『故意責任』
以前にも書いたが、またぞろ“ロープ殺人”事件の二の舞になりそうなニュースをちょくちょく耳にする。いや、ロープなどという生ぬるい手段じゃなく、確実に人を殺すことだってできる“針金”を道路に張った、とんでもない犯人も現れたという。
兵庫県は尼崎市常松の市道で、未明に何者かが道路両側の標識の間に、高さにして1mの位置に直径約1mmの針金を張り渡していたという。たまたま最初に“引っ掛かった”のがクルマだったので、ボンネットに傷が付いた程度で事なきを得たというが、これがバイクや自転車だったら、間違いなく殺傷事件になったことだろう。
ちなみに5月には京都市西京区川島尻掘町の市道で道路両脇の鉄柱間にテープを張り渡したヤツがいて、たまたま通りかかったバイクの新聞配達員が引っ掛かり転倒。腰を負傷している。テープは幅約5cm、黄緑色のビニール製だったという。
また、9月にも奈良市東紀寺町で標識と電柱間に結びつけられた直径約5mmのビニール製ロープに自転車で帰宅中の女子大生が引っ掛かり転倒、怪我を負っている。
故意に人殺しをしようとする人間など、そうそういないと思いたいので、これらの犯行は、己の行動の先、自らの行為が招く結果を想像できない者の仕業だろう。が、それを助長しているのが実は警察だとしたら。そしてそれを感染させているのが、警察発表を右から左へ鵜呑みに伝えているだけのマスコミだ。
今回の“事件”で、兵庫県尼崎北署から発表された内容が気になった。「器物損壊事件として捜査している」とあったからだ。尼崎北署の認識も、針金を仕掛けた犯人と同レベルの認識しかない。“器物損壊事件”などではなくて歴とした“殺人未遂事件”だ。9月の事件を担当した奈良県警奈良署もこれまた“往来妨害致傷容疑”などという手ぬるい罪名で捜査している。
たまたま運が良くて(!?)クルマに傷が付いただけ。その前に、バイクや自転車で通りかかった人がいれば確実に転倒、スピードの出ているバイクで、針金がライダーの首に回れば首が飛んだ可能性も大いにある。そんなことに想像が及ばないのは、犯人も警察もまったく一緒。
針金の細さでは、走っているバイクからはまったく認識できない。
悲惨な事件になってしまってから、犯人のお決まりのセリフ「こんな事になるとは思わなかった」と。死者はそんな戯言に怒ることもかなわない。己の行動の先にある結果に思いを至らすことができずに殺人者となってしまう犯人も哀れは哀れだが、いきなり人生を終了させられてしまう被害者は、たまったモノじゃない。最近激増している“通り魔殺人”と同じ無念さだろうか。
まずはこのような行為は“殺人行為”にあたるのだとして認知させることが再発防止の第一歩だろう。それを“器物損壊事件”などと報道させているからこの手の犯罪が後を絶たない。警察の認識も明らかに犯人と一緒で「イタズラに毛の生えた程度」としか思い至らないのだろう。警察のその認識不足が、いとも簡単に、殺人者を生み出してしまう。自分たちが重大な犯罪を助長している、ということに気がついていない。
6月に大阪府四条畷市で歩道を横切るようにロープを張って、通りかかった自転車の中学生に怪我をさせた小学生が補導されたという。
犯人の小学生は「ごめんなさい」と反省しているというが、たまたま怪我で済んだから良かったものの、万が一打ち所が悪くてこの中学生が死亡してしまっていたら、この小学生の人生はどうなってしまうのだろう。
“器物損壊”などじゃない、“往来妨害”でもない、こういった行為は明らかに“殺人未遂”にあたるのだという教育をしないからこんな事件が起きてしまう。悲惨なケースとなってしまってからでは遅い。
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原久三さんの「全国ご当地ナンバーサミット」のアイデア面白いですね。で、もうご存じの方は多いのかもしれませんが、浜松市のご当地ナンバーを見つけてしまいました。この浜松市のオリジナルナンバープレートは、一般からデザインを公募。応募総数380点の中から、浜松市在住の女性の作品が選ばれ、このナンバープレートが誕生したのだとか。さすが浜松、ご当地ナンバーならウチは当然バイクでしょ、だ。
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