高度が下がっていくのが体感的にわかる。
完全に寝不足であるはずなのに持ち合わせた野生の感覚は研ぎ澄まされたように覚醒している。ドバイはもう目の前だ。
ほどなくして機体は着陸の態勢にはいった。
目の前のモニター映像を機外に設置されたカメラに切り替え外の様子を伺う。
外はまだ暗い。モニター越しに滑走路の誘導灯が近づいてくる。
そして軽い衝撃とともに着陸。オレを乗せたジャンボ機は無事ドバイの地に降り立った。
アラブ首長国連邦の首都、ドバイ。
ドバイと言えば金持ちのリゾート地、エアコンなしでは生活できない街、そして……
高須クリニック。いや、最後のはどうでもいい。忘れてくれ。
昼間の気温は軽く40度を超える灼熱の地であるが空港内は適温に保たれていて快適そのものである。飛行機を降りるとさっそく手荷物の検査が行われた。成田で一度、経験済みだ。なんの問題もない。
そう思っていた矢先、金属探知のゲートに入ったとたんアラームが鳴り響いた。
屈強な体格をした係員がこっちへ来いと手招きをする。
決してやましい事があるわけではないので堂々としていればいいのだがやはり
怖い。
体の隅々まで調べられた結果、ジーパンに付属している金具が原因だったようだ。
成田ではすんなり通過したというのに……海外のそれは感度が高いのだろうか。
手荷物検査を通過し空港ターミナルに入るとそこは人種のるつぼだった。
早朝にもかかわらず世界中から集まった人たちで賑わっている。さすがドバイ。
マンチェスター行きの搭乗は4時間後。それまでこの空港内で過ごすことになる。
ひとまずはタバコが吸いたい。喫煙できる場所を探して空港内を歩いた。
高級ブランドを取り扱う免税店が立ち並んでいる。タバコを専門に扱っている店もある。しかも日本で買うよりも安い。
おっと、忘れてはいけない。オレの腕時計は日本時間のままだ。このままウッカリ搭乗時間を間違えたりしてはシャレにならない。時刻を合わせるために空港内に設置してある時計に目をやる。んっ!?……おおっ!!さすがというか、やはりというか。
空港内に設置してある時計はすべてROLEX。スバラシイ!