ヤマハ発動機


YAMAHA YZF-R1
トラクションコントロールの採用や、ECUセッティング変更が行われた最新R1に乗る

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MotoGPマシン譲りの“クロスプレーンクランクシャフト”を採用するR1の2012年モデルは、ついにトラクションコントロールを採用。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/dKoVsBH7t2s」で直接ご覧ください。

 クロスプレーンタイプのクランクシャフトで話題となったR1の2012年モデルは、単なるカラーチェンジではなく、さらなる速さを求めて進化した。変化の大きな目玉となったのはTCS(トラクションコントロールシステム)を採用したこと。TCSは最小から最大まで6段階選べ、OFFも可能。パワーの特性が選べるDモードは、標準と、低中速で力強くレスポンスが良くなる「A」、雨などのコンディションで心強い穏やかな「B」の3つ。ということで、3種のDモード×TCSのOFFも含めた7モードとユーザーの好みや走行条件に合わせて多彩な選択が可能になった。

 試乗したコースは一方通行のクローズドながら、それほど高速にならない一般道に近いもの。でもセンターラインはないし一般道よりうねりやバンプは少ない。さらにテストするライダー(私)は、レーシングライダーとしての経験のないアベレージライダー。残念ながらTCSの恩恵を語れるほどの条件が揃っていない。とりあえず意地悪くガバっとスロットルを開けてみるとTCSの仕事量を最大にしている時にアンチウイリーがかなり効いているのが判る程度。

 サーキットでライバルに比べてどうだという評価も出来ないので、YZF-R1を一般道で普通に使うという視点に立って乗ってきた。

 じっと顔を眺めると、エアインテークとヘッドライトとポジションランプ(LED化)が入ったいわゆる目が少し鋭くなっている。身長170cm体重69kgが跨って両足のかかとベッタリは無理だけど、土踏まずより前の部分が接地した。ハンドルを握るとスーパースポーツらしく前傾姿勢になる。それでもキツイとは感じなかった。一応、個人的に前傾姿勢で乗るバイクが好きな方だということも記しておく。

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 走りだしても燃料タンク部分がフトモモでホールドしやすい形状だから、体重はそこで支えやすく、ハンドルを握る手に力がかかりにくい。ハンドルに体重をかけ、力強く握るとダメだと判っていても、長距離などで疲れてくるとずっとその状態ではいられないもの。R1のフトモモで挟む部分の形状は無理せず自然にホールド出来てイイカンジだ。

 走り出す前の設定は、TCSの効き最大で、Aモード。車体と一緒にコーナー入り口からペタンと寝て、深いリーンもどんとこいで、曲がる感覚はネイキッドモデルとは違うスーパースポーツモデル独特なもの。これの前に乗っていたFZ8より進入のスピードを上げていっても何もなかったようにスムーズに曲がれた。適当な減速と速度でだら~っと乗るより、高めの速度できっちりブレーキングして速度を調節してメリハリある乗り方をしたほうが気持ちいい。公道だと初めての道やコーナー先が判らないなど不確定要素が多く、思い切った飛び込みなんて出来ないし、やらない方がいいけれど、R1を楽しむならそこでもメリハリは大切だ。

 私が楽しめる速度では、剃刀の刃のように旋回するようではなく、動きに「急」の文字が付かない。旋回中の安定度は高く、すーっと自然に向きが変わっていく。エンジンはパワフルなAながら、出力をコントロールしやすい。ドライバビリティーが良好で、パワーの出方はギクシャクしないから、ヒヤっとすることがない。簡単に言うと乗りやすい。この2012年モデルで施された燃料の噴射制御マップ、スロットル開度マップ、点火タイミングマップの変更が効いていると体感出来た。前に進ませる大きな力をよりフレンドリーに感じられるようになった。

 ブレーキの効きや、その時の安定感は、ストリートレベルでは言うことがない。ちょっとした路面の継ぎ目があるところでは、少しだけ前後サスペンションの強さを意識したので、私なら移動の快適性も考えて縮み側を少し弱めにしたい。そっちの方がいろんな条件があるストリートには合いそう。

 撮影のために同じコーナーをグルグル回していたら、水温の上昇と共に足に伝わる熱が気になった。長時間、長距離を乗っていないのでその時にどうだとは判らない。真夏はどうだろうか。しかし、それもこの爽快なスポーツ性能を楽しめることとトレードオフだと考えれば許容できてしまいそうだ。

 サーキットでタイムを削る速さも考慮されたスーパースポーツだけど、ストリートバイクなのだから一般道で使えないなんてことはない。ヤマハ製オートバイの中で最高峰の運動性能を持ったバイクは、どんどんユーザーに優しくなっている。そしてそれが幅広いレベルのライダーにとって速さに繋がり、ワインディングで楽しむときの安全にも繋がっていると感じさせてくれた。
(試乗:濱矢文夫)

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空力特性を向上させた新作フロントカウルに、シャープさを主張するLEDポジションランプ&イルミネーション。 YZR-M1をモチーフとしたアルミ製ハンドルクラウン。左スイッチボックスにはTCSモード切り替スイッチを装備。
ECU(エンジン・コントロール・ユニット)を最適化。そして2012年モデル最大のトピックスであるTCS(トラクション・コントロール・システム)を採用。 カラーは、ディープパープリッシュブルーメタリックC(ブルー)とブルーイッシュホワイトカクテル1(レッド/ホワイト)の2色。
サイレンサープロテクターのコンパクト化、6角形型のテールキャップを採用。 マシンとのフィット感に貢献する新形状アルミ製フットレストを採用。
TCS(トラクション・コントロール・システム)は、MotoGPマシン「YZR-M1」の設計思想を反映し、ユーザーの意志や路面状況に応じて介入度を7段階(OFFを含む)から選択可能。また、3種類の走行モードが選択できる“D-MODE”(STDモード、Aモード、Bモード)にそれぞれ対応しており、介入度で7段階、Dモードで3種類、計21段階の選択を可能としている。 ECUが前・後輪の車速差から後輪の空転状態を把握し、点火時期・燃料噴射量・スロットル開度(YCC-T)を統合制御する。これによりクロスプレーン型クランクシャフト採用のエンジンが生み出す優れたトラクション特性を、さらに体感できるものとしている。
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YAMAHA YZF-R15(インド市場モデル)
インド市場の“スーパースポーツ”が新型に、走りの進化は?

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YZF-R1譲りの“スーパースポーツ”トレンドのデザインを纏った新型YZF-R15。スタイルはなかなか本格的。 こちらで動画を見られない方は、YOUTUBEのサイト「http://youtu.be/AFroyVEzMEA」で直接ご覧ください。

 昨年の8月にYZF-R15による「アジア国別対抗レース」がスポーツランドSUGOで開催された。その少し前に、茂原ツインサーキットでR15に試乗させてもらって走りを楽しんだ模様をWEBミスター・バイクで報告したのは記憶に新しい(その様子はこちらをクリック)。

 実は、その後すぐにR15はモデルチェンジを受けて新しくなっていたのである。このモデルは2008年にインド向けに発売され、この日本より大きな市場にヤマハが初めて投入したスポーツモデルとして高い評価と人気を手に入れたもの。モデルチェンジにより、さらにスポーツ性を向上させる変更を受けていた。余談だけど、向こうでは新型にVersion2.0というサブネームが付くようだ。

 試乗する前に見てすぐに判る大きな違いは、アジアモデルらしい大きな一体型シートが前後でセパレートタイプになり、いわゆるシングルシート風でレーシングモデルライクになっていること。スーパースポーツYZF-R1にスタイルが近くなった。個人的にはLEDのテールランプの処理を含めたテールの上がり具合が好きだ。

 跨ると兄貴分であるYZF-R1のように潜り込むようではなく、ハンドルが高めで、ステップ位置も少し高めだから、ちょこんと上にいるようなポジション。シートなどの変更もあったことでちょっとだけお尻が持ち上げられ前モデルより気持ち前のめり。それでも身長170cmでは窮屈で体の筋がこわばるようなものではない。実際に乗った時間はそれほど長くないけれど、経験的に長時間ライドも気にならないだろう。

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 エンジンパワーは以前乗ったモデルより大幅にUPしているようには感じなかったが、全体的に角が取れて滑らかになっている。トップエンドまでスムーズに吹け上がって洗練度が増した。データで確認したワケではないけれど、中間域からスロットルを開けた時のレスポンスと伸びが良くなった。

 スタビリティは確実にレベルアップ。アルミのスイングアームは以前より長く、前後タイヤはサイズ変更(前80/90-17から90/80-17。後100/80-17から130/70-R17)で太く。リアはラジアルタイヤだ。当然ながらタイヤグリップは確実に上がっていて、良好な旋回性とその時の安定性が高まった。前モデルにあった、サーキットを走った時にたまに意識した腰砕け感が改善されている。飛び抜けて高性能で強力なシャシーと足周りではないけれど、エンジンパワーに対して充分なものでバランスが良い。

 エンジンのパワーを使いきって6速ミッションをこまめにシフトチェンジしてコーナーになるべく速度を落とさずに飛び込む。この楽しさはこの排気量ならでは。バイクの面白さに絶対的な速さが必ずしも必要ではないということをあらためて思わせてくれる小さなスーパースポーツ。試乗後に尖り具合を増した戦闘的なデザインを前にして、「かっこ良くなったなぁ」とつぶやきながら日本市場にまだ投入されていないなんてもったいないと強く思った。
(試乗:濱矢文夫)

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“本物”のスーパースポーツと違ってハンドルは高めで、ステップ位置も少し高めだから、ちょこんと上にいるようなポジションになる。その位置から見えるメーター周りはなかなか雰囲気が出ている。 旧モデルはアジアモデルらしい大きな一体型シートだったが、新型は前後セパレートタイプになり、いわゆるシングルシート風でレーシングモデルライクになった。写真をクリックするとタンデムシートを外した状態が見られます。
エンジンパワーは以前乗ったモデルより大幅にUPしているようには感じなかったが、全体的に角が取れて滑らかになっている。トップエンドまでスムーズに吹け上がって洗練度が増した。
アルミのスイングアームは以前より長く、前後タイヤはサイズ変更(前80/90-17から90/80-17。後100/80-17から130/70-R17)で太く。リアはラジアルタイヤだ。当然ながらタイヤグリップは確実に上がっていて、良好な旋回性とその時の安定性が高まった。
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