HERO‘S 大神 龍
年齢不詳
職業フリーライター
見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。
時折、かかってこい!と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。
愛車はエイプ100、エイプ250、エイプ900。
|
その話は何週間も前から聞いており、その誘いに対してオレは「いいよ」と承諾していた。水曜どうでしょう? というテレビ番組(オレはほとんど見た事がないのだが)のノリでミニバイクで九州の生月島までみんなで軽くジャレあいながら走らないか? と話を持ちかけてきたのは香川のE島氏だった。
軽く「いいよ」とは言ってみたもののその詳細は不明でわかっているのは待ち合わせ場所と時間だけ。当のE島氏にその後の段取りを尋ねても「これは行き当たりばったりのミステリーツアーだから」と答えるばかりで細かい事は特には決めていないとの事。
|
|
|
これが時間をたっぷりと使った独り旅であるならそれもアリとは思うが片道600キロを超える旅路をミニバイクの集団で1泊2日でという事になるとそれなりに計画を立てておかないとかなりの無理が生じる事となる。しかも参加メンバーを見る限りにおいてその道中が軽くジャレあいながらなんてレベルで済むはずがない。
さらに悪い事に当日の朝8時の新門司港待ち合わせにあわせて出発を予定していた前夜の天気は雨。こんな不安要素満載な状況では何らかしらの保険が必要だ。
|
新門司港にて。みか凛がドライブするサポート用トランポからエイトマン仕様のカブ70が登場。
|
|
オレは我が家の秘密兵器を投入した。軽トラである。これにエイプをトランポして新門司まで走る。だがこれには若干の誤算が生じる事となった。オレの計算では軽トラではスピードはでないが下関までの2号線上に存在する3つのバイパス(エイプでは通行できない)によるショートカットで時間的にはそんなにエイプでの自走と変わらないと踏んでいた。しかし結果的には新門司到着までに要した時間は8時間。過去の経験と照らし合わせるとエイプで走った方が2時間近くも速い。
|
|
|
|
港から次なる合流地点を目指してミニバイク組とトランポ組で北九州の街中を走る。
|
改めてバイクと車の機動力の違いを思い知った。まぁ体力的にはかなりラクだったのでそのメリットは大きかったがね。
3時間ほど仮眠して目覚めた朝の7時を回った頃に四国からの参加メンバーがやってきた。彼らは松山から小倉までフェリーで寝てる間に着くという船旅だ。まったく羨ましい。しかも主催のE島氏とスナフキン以外は軽の箱バンにマシンをトランポしての到着である。考える事はみな同じという事か。8時30分に神戸からフェリーでエイトマンが到着するのを待つ。エイトマンはE島氏が持ち込んだカブ70に乗りこの先の道中を走る。全員が揃ったところでオレ達は生月島を目指してスタートした。
|
|
|
|
左 サンバー&ハンターカブ、カブ90のタイトロープ仕様。右 軽トラ&エイプのオオカミ男仕様。今後も状況によってこんな絵面があるかも
|
港に車を置いていけないので途中からの案内役である久留米の黒忍ヨシダ氏宅までトランポ組は車である。途中のコンビニでヨシダ氏と合流、そして隼で飛び入り参加したジョウマンさんを加えラーメン屋で昼食をとりヨシダ邸へ。そこでバイクを下ろし、ここからが本当の意味でのスタートとなる。
|
|
|
|
途中立ち寄ったラーメン屋、その名もモヒカンラーメン。その名のとおり男の従業員は全員、モヒカンで味はメチャウマ!店の前では昼時という事もあって行列ができていた。
|
所々に街中を抜ける佐賀までの道中は当初の予定通りにジャレあいながら走った。朝、港でカブ70を試走させ「これだったら帰り道、自走で神戸まで行けるかも」と言っていたエイトマンは慣れないミニバイクでの長距離走にこの時点ですでに疲れ気味である。
|
その後、35号線から平戸島の近くまで一気に抜ける山道に入る。入り込んだ通称やまびこロードと呼ばれる道は信号もなく交通量も皆無。案内役であるヨシダ氏のニンジャとジョウマンさんの隼は水を得た魚のごとく加速していく。当然、ミニバイクの集団は付いて行けるわけもなくうしろの方でどんぐりの背比べ的な争いを見せる。その中にあってはオレのエイプは別格の速さを見せた。
今回、サポート役として車で走ってくれているみか凛の車に荷物を運んでもらっているのでバイクは全員、空荷である。そのおかげもあって他の面子が上りで四苦八苦する中、オレのエイプはそれなりに加速していき後続を大きく引き離す。
アップダウンを繰り返す中、下りにあってはハンターカブの星野氏とカブ90のセイジさんから“追いついてやる!”的な空気がぷんぷん伝わってくる。そんな空気を感じ取りながらオレは空荷で封印を解かれたエイプを武器に全開モードへ突入していく。
コーナーではアクセルを緩めない。アンダー気味になるところをリヤブレーキをあわせてタックインでコーナーを抜けていく。ええ、かなり本気でした。この時は。そう、オレは結構、大人げないのだ。
|
|
|
|
黒忍ヨシダ宅にてバイクを下ろし、ここからミステリーツアーの本番が始まる。
|
|
|
|
35号の街中を抜け分岐となるコンビニで休憩。ここからミニバイク集団による全力疾走が始まる。
|
そんな最中、2連のヘアピンの入り口で隼に追いついた。一つ目のヘアピンの立ち上がりで空いているアウト側にフロントをねじ込んでみる。狭い峠道なのでそのまま並びかけて次の切り替えしでインを取るなんてマネは危なくてできないがそのままテールツーで次のヘアピンを切り返して抜けていく。まぁ低速のヘアピンでは当然小回りの利くエイプが有利なゆえにできた芸当だったがちょっと面白かったな。しかし、的にされたジョウマンさんはその後、エイプ恐怖症に陥ったらしい。
走ったルートはさすが地元、黒忍ヨシダ氏のお薦めだけあってかなりいいペースで平戸島に到着。そしてここで第二戦が勃発する。生月島大橋を目前にした峠道でE島氏が猛然とダッシュし、星野、セイジの両氏に襲いかかる。両氏もそれに呼応しカブバトルが始まった。さすがにこれにはオレは加わらずうしろで見ていたが実際、カブではありえないスピードでやつらは走り抜けていく。そして夕暮れ時、全員無事に生月島の湾岸ハウスに到着。主であるAki姉と地元の仲間がオレ達を出迎えてくれた。
|
|
|
|
すっかり陽も落ち、あたりが暗くなり始めた頃、全員無事に湾岸ハウスに到着。Aki姉を始めとする地元の仲間の手厚い歓迎を受けた。
|
オレ達は湾岸ハウスにてお互いの労を労いながら乾杯した。バイク乗りの宴は楽しい。だがやはりそれはまず走りありきでこそなのだとこの時改めて実感した。
|
|
|
|
ここまでの苦しくも楽しかった道中に、そして無事辿り着く事ができた事に乾杯!!さあ、思う存分走ったあとは宴会だ!
|
|
湾岸ハウスの看板犬であるダイちゃんにおねだりされるエイトマン。そして出たのはオイラの暴露話。勘弁してくださいよぉ、旦那ぁ。
|
今回の道中も話のネタは数多い。当然、話題はそれに終始すると思われたのだが・・・エイトマンがみんなの知らないオレにまつわる過去の話を始めたあたりから妙な旗色になってきた。オレにしてみればあまりにもバカバカしすぎて特に話す必要もきっかけもなく話さないでいたネタが次々に暴露されていく。しかも悪い事にこれが妙にウケるものだからエイトマンはさらに調子に乗りオレをイジリまくる。少々、オーバーな言い回しではあったが内容自体は事実なのでオレは変に否定したり言い訳する事ができない。
まったく困ったものだ。オレにしてみれば大幅なイメージダウンを強いられたが厳しい条件の中、長い距離を走りきった者同士の宴は終始、笑い声につつまれ深夜遅くまで続いた。
|
|
|
|
オレにとっては半年振りの生月島。久しぶりに会う顔に思わず頬がゆるんでしまう。初めての者は辿り着いた達成感に満足気。
|
|
|
|
翌朝の湾岸ハウス。それぞれが短い時間ながらに島を堪能し帰路についた。まぁその帰り道では各々色々あったようですが。
|
翌朝、参加メンバーの中でこの島を始めて訪れる者達は思い思いに島の外周を走ったりした。
そして帰り道である。帰りはそれぞれの都合でばらばらだ。エイトマンはのんびりと観光しながら新門司を目指しフェリーで帰るしオレは黒忍ヨシダ宅まで戻りそこからは軽トラだ。早朝早くに帰路についた者もいるし、星野氏など明日の仕事が福岡出張で市内に宿をとっており余裕の表情である。当初、どうなる事かと思われたこの旅も結果的にはひじょうに面白いものになった。
桜は散り、本格的に暖かさは増し、GWは目前。そんな今年のGW、オレは北を目指す。
さて次はどのマシンを出すか。
時間はたっぷりある。ガソリンは高いが金はない・・・やはりエイプですかね!?
|
[
第19回へ][第20回][
第21回へ][
バックナンバー目次へ]