MBHCC B-6

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カメラマン 志位充一
職業はカメラマン。誰にも優しい人柄で、あらゆる方面に幅広い人脈を持つ。愛車SL230でホンモノのSL(蒸気機関車)を追いかけ回す筋金入りの撮り鉄でもある。

第16回「また消える昭和、お別れに行ってきました」
CBR250R
今回は栃木県の烏山、真岡界隈に新旧の車両に会いに行ってきました!

「烏山線を走る昭和生まれのキハ40系気動車が引退」とニュースが報じていました。ひと昔前なら鉄か毎日通勤通学に利用している人しか知らないうちに消えていくのが当たり前でしたが、一般型気動車(ディーゼルカー)の引退が全国版テレビニュースの話題になるとは。改めて世は鉄道ブームなんですね。

 そんなわけで、3月3日のひなまつり(大規模なJR全社のダイヤ改正前日)に消えていく、烏山線キハ40最後の勇姿を見に行こう! 行ってきました、通い慣れたる烏山線界隈に。

 



烏山色
雑木林の間から顔を出す30年以上も走り続けた昭和の気動車。お雛様の日を最後に引退しました。

 JR烏山線は餃子で有名な栃木県宇都宮駅のちょい先、宝積寺駅から烏山駅へ向かう路線です。自宅からは約150キロほど。バイクで日帰りするにはほどよい距離です。下道で4時間ほどですが、まだまだ寒く陽が短いこの季節、一部高速道でショートカットします。

 
 最初の目的地は滝駅付近。駅から徒歩5分ほどに、駅名の由来となった立派な龍門の滝があります。キハ40と絡めて撮影することもできるのですが、手前に道があり、いざその時、車と被ってしまう危険性が高いので、最後ですから万が一を考慮して駅横の踏切付近に陣取ります。

 烏山線には8両のキハ40が所属していて、すべての車両にそれぞれ七福神のマークが付けられています。車体色も烏山色、タラコ色、国鉄色と呼ばれている3つのパターンがあり、どんな組み合わせでやってくるのかも楽しみのひとつです。

 

烏山色-タラコ 国鉄色+烏山色
手前の白地に緑のカラーが烏山線オリジナルカラー。後ろのオレンジは国鉄末期時代の通称タラコ色。 まだ冬景色の中を最後の日までカタンコトンと走るのは国鉄色+タラコ色。ここは有名撮影地でいつも誰かが撮影しています。今後訪れる人も減って静かになるかな? 地元の人にはそれがいいのかな?

 そんな楽しみも3月3日まで。蓄電してモーターで走る最新鋭のアキュームという電車に置き換えられるそうです。毎日利用する地元のみなさんやJR東日本にしてみれば、ガーガーうるさく、メンテナンスに手がかかる旧型気動車よりも、静かで加減速性能も効率も優れた新型電車の方がいいのは解っているのですが、写欲をそそりません。またバイクで行きたい場所が、ひとつ消えしまうのです。などと物思いにふけっていると踏切が鳴り始め、キハ40がやって来ました。夢中で乱れ撮り! 無事終了。

 ガタンゴトンと走り去る列車を追って、滝駅の次の終点烏山駅へ。列車は折返まで小一時間停車しています。駅の周りからパチパチとスナップ。これも最後かと思うと寂しくなります。

 

烏山駅 烏山駅
終点の烏山駅。なんと今回始めて行きました。立派な駅なんですね。スーツ姿の人までいました。サボり? 新しいはアキュームここで充電をして宇都宮に戻ります。
桜 道
真岡鉄道に移動の途中に梅が見事でついパチリ。 栃木には広い空がありますな! もうすぐ一面緑に。

 撮影後は近所のコンビニでコーヒーブレイク。心身共に温まったところで次の撮影地に移動です。

 次は有名な撮影地で、ご同業の方もたくさんご来場ですが、気温は一桁。さすがにバイクは私だけのようです。
 四輪よりも停める場所が比較的簡単だし、機動性の高いバイクは撮り鉄の強力な相棒なのですが、寒い時期に列車を待つのは厳しい。体中に使い捨てカイロを装備しているのですが、それでもハトのように歩き回って寒さを紛らわします。

 
 そうこうしているうちにキハ40がやってきて、寒さも忘れて乱れ撃ち。振り向きざまに本当に最後の一枚。走り去る後ろ姿に「あ〜、これで最後か。今まで楽しませてくれてありがとう」と心の中でつぶやき、本日ラストの鉄分、真岡鉄道へと移動です。

 

タラコ色
これが自分の烏山線のキハ40の最後のショット! 悲しいなお疲れさま。
益子 益子
真岡鉄道の有名撮影場所、益子の駅のそばですが時間が悪くしばらくこないので一応パチリ! 時間があるので焼き物の街益子まで足を伸ばすと、こんなお狸様に迎えられます。
益子 益子
お雛様前なので益子のメインストリートにはこんなお飾りも。 益子には美味しい酒蔵も。外池酒造は見学もできて、お土産もゲット! まっ自分にね?

 そろそろ陽が落ちそうになる頃、枯れ野の中をぽつんと走る真岡鉄道の気動車を撮影します。
 特になんでもない日ですから、鉄もいません。近所のおばさんに「今日はSL来ないよ」と心配され、訳を話すと「遠くからバイクで来たの? ありがとね」と励まされ、ほっこり。
 帰りがけに真岡駅でSL姿の駅舎を見学。ここにはSL館があり無料で見学できるのですが、今日は火曜日で運悪く休館日でした。

 
 この頃は平成生まれのスタッフと仕事をすることも増えましたが、昭和生まれもまだまだ現役でがんばります。さて、帰りましょうか、下道で昭和の思い出とともに。

 今回の走行距離は約350キロ。北風に向かっての力走でしたが、リッター33キロと好燃費でした。

 

鉄橋 SL
真岡鉄道の桜の名所には、川がないのに鉄橋が。いい具合にくちています。昔は川があったのかな? SLはやはり冬がいいですね。煙の量が多く迫力満点! これは前に撮影したもの。コチラは更に古いのに残り、気動車は消えていくとは。
真岡 真岡
真岡駅は外観もSLの形のSLキューロク館が隣接。見学無料。土日休日はc11型機関車が空気の力で一日3回走ります。 走り終わった機関車はガラス張りの車庫にてお休みになります。外から見ても渋いですね。

■取材協力 ホンダモーターサイクルジャパンアライヘルメットラフ&ロード
   
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