翌日早朝、羽田空港に集合すると各専門誌と一般誌の皆様(=いつも試乗会で顔を合わせる面々)がいました。かなりの大人数です。この団体を引率する添乗員は、毎度おなじみスズキ広報のM山さん。この方には大変お世話になりました。今どーしていらっしゃるのでしょうか?
お昼前に北海道は新千歳空港到着。そこから札幌市内にあるスズキの営業所までバスで移動しバイクを受け取り、各自ツ−リングやらバイクツアーの取材をして本日の宿、ニセコホテル日航アンヌプリに現地集合の予定です。
営業所に到着し、さて、バイクをという段階で驚くべき事態が発覚しました。林道取材のためこの年の6月に発売されたばかりのTS200Rを2台手配しておいてください。2台ですよと、近藤編集長に念を押しておいたのに、どこで何を間違えたのか待っていたのは1台だけ。一般道は何とかなりますが、さすがに林道で2人乗りはつらい。しかも梅コースと言っておきながら、当然松コースの機材も持参しています。M山さんに「何とかならないでしょうか」と泣きついてみたものの「ないものは、なんともならんだらー。浜松ならなんとかするけど、北海道だらー、無理だらー」と浜松弁の「だらー」を連発するだけで何ともならないのでした。無いものをおねだりしてもしょうがない。時間も無いので信哉さんはバックパックを背負い、私はカメラバックを背追い、満員電車のような感じの2ケツで出発です。
バイクに乗る前、信哉さんは何度も何度も繰り返し言いました。
「エトー、お前、キンタマを俺様の尻にくっつけるなよ。気持ち悪いからな! なっ!!」しかし、ブレーキング時は物理の法則に従って自然と身体が前に行ってしまうのです。信哉さんの機嫌を損ねると、とんでもないことになるのはよく解っていたので、絶対文句を言われない様に、シートベルトをしっかりとつかみ、前に行っても私の息子さんが、信哉さんに当たらぬようがんばりました。
そして、2ケツというのは心理的にも怖いものですが、信哉さんは取材先で「あんた、仕事は何かね」と聞かれると決まって「バイクの運転手だ」と答えるだけあって、安心して乗っていられました。
バイクの運転手信哉さんの口癖は「余計な事はしない」でした。
以前、環七でウィリーをしたのはいいのですが、そのまますっ転んでナンバーごとリアフェンダーが吹っ飛び、おまけに買ったばかりのポケベルをなくした事を思い出します。そのとき信哉さんが言った「エトー、余計な事すると損するぞ」を思い出します。
夏場ですがバイクで走ると結構寒く、途中で細川たかし出身の村だったか、音楽の鳴る記念碑を見た記憶があります。ちょこちょこと取材をしながらホテルには4時頃到着しました。
その夜、信哉さんと酒を呑みました。呑み始めたら途中でやめる人ではありません。とことん呑みます。飲んで呑んで呑みまくりです。その結果、次の日の取材に影響してくるのもいつものこと。飲み会の終わりに決まって言う口癖「ラーメン食おーぜ」の言葉を何度も言い放つのですが、ホテルにはありませんでし た。寝付くまで何度もラーメンに固執してました。
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