湯めぐりみしゅら~ん


第22湯 岐阜・富山湯巡りツーリング(最終日)

 岐阜・富山湯巡りツーリングも最終日。目的であった黒薙温泉に無事入湯して集会も無事終了し、万感の思いで東京に向かって走り出した。最終日は特別な目的地は考えおらず、行き当たりばったり、フラフラしながら、夕方から夜にかけて東京に着けばいいかと思っていた。とはいえ、岐阜方面から東名高速を使って帰るのか、それとも新潟方面まで出て関越自動車道で帰るかだけを決める必要があったので、しばし悩んだ後、途中の温泉の多さから岐阜方面に進むことにした。

 ひとまずキャンプ場を出て、国道8号線を富山方面に進み、滑川を過ぎたところで県道15号線に入って立山方面に進んだ。県道15号線から県道6号線に切り替わり、ツーリングマップルを見ると吉峰温泉「よしみねゆ〜ランド」という表記があったので、朝風呂代わりに入ってみることにした。

 吉峰温泉「よしみねゆ〜ランド」は新中川郡立山町の「とやま健康の森 グリーンパーク吉峰」内にある日帰り温泉施設だ。現地までは案内看板があったが、園内は温泉施設以外に施設もあり、ちょっと迷ってしまった。入湯料は600円。浴室と内風呂は広々としており、朝風呂にはピッタリの雰囲気だ。まずは内風呂に入る。お湯はぬるすべ感があり、優しい肌触り。湯温も適温で、思わず「あ〜、朝風呂、いいねェ!」とつぶやいてしまった。露天風呂に行ってみると、円形をした湯船は内風呂以上に開放感があり、ゆるやかなBGMが流れる中で、朝からまったりしてしまった。

 「よしみねゆ〜ランド」を出たのは午前11時過ぎ。昼飯を食べるにはまだまだ早いので、しばらく走ろうと思った。しかし、ツーリングマップルをよく見ると、県道6号線は立山の入口で折り返し(つまり行き止まり)になっていることが判明。これでは東京に戻れないので、国道41号線に向かって高山方面を目指すことにした。

 県道と農道を行ったり来たりしているうちに国道41号線に辿り着いた。2日目に入った神通峡岩稲温泉「楽今日館」を過ぎて、神通川を左手に見ながら、しばらく国道41号線を進んだ。「よしみねゆ〜ランド」を出発して1時間以上が経過し、そろそろ温泉に入りたいなと思っていたところ、「割石温泉」という看板が見えた。渡りに船ではないが、寄ってみることにした。国道41号線から少し山側を登ったところに温泉はあった。

 割石温泉は「飛騨市老人福祉センター割石温泉」と言い、岐阜県飛騨市神岡町割石にある日帰り入浴施設だ。老人福祉センターだが市内外の一般の方でも入浴できる。岐阜と富山を結ぶ主要幹線道である国道41号線沿いにありながら、周囲を山に囲まれているせいか非常に静かな環境にある。入湯料は400円。館内、浴室ともそれほど大きくなく、露天風呂もないが、クリアな無色透明のお湯は湯量もあって湯加減もちょうどよく、しゃっきりとした肌触りで疲れが癒される。

 山間部にひっそりと佇む割石温泉は偶然見つけた温泉だが、国道41号線沿いに立っている看板がないと分かりにくいところにあるので、立ち寄ろうと思っている方は気をつけてほしい。割石温泉を出たところで時間は午後1時前。そろそろ昼飯にしたいところだが、ここで大きな決断をしなくてはならなくなった。

 割石温泉からちょっと走ったところで、国道41号線は高山・下呂方面(国道41号線)と平湯温泉・松本方面(国道471号線)とに分岐する。当初は高山・下呂方面に向かおうと思っていたが、よくよくツーリングマップルを見ると、意外と松本が近いことが分かった。ならば、行ったことがない平湯温泉に入って安房峠と上高地を通過し、国道158号線に出て、松本から中央自動車で帰ったほうが、時間もお金も短縮できる。熟考した結果、平湯温泉・松本方面に向かうことにした。

 国道471号線方面に曲がり、ちょうどコンビニがあったので、ご当地ものの味噌カツ弁当を購入。腹を満たし、ゆるやかな国道471号線を進んだ。30分ほど走ったところで奥飛騨温泉郷に到着。せっかくなので温泉に入ろうと、案内地図にあった「荒神の湯」に入ってみることにした。

 栃尾温泉「荒神の湯」は岐阜県吉城郡上宝町にある公共露天風呂だ。国道471号線と県道475号線の境目から、県道475号線方面に少し入ったところにある。公共露天風呂という名称のとおり蒲田川に面した露天風呂で、混浴ではないものの、建物などの遮るものが少なく、アルプスの山々が見えるワイルドなロケーションにある。入湯料は設けておらず、寸志(200円程度)を料金箱に入れる。

 料金箱に寸志を入れて、簡易的な更衣室で服を脱ぎ、いざ湯船に。個人的にはこういう露天風呂は大好きだ。湯船はおおまかに2つあり、片方にしかお湯が入っていない状態だったが、これが通常の状態らしい。湯船にはたっぷりお湯が注がれており、ところどころお湯が熱く、適温のところを見つけて浸かる。お湯に浸かると、地面と同じ高さに視線がくるので不思議な感じだが、なかなか開放感があっていい。ここも天気がよければ、もっと気持ちいいんだろうな…。

 風呂から上がり、近くにいたリピーターのような方としばし会話をしてクールダウンしてから「荒神の湯」をあとにした。ここから再び国道471号線に戻り、平湯温泉を目指した。ゴールデンウィークとはいえ、場所によっては雪も残っており、安房峠も開通しておらず、通行止めとなっていた。

 平湯温泉に到着すると観光客が大勢おり、人気の観光地であることが伺い知れる。もちろん温泉に入らないわけにはいかないので、平湯温泉の中でも、先ほどの「荒神の湯」のようなワイルドなロケーションの露天風呂「神の湯」に入ってみることにした。「神の湯」は岐阜県吉城郡上宝町平湯温泉にある公共露天風呂だ。平湯温泉の中心街からバイクで数分走った森の中にひっそりと佇んでいる。ここは平湯温泉の発祥の地と呼ばれており、平湯温泉の源泉を味わいたいなら、ここに来るべきだろう。入湯料は500円。

 露天風呂は混浴ではないが、「荒神の湯」とは対照的に周囲を森に囲まれており、秘湯感たっぷり。湯船はそれほど大きくないが、たっぷり注がれたやや白濁した硫黄臭のするお湯は、私たちの想像する名湯のイメージに近い。国道が通行止めになるほど雪深いところなので、山肌にはチラチラ雪が残っている。さっきまで汗ばむほど暑かったのがウソのようだ。天気がよければなおよかっただろう。

 「神の湯」を出ると、時間はすでに午後3時30分を回っていた。平湯温泉を出て、有料道路の安房峠道路を通り、国道158号線に合流、松本方面へと向かった。上高地への入口を過ぎ、途中、坂巻温泉や沢渡(さわんど)温泉などが目に入ったが、ここは次回に入ると決めてパス。松本から中央自動車道に乗って東京を目指した。途中渋滞が気になったが、前日まで東京の天候がよくなったせいか、ゴールデンウィークとは思えないほどガラガラ。ほとんど渋滞に遭遇せずに午後7時には東京に戻ってこれた。

 総走行距離1241kmに及んだ今回の岐阜・富山湯巡りツーリング。結局、入った温泉数は20湯だった。1日約5湯なので、4日間のツーリングとしては上出来。1日の移動距離を抑えて、地域を選んで集中して入湯したのが功を奏したのだろう。次回いつのタイミングでどこに行けるか分からないが、まずは年内に550湯を突破しよう。

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ログハウス調の建物が印象的な吉峰温泉「よしみねゆ〜ランド」。ぬるすべ感のある優しいお湯は、長時間入っても疲れない。朝風呂にピッタリ
ログハウス調の建物が印象的な吉峰温泉「よしみねゆ〜ランド」。ぬるすべ感のある優しいお湯は、長時間入っても疲れない。朝風呂にピッタリ。


国道41号線を走っていたら偶然見つけた割石温泉。山に囲まれた静かな場所にある。行く場合は、国道沿いに立つ看板を目印にしよう
国道41号線を走っていたら偶然見つけた割石温泉。山に囲まれた静かな場所にある。行く場合は、国道沿いに立つ看板を目印にしよう。


国道471号線沿いのコンビニで見つけた「味噌カツ弁当」(480円)。なぜかこういう地域限定ものに弱い。おいしくいただきました
国道471号線沿いのコンビニで見つけた「味噌カツ弁当」(480円)。なぜかこういう地域限定ものに弱い。おいしくいただきました。


奥飛騨温泉郷の栃尾温泉にある公共露天風呂「荒神の湯」。特に入湯料は設定されていないが、看板にあるとおり寸志(200円程度)を支払おう
奥飛騨温泉郷の栃尾温泉にある公共露天風呂「荒神の湯」。特に入湯料は設定されていないが、看板にあるとおり寸志(200円程度)を支払おう。


河原に隣接している露天風呂なので、男女別に脱衣場が用意されているだけ。しっかりガードされているとはいえ、女性は抵抗あるかもしれない
河原に隣接している露天風呂なので、男女別に脱衣場が用意されているだけ。しっかりガードされているとはいえ、女性は抵抗あるかもしれない。


地面と同じ高さに水面があるので、周囲をよく見渡せる。お湯は熱いところがあるので、ちょうどいいところを見つけよう
地面と同じ高さに水面があるので、周囲をよく見渡せる。お湯は熱いところがあるので、ちょうどいいところを見つけよう。


平湯温泉の源泉という「神の湯」。「荒神の湯」とは対照的な森に囲まれたシチュエーションにある。まさに秘湯的な雰囲気が漂う
平湯温泉の源泉という「神の湯」。「荒神の湯」とは対照的な森に囲まれたシチュエーションにある。まさに秘湯的な雰囲気が漂う。


ブースカ的温泉評価
●吉峰温泉「よしみねゆ〜ランド」 ★★★★
くつろげる湯船と優しい肌触りの温泉。
●割石温泉 ★★★★★
国道41号線近くにひっそり佇む地元密着型の温泉。
●栃尾温泉「荒神の湯」 ★★★★
ワイルドな露天風呂が初めての方でも入りやすい。
●平湯温泉「神の湯」 ★★★★
平湯温泉の源泉を味わえる秘湯感漂う露天風呂。

毛野ブースカ毛野ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は531湯。湯巡りツーリングの相棒はスズキ・ジェベル250XC。ちなみにマイカーもスズキのエスクードというスズキスト。


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