読者登録 | 個人情報について | 免責事項 | 著作権に関して
カメラマン 志位充一 職業はカメラマン。誰にも優しい人柄で、あらゆる方面に幅広い人脈を持つ。愛車SL230でホンモノのSL(蒸気機関車)を追いかけ回す筋金入りの撮り鉄でもある。
「烏山線を走る昭和生まれのキハ40系気動車が引退」とニュースが報じていました。ひと昔前なら鉄か毎日通勤通学に利用している人しか知らないうちに消えていくのが当たり前でしたが、一般型気動車(ディーゼルカー)の引退が全国版テレビニュースの話題になるとは。改めて世は鉄道ブームなんですね。 そんなわけで、3月3日のひなまつり(大規模なJR全社のダイヤ改正前日)に消えていく、烏山線キハ40最後の勇姿を見に行こう! 行ってきました、通い慣れたる烏山線界隈に。
JR烏山線は餃子で有名な栃木県宇都宮駅のちょい先、宝積寺駅から烏山駅へ向かう路線です。自宅からは約150キロほど。バイクで日帰りするにはほどよい距離です。下道で4時間ほどですが、まだまだ寒く陽が短いこの季節、一部高速道でショートカットします。 最初の目的地は滝駅付近。駅から徒歩5分ほどに、駅名の由来となった立派な龍門の滝があります。キハ40と絡めて撮影することもできるのですが、手前に道があり、いざその時、車と被ってしまう危険性が高いので、最後ですから万が一を考慮して駅横の踏切付近に陣取ります。 烏山線には8両のキハ40が所属していて、すべての車両にそれぞれ七福神のマークが付けられています。車体色も烏山色、タラコ色、国鉄色と呼ばれている3つのパターンがあり、どんな組み合わせでやってくるのかも楽しみのひとつです。
そんな楽しみも3月3日まで。蓄電してモーターで走る最新鋭のアキュームという電車に置き換えられるそうです。毎日利用する地元のみなさんやJR東日本にしてみれば、ガーガーうるさく、メンテナンスに手がかかる旧型気動車よりも、静かで加減速性能も効率も優れた新型電車の方がいいのは解っているのですが、写欲をそそりません。またバイクで行きたい場所が、ひとつ消えしまうのです。などと物思いにふけっていると踏切が鳴り始め、キハ40がやって来ました。夢中で乱れ撮り! 無事終了。 ガタンゴトンと走り去る列車を追って、滝駅の次の終点烏山駅へ。列車は折返まで小一時間停車しています。駅の周りからパチパチとスナップ。これも最後かと思うと寂しくなります。
撮影後は近所のコンビニでコーヒーブレイク。心身共に温まったところで次の撮影地に移動です。 次は有名な撮影地で、ご同業の方もたくさんご来場ですが、気温は一桁。さすがにバイクは私だけのようです。 四輪よりも停める場所が比較的簡単だし、機動性の高いバイクは撮り鉄の強力な相棒なのですが、寒い時期に列車を待つのは厳しい。体中に使い捨てカイロを装備しているのですが、それでもハトのように歩き回って寒さを紛らわします。 そうこうしているうちにキハ40がやってきて、寒さも忘れて乱れ撃ち。振り向きざまに本当に最後の一枚。走り去る後ろ姿に「あ〜、これで最後か。今まで楽しませてくれてありがとう」と心の中でつぶやき、本日ラストの鉄分、真岡鉄道へと移動です。
そろそろ陽が落ちそうになる頃、枯れ野の中をぽつんと走る真岡鉄道の気動車を撮影します。 特になんでもない日ですから、鉄もいません。近所のおばさんに「今日はSL来ないよ」と心配され、訳を話すと「遠くからバイクで来たの? ありがとね」と励まされ、ほっこり。 帰りがけに真岡駅でSL姿の駅舎を見学。ここにはSL館があり無料で見学できるのですが、今日は火曜日で運悪く休館日でした。 この頃は平成生まれのスタッフと仕事をすることも増えましたが、昭和生まれもまだまだ現役でがんばります。さて、帰りましょうか、下道で昭和の思い出とともに。 今回の走行距離は約350キロ。北風に向かっての力走でしたが、リッター33キロと好燃費でした。