第20湯 岐阜・富山湯巡りツーリング(2日目)
岐阜・富山ツーリング2日目。天気はまさに五月晴れ。気温もそれほど高くなく、非常に心地いい。今日はキャンプ場から近い八尾地域の温泉を巡り、夕方には集会の開催地である宇奈月温泉近くの墓ノ木自然公園内のキャンプ場に行くという段取りにした。富山県内の移動なので、それほど距離は走らないと思うが、何が起こるか分からないのがツーリングの醍醐味であり悩みどころでもある。臨機応変に対応していこう。
朝食後、キャンプ場内を散策してから午前9時に出発。朝風呂に選んだのは牛岳温泉健康センター。ツーリングマップルを見た限りでは10キロ弱といった感じだ。国道156号線に出てから、県道346号線に入るところで迷って10分ほどロスタイム。戻って県道346号線に入り、つづら折りの林道を上りきったところで、いきなり視界が開けて散居村展望台が現れた。遮るものが何もない目の前には、社会科の地理の時間に習った砺波平野がド〜んと広がっていた。「これが、あの砺波平野か…」と独り言を言いながら、予想外の景色のよさに見とれてしまった。
写真撮影後、再び県道346号線に戻って走り出す。途中分岐と合流を繰り返し、標識もほとんどなく、頼りになるのは自分の勘だけという状況の中、約1時間20分ほどかかって目的地である牛岳温泉に到着。地図上ではすぐに行けるかと思ったのだが…意外と苦戦してしまった。
牛岳温泉健康センターは富山県山田赤目谷にある宿泊施設を併設した温泉施設だ。ちょっとした高台にあり、開放感のある場所に作られている。入湯料は600円。浴室は外観からは想像できないほど広く、斜面に作られているためか段々状になっている特徴的なデザインをしている。源泉が62℃と高めのためか、お湯はやや熱め。露天風呂は屋内の湯船に比べるとこじんまりしている。第1湯目なのでじっくり浸かった。
快調な滑り出しに調子をよくして、次に向かったのは八尾温泉「八尾ゆめの森 ゆうゆう館」だ。また道に迷いそうになるものの、牛岳温泉から約30分ほどで到着した。八尾温泉「八尾ゆめの森 ゆうゆう館」は富山の夏の風物詩である「おわら風の盆」が開催される富山県八尾市下笹原にある公共の宿が併設されている温泉施設だ。入湯料は600円。
浴室は広く、露天風呂は開放的。お湯は2つの源泉がミックスされており、無色透明のお湯はやや熱め。源泉は約57℃と約44℃とそれほど高温ではないが、富山県の方々は江戸っ子ばりの熱めのお湯が好きなのか、入浴施設のお湯は総じて熱めに設定されているのだろうか。この持論が正しいかどうか、この後も随時検証していこう。
2湯目に入ったところでちょうど午後12時を過ぎたところだった。昼食のタイミングだが、3湯目を入ってからにした。3湯目は八尾温泉から近い春日温泉「大沢野ウェルネスリゾート ウインディ」に決定。国道41号線まで出ると看板が立っており、先の2湯に比べると行きやすい。目的地付近に到着すると、ひと目でスポーツセンターと思われる近代的な建物が目に入ってきた。
春日温泉「大沢野ウェルネスリゾート ウインディ」は富山県春日にある場内にプールやスポーツジムなどを備えた複合施設だ。一見すると温泉があるようには見えず、スルーしてしまいそうな造りだ。大型の駐車場を通り抜けてロビーに入り、入湯料600円を払う。富山県の日帰り温泉の入湯料は、600円で統一されているのだろうか。
浴室の作りはちょっと変わっている。湯船は壁が中央にあって左右に分かれた扇型をしている。源泉は約71℃と高温。源泉そのものが熱いが、湯船に供されるお湯もやはり熱めだった。源泉風呂が用意されているが、もちろん温度は下げられている。露天風呂は左側にしかない。熱めのお湯に浸かりながら午後の段取りを考えた。
午前中に比べてやや雲が出てきたが、雨は降りそうにない。午後1時までに3湯入り、牛岳温泉に行くまでに時間がかかってしまったものの、1日で5〜6湯入れる換算だ。4湯目は春日温泉から5キロも行かないところにある神通峡岩稲温泉「楽今日館」だ。途中コンビニの駐車場で昼飯を食べていたら、配達途中の郵便局員さんに話しかけられ、楽今日館に行くことを伝えたら「そこはいいところだぞ!」とアドバイスを受けた。その言葉を信じて楽今日館に向かった。
神通峡岩稲温泉「楽今日館」は富山県岩稲にある宿泊施設も併設している日帰り温泉施設だ。国道41号線沿いにあり、横に神通川が流れ、名勝・神通峡がある。今日巡ってきた中ではアクセスはしやすい。入湯料は600円。和風作りの休憩室や浴室は広くないものの、窓や露天風呂からは神通峡が目の前に広がっている。お湯は約35℃と高くないが、やや緑かかった濁り湯。神通峡の景色を眺めながらゆったり入れる。先ほどの郵便局員さんの言葉は偽りではなかった。
午後2時30分前で4湯入り、1日の入湯数としては十分だが、これから宇奈月温泉に向かう前にもう1湯入りたいところ。地図とにらめっこして富山港近くにある鯰(なまず)温泉というちょっと変わった名前の温泉に向かうことにした。国道41号線を富山市内方面に向かい、国道8号線から海の近くを通る国道415号線に向かおうとしたが、途中の標識に惑わされて1時間30分ほどかかって鯰温泉に到着した。鯰温泉は地図で見ると海に近いものの、建物は田んぼの真ん中にあった。
鯰温泉は富山県富山市今市の四方漁港の近くにある宿泊施設も兼ねた温泉だ。入湯料は400円と、ここは公衆浴場(銭湯)と同じ価格設定になっている。浴室は一般的な銭湯のような作りだが、銭湯としては珍しく内風呂と露天風呂の泉質が異なる。内風呂は赤茶けた炭酸鉄泉、露天風呂がナトリウム塩化物泉となっている。内風呂のお湯は適温だが、露天風呂は熱め。やはり富山のお湯は熱めなのだろうか。
鯰温泉を出ると、時間は午後4時を過ぎていた。そろそろ本日の目的地である宇奈月温泉近くの墓ノ木自然公園内のキャンプ場に向かわなくてはならない。国道415号線を走り、国道8号線に入り、黒部市方面に進む。滑川、魚津を過ぎ、宇奈月方面に通じる県道53号線・県道14号線に入り、標識に従って進むと、黒部川沿いにキャンプ場はあった。
墓ノ木自然公園内のキャンプ場は黒部川の河原に作られた無料のキャンプ場だ。炊事場が場内に数箇所あるだけの質素な作りだが、場内は広い。場内は舗装されていない。キャンプ場内を走っていると、集会仲間のK氏を発見。すぐに合流し、K氏の近くにテントを張った。先発隊(?)がいてホッとした。
挨拶もそこそこに、私が黒部峡谷鉄道に乗りたいと言うと、K氏も乗りたいらしく、現地で時刻表を手に入れていた。出発前の情報から変化はなく、やはり猫又で折り返し運転とのこと。トロッコ列車の勝負どころは乗車定員が決まっていること。つまり定員がいっぱいだったら次の列車に乗るか、最悪乗れない可能性もある。ネット予約は開始していないので、乗るなら早い者勝ちだ。
買い出しついでに宇奈月温泉まで行ってみることにした。キャンプ場からは県道14号線を走って約20分ほどで黒部峡谷鉄道の起点となる宇奈月駅に到着した。このまま引き返すのはもったいないので、駅近くにある共同浴場「宇奈月温泉会館」に入ることにした。
宇奈月温泉は、黒部峡谷の玄関口にある富山県を代表する名湯。温泉会館は典型的な温泉街にある風情ある共同浴場だ。入湯料は350円。いかにも共同浴場らしいシンプルな湯船に、熱々の無色透明の源泉が満たされていた。1日の疲れを落として外に出ると、あたりはすっかり日が落ちていた。
真っ暗なキャンプ場に戻り、K氏といろいろと話をしていたら、キャンプ場の入口のほうからバイクの野太いエキゾーストノートが聞こえたきた。こんな時間に誰だろうと思っていたら、北海道と京都からやってきた集会仲間だった。合計5人が前日入りとなった。
宇奈月温泉に入ったことで、2日目の入湯数は6湯となった。なかなかの収穫だった。移動距離は100km弱と、あまり移動せず、地域を限定して集中的に入ったことが勝因(?)につながったのだろう。1日目と合わせると11湯入り、久しぶりに充実した内容のツーリングだ。
ツーリング3日目。いよいよ黒薙温泉にチャレンジする時が来た。天気は曇り。微妙なところだが、日中は雨の心配はなさそうだ。そそくさと朝食を摂り、そわそわしている自分の気持ちを抑えつつ、午前7時30分前にはキャンプ場を出発して宇奈月駅に向かった。果たして黒薙温泉に入れるのだろうか…。
●牛岳温泉健康センター | ★★★★★ | |
熱めのお湯が満たされた段々状のユニークな浴室 | ||
●八尾温泉「八尾ゆめの森 ゆうゆう館」 | ★★★★★ | |
効き目が期待できる2つの源泉がミックスされたお湯 | ||
●春日温泉「大沢野ウェルネスリゾート ウインディ」 | ★★★★★ | |
複合施設内にある熱めの源泉を持つ温泉 | ||
●神通峡岩稲温泉「楽今日館」 | ★★★★★ | |
神通峡が眺められる景色のよい露天風呂が特徴 | ||
●鯰温泉 | ★★★★★ | |
炭酸鉄泉とナトリウム塩化物泉の2種類の温泉が楽しめる温泉銭湯 | ||
●宇奈月温泉 | ★★★★★ | |
富山県を代表する名湯。黒部峡谷に向かうなら是非立ち寄りたい | ||
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