アッキーがキタ
アッキーがキタ
背筋も凍る
オレの恐怖体験
アッキー加藤
アッキー加藤
アメリカン、チョッパーなどそっち方面が主戦場のフリーライター。愛車の1台は写真の750ニンジャというマニアックな一面も合わせ持ち、アメリカン以外のジャンルもほほいのほい。見かけはご覧のようにとっつきにくそうだが、礼節をわきまえつつ、締切も絶対に守り、かつ大胆に切り込んでいく真摯な取材姿勢で業界内外で信頼が篤い。ここまで書くとかなりウソくさいが、締切うんぬん以外はウソでもない。

 どーも! アッキーだす。いや〜更新遅れまくってすんません。ナニやってたかってーーと、“オスプレイ、ついに日本に配備”とかいう新聞の見出しを見て「雄プレイ」と脳内誤変換し「雄のプレイってどんなプレイなんだろう……」などとハァハァ妄想していたここ毎日なのでした。

 って、またヨタ話はさておき、今回は本コラム史上初! まさに今の季節に合わせた、恐怖の心霊体験話でもいっちゃうか!!

 マジ怖いよ、今回は。そういうの弱い人は読んじゃダメっ!!!!!!!

 さて、あれはオレが東京に出てきたばっかりのコト。ひょんな関係で仲間となった編集プロダクション、カラーズの面々と毎日のようにつるんでいたオレは、金も無ければ仕事もないっつー日々だったので、いつもヒマつぶしにエンジンいじって壊してみたり、スターターイジって壊してみたり、しまいにゃチョッパー作ろうとしてフレームぶった切ってそのまま廃車にしてみたり、とまあ色々やっていた(ガキの頃だからまともな話はひとつも無し)。

 で、当時カラーズってのは、東京は三鷹という場所の、とある牛乳屋さんが大家であった超ボロい2階建ての木造住宅の2階にあって(アパートとかではない、普通の小さな一軒家)、その佇まいですらすでに妖しさ満点だったのだが、もっと妖しかったのが1階。階段を下りると一部屋分のスペースがあり、ふすまの入り口ドアには何故か南京錠がかけられていた。

 それが前から不思議だったオレは、ある日、カラーズ仲間であるムトーに「ここ何だ?」と聞いたところ、「あ〜、大家さんから『この部屋だけは絶対に入っちゃダメだ』って言われてるんだよね〜。誰も使ってないみたいだし」と、何も考えていないような笑いで即答。しかしコヤツは以前、オレをそそのかして当時の足だったXL250Rをチョッパーにさせようとフレームをぶった切らしながら、北朝鮮のよーに全く反省のそぶりを見せない男であり(その件については昔書いたな)、他のカラーズ・メンバーからは「あまりムトーの言うことに踊らされちゃダメだよ」と念を押されていた。

 んでもまあ、誰もこの1階についてはあまり興味を持っていなさそうだったので、この件に関してはしばらく放置プレイ雄プレイが続いていたのだが、そんなこんなしているうちに夏が来た! ま、しかし全員金無しバイカーで、遠出するガソリン代にも事欠いていたオレ達が夏を満喫できるワケもない。いつものよーにビールを買って、薄暗い夕方、ボロ家の1階軒先でワイワイと騒いでいた……のだが!

「ちょっとさあ、この変な部屋、気になんねぇ? 入ってみようぜ」

 お調子者、ムトーが口を開いた。いや、オレも気になってはいたのだが、大家さんが絶対入っちゃダメだって言ってるし、しかもナニやらヤバそうな雰囲気すら感じる。「これは止めなくては。ムトーが暴走し始めている!」と思った矢先、その場にいたカメラマンのサット伊勢と富樫、テッド黒川すべてが「面白れぇ! 入っちゃおうぜ!!」とノリノリに言いだしたから大変だ。

“アンタら、あんだけムトーの言葉には踊らされるなって言ったくせに……”

 しかし、もう盛り上がっちまったものは後には引けない。ムトーはおもむろに立ち上り、ふすまのドアに掛けられた南京錠に手を掛ける。どうやってコジ開けるか見ていたら、根本ごとケリを入れてブチ壊してしまった。まあふすまにネジ止めされていたゆえ、そんなモン破壊することは容易なのであるが、元に戻せなくなっちまうじゃんか……。

 そして、全員が見守る中、開かずの間はついに開かれた。が、そこでオレは、異様な光景を目にしたのである!

 中は6畳ほどのスペースで、小さなリビングテーブルと勉強机、そして本棚があり、きちんと整理されて綺麗にされていた。しかしホコリの溜まり具合から見て、恐らくもう何年も人が使っていないのであろう。だが、なんかこう夏だってのに、部屋の中から流れ出る空気には妙な寒々しさがある。そして! その、あまりにも整理整頓された部屋に、一つの違和感があった!!!

 リビングテーブルの上に、ホントにちょっと前まで誰かが読んでいたかのように、一冊の雑誌が開いて置いてあったのである!

 オレは霊感なんてものは無いし、まともに霊とか見たこともない(実は一度だけある)のだが、これまで結構「霊感あります」という人から「アッキーも霊感あるよ」と言われてきた。だから割と自分の直観を信じるタイプだったので、「ムトー、この部屋はなんかヤバい。もう止めよう」と言ってみる。しかし、若干19歳のイケイケな北朝鮮的ガキんちょであるムトーは「こんなんへーきじゃん」と何も怪しむこともなく、また、ビールでテンションの上がったカラーズ他メンバーも「大丈夫っしょ」と部屋の物色を始めてしまった……。

 とにもかくにも、オレ自身としては何か嫌な感じがしてならなかったので部屋には入らず、彼らを見守る。絶対入ってはいけないと言われている開かずの間、綺麗に整頓されている部屋の中央に、こつぜんと置かれている開きっぱなしの雑誌……、どう考えても妖しすぎる。と、そんな時、ムトーが嬉しそうに声を張り上げた。

「あー、なんか変な写真だ−!」

 部屋の入り口近くにいたオレは、ムトーが指さす方向を見ると、勉強机の上には写真立てが置いてあり、その中には古ぼけた、おそらくは高校生くらいに見える双子の女の子が写った写真が入っていた。

「あーもうダメダメ。ヤバいからこれ以上は止めよう!」

 オレがそう言うも、ムトーは全く聞き入れず、なんと恐ろしいことにその写真立てを手に持ってオレに見せようとする。そんな恐ろしげな写真を見るものか、とオレも視線をそらすが、ヤツは執拗に「ほら、見てみて〜」と寄ってくるからタチが悪い。

 その時点で、オレは一つの仮説を立てていた。「絶対に開けちゃダメ」という大家の言葉、不自然な部屋の雰囲気、そして部屋に飾られた双子姉妹の写真……、おそらく、この部屋には以前に誰かが住んでいて、それはたぶん、写真の双子だったのではないか。そしてある日、何らかの事情があってその部屋は二度と開けられない状態になったのではないかと……。ヤバい。何もかもヤバすぎる。このままここにいては危ない!!!

 そんな脳内妄想が最高潮に達し、全身の毛が逆立つオレ。しかし次の瞬間、ムトーが手に持っていた写真を見て、カメラマン富樫がこうつぶやいた。

「これって、双子のリリーズじゃね?」

 正式には、ザ・リリーズ。昭和50年代に一世を風靡した双子の女性アイドル(分からない人はお父さん、お母さんに聞こう)の写真が、まさにそれであった。

“なんだそりゃ……orz”

 結局、次の日に大家さんのところへ行って聞いてみると、あの部屋はもともと一人息子が使っていて、地方大学へ進学のために閉め切っただけとのこと。今も息子さんは健在であり、霊能現象と何の関係もなく、ただ単にリリーズのファンだったという。またなぜテーブルの上に雑誌が広げられていたのかという点については、「さあ、なんででしょう」という答えだった。

 まったく、すべてはオレの思い過ごしだったってワケだ!!!

 またその後、開かずの間に入ってしまったオレ達は、大家さんからこっぴどく叱られたことは言うまでもない……。

 いやー、すんません。結局、ヨタ話で終わってしまいました。でも実はね、マジもんの恐怖体験もあるのよ。なんで、その話を読みたいという人は、是非とも読者ちゃん投稿コーナーにビシバシお便りちょんまげ。では、みんな夏バテに負けずに頑張れよー!!!


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