順逆無一文

第71回『危険だから規制してるんですよね』

 会社のすぐわきに変則4差路の交差点があります。上を高速道路が通っていて、それでなくとも何だか気ぜわしくなる場所でもあります。で、ここの交差点、その手前までずっとUターン禁止なので「ここら辺で戻れないと面倒なことになるな~」と思う頃合いにタイミングよく出てきてしまう場所なんですね。でも、ここもUターンが禁止されている交差点。
 
 首都高速の橋げたのスペースとなっている中央分離帯を挟んで、片側2車線の“本道”が約30度程度の角度で曲がる地点が交差点となっていで、それに対して片側から90度と30度ぐらいでそれぞれ4車線、2本の道路が交わってきている実に変則的な交差点です。
 
 この交差点、Uターン禁止です。でもVターンはOKなんですね。何言ってるんだかわからないでしょうから、ちょっと説明させてもらうと、時計の針で6時から12時方向へ進行しているとして、6時方向に戻るのがUターンなのですが、高速の入り口も直近にある関係で、上りと下り車線が結構離れていて、Uターンというよりも、右折、右折をくり返す感じになってます。さらに話を難しくしているのが変則交差点のため、Uターン方向とは別に、隣にV字ターンの進行方向もあるんです。6時方向から走ってきたとして、4時方向に“鋭角に右折”とでも言うのでしょうか。こちらは禁止ではありません。
 
 あ~面倒くさ。読まれている方はもっと面倒なのでしょうけど…。
 
 この交差点で頻繁に取り締まりが行われてるんですね。Uターン禁止の規制に違反する運転者を取り締まるためにです。説明するのも大変なだけあって、規制が分かりにくいのでしょう、ちょくちょく捕まっています。初めて通る方ならなおさら違反してしまう可能性が高いのは想像に難くありません。
 
 で、何が言いたいかというと、別にUターン禁止を見直せと思っているわけではありません。当然のことながら、Uターン禁止にしているってことは、そこでUターンするのは危険だからなのでしょう。危険なんですよね! 危険だから禁止!! ならば、ちょっと離れた場所から違反するのを待ち構えてなんかいないで、交差点内でUターンをしないように指導をするなり、交通整理にあたるなりが、警察官の役目だと思うのですが。パトカーや白バイで、今や遅しと“規制するほどとても危険”なUターンを止めもせず、犯罪を犯してしまうのを待ってから取り締まる、などというのは“市民の安全を守る”立場の人間としておかしいと思わないのでしょうか。
 
 Uターンする運転者が多いということは、もちろん遵法意識の低い悪質なドライバーも含まれているかもしれませんが、規制が分かりにくいということも違反者が多発する原因なのではないでしょうか。交差点など進行方向が規制された車線に入り込んでしまう直前まで自分が行きたい方向の車線が分からなかったり、渋滞で先が見えずに意思とは別の車線に入ってしまったり、規制が直前までわかりにくい交差点は数多く存在します。この変則交差点も車線規制のレーンに入ってしまうまでその先の規制が分かりにくい状況です。
 
 “危険”な違反をさせてから取り締まるのでは本末転倒。まずは違反をしてしまわないように、ということに心を砕いていただきたいもの。Uターンしてしまったら“危険!”なんですよね! 危険な行為だから禁止しているんですよね!? ならば違反させてから取り締まっている現状はおかしいでしょう。取り締まりという大義名分のため、あえて罪を犯すのを見過ごしてしまっているという意識はないのですか。“危険”を未然に防げる立場にいるというのに。
 
 ちなみに勝手知ったる地元の運転者たちは、一度3時方向に“右折”してからその道でUターンして(行き止まりになっているので自然にUターンして戻ってくるしかない道なんですねここ)さらに元来た道の方へ左折して、信号1回分のひと手間かけて実質的なUターンをしています。“危険な”Uターンをさせて取り締まる暇があるなら、この安全なUターンの方法や「Vターンで迂回できます」などという案内を認知させる方向で知恵を使っていただきたいと思うのですが。
 
 人々に尊敬される警察になりませんか。
 
              ※               
 
 では、今月も困ったチャンたちの所業を諸行無常で。
 
 千葉県警の地域課の巡査は、当て逃げ事故の証拠品を勝手に廃棄、さらには「有力な目撃情報もない」などと虚偽の報告をしたとして懲戒処分。「捜査書類の作成が煩わしかった」ですと。巡査は依願退職。警察官であるとか云々以前に、まっとうに生きている市民としては、許せない行為ですね。当て逃げ犯は捕まえることができたのでしょうか。“証拠隠滅”だけでなく、犯人隠避とかの罪には問えないのでしょうか。警察官が罪を犯したのじゃなくて、犯罪気質の人間が警察官になっていたようなものですね。
 
 ま、それに比べればこちらはまだまだ可愛いもの!? 静岡県警の警察官は、飲酒運転で街路灯に衝突する事故を起こして逮捕されました。ま、最近は良くある話。ですが、なんとそれは秋の全国交通安全運動期間中というから何をかいわんや。しかも逮捕されたのは交通課の警察官ですって。静岡市内の飲食店で同僚と酒を飲み自家用車で帰宅途中の事故でした。同僚の方はどうしたのでしょう。
 
 兵庫県警では、巡査部長が信号無視。それだけならこちらも可愛い事件!? ですが、なんとこの巡査部長、赤信号を無視したところをパトカーに見られてしまい、追跡を振り切って逃走。ナンバー照会で巡査部長の運転が発覚。呼気検査では基準値未満とはいえアルコールも検出されました。飲酒運転、信号無視、逃走のパターンでした。
 
 まあ、昨今の警察官のレベルなのでしょうか。
 
(小宮山幸雄)
 


小宮山幸雄小宮山幸雄

“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は、“閼伽の本人”。 


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