第18回 栃木南部・茨城の温泉
気がつくと3月も終わり、季節は冬から春になっていた。別冊の制作や新雑誌「Gun Professionals」の創刊準備などが重なり、昨年の10月下旬に岩手・花巻方面にツーリングに行って以来、ツーリングに出かけられなかった。愛車ジェベル250XCも、11月にオイル交換を行なってから今まで4000kmも走っていない。こんなことバイクに乗り始めてから初めてのことだった。これではイカンということで、温泉の未踏地域があり、かつ雪の心配のない地域ということで、日帰りで栃木県南部に出かけることにした。
前日の夜まで行き先は悩んでいたのだが、とりあえず現場に行ってみようということで、午前8時ちょうどに自宅を出発。比較的に流れのいい国道20号線を走り、永福ICから首都高に乗り、東北自動車道を目指す。途中激しい渋滞もなく、首都高から東北自動車道に合流。
久しぶりの高速道路にちょっと緊張しながらも、スムーズに午前9時45分に羽生PAに到着。ここで最初の目的地をセレクト。迷った挙句、北関東自動車道の佐野田沼ICから近い「佐野やすらぎの湯」に決めた。
佐野田沼ICで降りて道の駅「どまんなかたぬま」を左に見て、県道270号線を館林方面に進み、県道237号線に入ってほどなく進んだところに「佐野やすらぎの湯」はあった。
「佐野やすらぎの湯」は佐野厄除け大師で有名な栃木県佐野市にある日帰り入浴施設だ。入湯料は450円だが、期間限定で390円だった。平日の午前中ながらお客さんが多かった。浴室は複数の湯船やサウナが用意された健康ランドのような作りになっており、お目当ての温泉は露天風呂に注がれていた。お湯は無色透明で、泉温が約44℃なので、注がれる時には適温になっていると思われる。この日は気温がやや高いとはいえ、2時間近く走ってきた身体にはジ〜ンと温泉成分がしみてくる。
身体がすっかりリフレッシュし、やっぱりいいね! と思いつつ、次の温泉を目指すことにした。当初埼玉・茨城方面に南下しようかと思ったが、栃木市方面にちょっと北上して柏倉温泉「太子館」に行くことにした。
県道270号線から県道16号線をとおり、国道293号線に進もうとしたところで、佐野ラーメンのお店が目に飛び込んできた。ここは食べておくべきでしょうということで早めの昼食。さっぱりとしたスープと、程よく味付けされて柔らかく煮付けられたチャーシューに大満足。地元食をチャージしたところで柏倉温泉を目指す。
30分ほど走り、葛生に入ったところで柏倉温泉に向かう分岐点を見逃してタイムロス。数キロ走ったところで引き返して、県道210号線と県道126号線の入口を発見し、20分ほど林道を走った先に柏倉温泉があった。
柏倉温泉「太子館」は栃木県栃木市にある温泉旅館だ。鄙びた温泉旅館をイメージして行ったのだが、立派な門をくぐると、左に白壁の旅館があり、その奥に神社のようなものが急峻な裏山の上に建てられている。ちょっと変わった造りに驚かせられながら館内に入る。入湯料は850円。浴室はそれほど大きくないものの、冷鉱泉(この旅館では「霊鉱泉」と記されている)の源泉が注がれた湯船と、春の日差しがたっぷり注ぐ露天風呂が目に入った。
身体を流してから露天風呂へ。無色透明のお湯は適温で、まさに春と言わんばかりの気温と日差しとマッチして実に気持ちいい。しばし浸かった後、内風呂の源泉風呂へ。源泉はやや濁っており、冷鉱泉ながら程よい温度。つい長湯したくなるお湯だ。
旅館を出て、奥にある神社に向かった。絶壁のような斜面に設けられた階段を登ると神社があり、眼下にはのどかな里山が広がっていた。ちょっとした隠れ家的な旅館だ。
身体も心もホッとしたところで、ここからは茨城方面に南下することとなる。栃木市を通過して小山市にある小山・思川(おもいがわ)温泉を目指した。県道75号線から県道31号線に入り、小山市に入ったところで国道4号線が見えたところで場所を確認。ちょっと分かりにくいので、とりあえず国道4号線を宇都宮方面に走り、数分もしないうちに看板が見えてきた。看板に従って左折すると、大きなショッピングモールに入った。ショッピングモール内を奥に進むと温泉が見えてきた。
小山・思川温泉は国道4号線沿いにある日帰り入浴施設だ。実はこの温泉は「おやまゆう〜えんち〜」というCMで有名な小山ゆうえんちの跡地に作られた「おやまゆうえんハーヴェストウォーク」というショッピングモールに隣接しているユニークな温泉だ。ただ、この温泉は小山ゆうえんちが存在していた頃から開業しているようだ。
入湯料700円(土日祝は800円)を払い、和風のシックで落ち着いた館内を進む。浴室は大きくないものの、開放感のある窓からは小山市内を流れる思川が一望できる。まずは露天風呂に浸かり、春めいている思川の河岸を見渡す。温まったところで、内風呂に設けられた源泉風呂に浸かる。泉温は約28℃とのことだが、程よく温められていて、長湯したくなってしまう。
ショッピングモールに隣接されているスーパー銭湯はあるが、小山・思川温泉は本格的に作られている。ショッピングモール内には映画館やフードコートもあるので、ここだけで一日過ごせてしまう(私のお気に入りのブランドであるモンベルが入っているのも得点高し)。ちょっとうらやましくなってしまった。
小川・思川温泉を後にして、国道4号線を古河方面に走って茨城県古河市に入り、国道125号線を下妻方面に進んだすぐのところにあるあさひ温泉に向かった。ちょっと迷って探し出したがやっていなかった。後して調べたところ現在休業中とのこと。ここまで来たのに残念だが仕方ない。
気を取り直して次に向かう。そろそろ夕方に近づいてきたので、向かう先を絞り込まなくてはならない。悩んだ末に国道125号線を進んだ下妻にある「ビアスパークしもつま」に向かうことにした。
国道125号線を下妻方面に30分ほど走り、県道15号線に入ってほどなくしたところに「ビアスパークしもつま」があった。すでに午後4時を回っていたので先に写真を撮ってから館内に入った。「ビアスパークしもつま」は茨城県下妻市にある日帰り入浴施設だ。場内にはホテルや体験農園などが併設されている。入湯料は700円。
程よい広さの内風呂と露天風呂があり、岩風呂風の露天風呂に入る。泉温が約43℃のせいか、無色透明のお湯はちょっと熱め。空冷しながらしばし露天風呂に浸かる。夕闇が迫る空を見つつ、どこに行こうか考えながら時間が過ぎた。
「ビアスパークしもつま」を出たら時間は午後5時になろうとしていた。今日のタイムアウトが迫ってきた。筑波方面に向かうか、古河方面に向かうか迷って、国道125号線を古河方面に戻って、途中にある「八千代グリーンビレッジ憩遊館」に入って今日の締めにすることにした。
国道125号線を戻り、途中迷ったが午後5時40分過ぎに到着。先に写真を撮ってから入館し、券売機で入湯料を払おうとしたら通常夜間600円が450円になっていた。ラッキーと思いながら脱衣場で服を脱いでいたら、壁に貼ってある注意書きが目に入った。
「…ポンプの故障のため、当分の間、沸かし湯での営業となります。入館料は温泉として営業が再開できるまでの間は、下記の料金でお安くご利用いただけます…」
つまり、湯船のお湯は温泉ではないとのこと。何だよ! 入湯料が安かったのはそんな訳かよ! 入口に張っておけよ! と叫びかかったが、入湯料払ったし、服も脱いでしまったので、黙って入ることした。このお湯が温泉だったらな〜と思いつつ、今日最後にお湯に浸かった。ここは入湯数にカウントせず、いつかリベンジを図ることにした。
帰り際、入口付近をよく見ると脱衣場と同じ張り紙がしてあった。外に出ると日がすっかり落ちていた。今日の温泉行脚は終了。複雑な気持ちになりつつ「八千代グリーンビレッジ憩遊館」を後にした。その後は国道4号線から国道125号線を進み、県道3号線を走って久喜ICから東北自動車道に入って岐路に着いた。走行距離は約320kmだった。
天気にも恵まれた久しぶり&今年初のツーリング。次回はどこに行こうか迷うところだが、ゴールデンウィークに遠征を考えているので、また日帰りツーリングにしよう。と、その前にまずは行く前にヘルメットを新調しなくては…。
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