイプのフレームを踏襲しながら、リアサスは右側にオフセットされるという兄貴モデルを彷彿とさせる設計に。もちろん、フロントフォークは倒立式が装着されます。パワーアップに伴う分でしょうか、KSRに対しリアタイヤ&ホイールが1サイズアップとなりました。始動がセルフスターターになったり、乗車定員が2名になった点もトピックです。ちなみに車名の”PRO”とはマニュアル・ミッション搭載車を表すもの。国内はこの1グレードのみですが、海外には自動遠心クラッチを採用した”Z125″というモデルも存在します。
 
 私、カワサキの原二小径ホイール・モデルは1990年の発売直後にKSR-Ⅱを手に入れたこともあって個人的に思い入れがあり、Z125 PROは興味津々。国内最後となったKSR110の2008年モデル以来となるカワサキ・ミニの試乗となりました。全長わずか1700mmのコンパクトな車体とは裏腹にライディング・ポジションは、少なくとも身長173cmの私に窮屈感はありませんでした。硬からず柔らすぎることもない適度な反発力のあるシートはそこそこ肉厚もあります。シフトチェンジ・ペダルにリンケージを使うなど、若干後ろ気味に設定されたステップは細身のバーと相まってスポーティ。小径タイヤのミニバイクにありがちなリアブレーキ・ペダルの踏みづらさなども感じません。シュラウドは内腿が吸い付くようなニーグリップしやすい形状になっています。
 
 メーターパネルも上級モデルを彷彿とさせるアナログ・タコ&デジタル・スピードのコンビに。さらに、シフトポジションインジケーターも備わるという贅沢さ! 5速、6速ギアが欲しくなってしまう装備です。
 

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低く身構え、眼光鋭いヘッドライト周りはストリートファイターの挑戦的キャラクターを演出。下部にはポジションランプも備わる。デザインのアクセントとなっているシュラウドは、1000を筆頭とするZシリーズ共通のアイテム。 ライセンスプレートを別途ステーで吊り、ショート・オーバーハングを演出するリア周り。先細りするカウルの先端に収まるテールランプにはLEDを採用。”Z”の文字がモチーフか? ショート・オーバーハングを演出するため、シートのタンデム部は極力絞り込まれているが、見た目のイメージとは裏腹の居住性を確保。イグニッションスイッチは車体側(タンク部)にある。
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アナログとデジタルを組み合わせたメーターパネル。デジタル部にはバーグラフの燃料計、ギアポジションインジケーターが備わる。時計の文字は小さめで、夜間、老視のライダーは見づらいかも。 リアショックはスーパーバイク・Ninja ZX-10Rのように、やや右側にオフセット。プリロードの調整機能が備わり、タンデム走行時にはセッティングを変更することが可能となっている。 ハンドリングの向上といったメリットをもたらすマスの集中化に寄与するマフラー。サイレンサーはエンジン下部に。日本仕様は触媒を2個備える。エキゾーストパイプはステンレス製。
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シンプルで高い信頼性を誇る空冷124ccの単気筒エンジンを搭載。セルフスターターが備わる。日本仕様はマニュアルクラッチのみのラインナップとなる。 フロントにはφ200mmのペタルディスクを採用。キャリパーはNISSIN製の1ポット。インナーチューブφ30mmの倒立フォークは100mmのストローク量。トップブリッジは軽量アルミ製。 リアはφ184mmのペタルディスクを採用。タイヤはKSRシリーズに対し1サイズ太くなった。スイングアームはタンデム走行を考慮し、剛性の高いボックス構造に。

 
 自動クラッチ仕様のボトムニュートラルに対し、通常の1ダウン・3アップのシフトを1速に入れ発進。言うまでもありませんが扱い易く、レッドゾーンまでスムーズに吹けあがっていきます。125ccとしては標準的なパワー”感”ではありますが、燃料マッピングなどの絶妙なセッティングによるものか、フィーリングは良く、街中などを普通に流していても愉快な気分に。また、加速中の吸気音的サウンドも心昂らせてくれます。小さな成りでも五感を刺激するとでも申しましょうか、Zを名乗るだけに、そのあたりはエンジニアの方々も拘られたのではないかと思われます。
 
 原二クラスへ真っ先に倒立フォークを投入したカワサキ、足まわりの完成度の高さも感じます。しっかりとした粘りを有し、ショートホイールベースにありがちな不快なピッチングも抑えられ、路面のうねりをしっとりといなしていくような乗り心地です。想像以上に上質な仕上がりでした。
 
 今回は都心部や郊外など、トータルで200キロほど走りました。シートは形状も良いのでしょう、長時間座っていてもお尻が痛くなることはありませんでした。きっと、ロングツーリングしても楽しいバイクでしょう。でも、やはりそのストリートファイター的スタイルで、街中を小気味よく走り回るのがZ125 PROの楽しみ方ではないでしょうか? 車体もコンパクトなので裏路地にも入りやすいし、取り回しもラクだし駐車スペースもとりませんし(東京都内はまだまだ二輪駐輪場はすべてのエリアに確保されているワけではありませんが……)、積極的に都市部に乗り入れてみたくなるバイクです。タンデム・ライディングも楽しいと思いますよ。
 
(試乗:ピンキー高橋)
 

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●Z125 PRO(2016年モデル)主要諸元
 
■型式:2BJ-BR125H ■全長×全幅×全高:1,700×750×1,005 mm■ホイールベース:1,175mm ■最低地上高:155mm ■シート高:780mm ■キャスター/トレール :26°/69mm ■車両重量:102kg ■燃料消費率 :50.0 km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)56.0 km/L(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)■最小回転半径:2.1 m■燃料タンク容量:7.4L
 
■エンジン種類/弁方式:空冷4ストローク単気筒/SOHC 2バルブ ■総排気量:124 cm3■ボア×ストローク:56.0×50.6mm ■圧縮比:9.8 ■潤滑方式 :ウエットサンプ■エンジンオイル容量:1.0 L■燃料供給方式:フューエルインジェクション■点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火) ■始動方式:セルフスターター■最高出力:7.1 kW[9.7 PS]/8,000 rpm■最大トルク:9.6 N・m[0.98 kgf ]/6,000 rpm■トランスミッション形式:常噛4段リターン■クラッチ形式:湿式多板
 
■フレーム形式:バックボーン■懸架方式(前/後):テレスコピック(インナーチューブ径30 mm)/スイングアーム■ホイールトラベル(前/後):100 mm/104 mm■タイヤ(前/後):100/90-12 49J /120/70-12 51L ■ホイールサイズ(前/後):12×MT2.50 /12×MT3.50 ■ブレーキ(前/後):シングルディスク 200mm (外径)/シングルディスク 184mm (外径)■ステアリングアングル(左/右):42°/ 42° ■乗車定員:2名
 
■車体色:キャンディライムグリーン、メタリックグラファイトグレー
■メーカー希望小売価格(消費税込み):345,600 円


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