順逆無一文

『本田意匠』

 ホンダのニューCBシリーズが、EICMA2012ミラノショーで発表された。NCシリーズのように、共通のプラットフォームで異なる仕様のモデル展開を同時に行う、その第二弾というわけだ。ニューCBシリーズのテーマは“ニューファンダメンタルコンセプト”。

 で、すでに半世紀もバイクとかかわってきてしまったジジイ・ライダーとしては、昔を思い出してしまうんであります。’60年代~’70年代、基本となるロードスポーツモデルをベースに、オフテイストのマシンを作ったり、はたまたレーサーまで作ってしまったり。当時からバイク業界では貴重な資源(台車)を使い回して効率良く様々なタイプのモデルを生み出していました。

 私が初めて新車で購入したモデルはSL350。確か、CB750FOURの発売された年。1969年に晴海で開催された第16回東京モーターショーに輸出モデルとして展示されており、見た瞬間、即購入を決意した記憶があります。今あらためて振り返ると、デザインにだまされた(失礼!)何てことはない、ほとんど“バリエーションモデル”でしかなかったのですが、当時は、これこそ私が求めていた“どこへでも行けるモデル”だ、と勝手に舞い上がり、実車が国内で発売される前に予約を入れてしまったほど。若かったですね(でも実際に、このモデルで当時は国道ですら砂利道が多かった日本中の道を走り回りました)。

 SL350も当時の“ファンダメンタルコンセプト”で作られたモデルというわけでした。基本となったのは4ストロークツインスポーツのCB350。そして、それ以前からホンダでは、CBをベースにオフテイスト(当時は、トライアンフなど英車に影響されていたのでしょうか、スクランブラーという表現を使ってました)のオン・オフモデル“CLシリーズ”をリリースしたりしてユーザー層の拡大を図っていました。

 SL350以前は、兄貴のお下がりのCL250に乗っていました。カラータンクになる前のモデルです。まあ、このマシンよく止まってくれたおかげでバイク整備のイロハを徹底的に仕込まれたようなものですが…。

 この頃は、まだバイク業界もヨーロッパを向いていましたからクルーザーモデルに展開することは無かったのですが。4気筒エンジンのマシンまで無理矢理クルーザーモデルとした“ジャパニーズ・アメリカン”(変な言葉ですね)が作られるようになるのは’70年代も終わろうかという頃からでした。

 それはともかく、当時も今もバイク作りの手法は、ほとんど何も変わっていないということなのでしょうか。デザイン次第でどんなマシンでも作れてしまう。特に最近の国産車では操安や性能が一定レベル以上で、“外れる”ことがなくなって来たため、バイク選びにデザインという要素が占める比率はどんどん高くなっていますね。職業、年収は保障されている、あとはルックス次第でキマリ、という婚活のようなモノですね!?(現実の婚活ではその後も、年齢、性格、地域とまだまだ条件が付くのだそうですが…)。

 また、最近では本当に走りの性能を求めているライダーはごくごく一部で、スーパースポーツですら日常の使い勝手も大事、というのですから推して知るべし。NCシリーズが売れるわけです。

 で、無理矢理バイクのデザインにこじつけたところで宣伝です。

 12月中旬、大日本絵画という出版社から『Honda_DESIGN Motorcycle Part2 1985~2013』というバイクのデザインを取り上げた書籍の後編が出版されます(発行日は2013年1月14日)。70車種以上のホンダ秘蔵のデザインスケッチを掲載、またニューCBシリーズのデザイナーさんを始め、注目車種のデザイナーさんのインタビューも掲載しています。4,300円とちょっと高いのですが、未公開スケッチも多数ありますので値段以上の価値は充分にあると思います。
●大日本絵画(TEL03-3294-7861 http://www.kaiga.co.jp/
『Honda_DESIGN Motorcycle Part2 1985~2013』
ISBN978-4-499-23107-7

 また、この書籍の前編の『Honda_DESIGN Motorcycle Part1 1957~1984』(こちらは日本出版社から発行しました)もまだ手に入るようなので、興味のある方はぜひお問い合わせを。
●日本出版社(TEL03-5261-1811 http://www.nihonshuppansha.net/
『Honda_DESIGN Motorcycle Part1 1957~1984』
ISBN978-4-89048-069-2
(小宮山幸雄)

=デザインスケッチ掲載車種=
●大日本絵画
『Honda_DESIGN Motorcycle Part2 1985~2013』
ISBN978-4-499-23107-7
hyoshi_part2s.jpg
1985 ホンダ DJ・1
1985 ホンダ XLR250R
1985 ホンダ TRX200SX
1985 ホンダ GB400TT/GB400TT MkII/GB500TT
1986 ホンダ FTR250
1986 ホンダ VFR750F
1986 ホンダ CBR400R
1986 ホンダ フュージョン
1987 ホンダ モンキーR
1987 ホンダ トランザルプ600V
1987 ホンダ V45マグナ
1987 ホンダ AX-1
1987 ホンダ XLR BAJA
1988 ホンダ VT250スパーダ
1988 ホンダ スティード(600/400)
1988 ホンダ ブロス プロダクト・1/2
1988 ホンダ アフリカツイン
1989 ホンダ CB-1
1989 ホンダ CRM250R
1990 ホンダ ZOOK
1990 ホンダ EZ-9
1990 Honda ST1100 Pan EUROPEAN
1991 ホンダ モンキーBAJA
1991 ホンダ ナイトホーク750
1991 ホンダ NS-1
1992 Honda CBR900RR Fireblade
1992 ホンダ NR
1992 ホンダ CB1000SUPER FOUR
1994 ホンダ Vツインマグナ
1994 ホンダ キャビーナ
1994 ホンダ RVF/RC45
1995 ホンダ VRX Roadster
1995 ホンダ ラクーン
1996 ホンダ ワルキューレ
1996 ホンダ ジョーカー
1996 ホンダ ホーネット
1997 Honda CBR1100XX SUPER BLACKBIRD
1997 ホンダ ファイアーストーム
1997 ホンダ ドリーム50
1998 Honda NT650V DEAUVILLE
1998 ホンダ CB1300SUPER FOUR
1998 ホンダ ジュリオ
1999 Honda XL1000V VARADERO
1999 ホンダ X11
2000 Honda VTR1000 SP-1
2000 ホンダ フォルツァ
2001 ホンダ クレアスクーピー
2001 ホンダ エイプ
2001 ホンダ ZOOMER
2001 Honda Activa
2001 ホンダ ゴールドウイング
2001 ホンダ ステップコンポ
2002 ホンダ VFR
2003 honda RUNE
2003 honda Wave 125i
2004 ホンダ CBR1000RR
2004 ホンダ PS250
2005 Honda FMX650
2006 Honda Click 110
2008 ホンダ DN-01
2008 Honda CB1000R/ABS
2009 ホンダ モンキー
2009 ホンダ スーパーカブ110
2009 ホンダ VT1300CX
2010 ホンダ PCX
2010 ホンダ CB1100<Type I/II>
2010 ホンダ VFR1200F/VFR1200F Dual Clutch Transmission
2010 ホンダ EV-neo
2011 ホンダ Dio110
2011 ホンダ CBR250R
2012 ホンダ NC700X/NC700S/インテグラ 2012 ホンダ CRF250L
2013 ホンダ CBR500R/CB500F/CB500X

●日本出版社
『Honda_DESIGN Motorcycle Part1 1957~1984』
ISBN978-4-89048-069-2
hyoshi_part1s.jpg
1958 ホンダ スーパーカブ C100
1967 ホンダ モンキー
1969 ダックス ホンダ
1969 ホンダドリーム CB750FOUR
1970 ホンダドリーム SL350
1971 ホンダベンリイ CB50
1972 シャリイホンダ
1973 ホンダ エルシノア MT125/MT250
1973 ノーティーダックスホンダ
1973 ホンダ バイアルス TL125
1974 ホンダドリーム CB500T
1974 ホンダドリーム CB400FOUR
1975 Honda GL1000
1976 ホンダ ロードパル
1977 ホンダ バリエ
1977 ホンダ ホーク-Ⅱ(CB400T)
1978 Honda CBX
1978 ホンダ XL250S
1979 ホンダ MB50
1980 ホンダ タクト
1979 ホンダ CB750F/CB900F
1980 Honda CB1100R
1981 ホンダ モトコンポ
1981 ホンダ ストリーム
1982 ホンダ リード50
1981 ホンダ CBX400F
1981 ホンダ CX500 TURBO
1982 ホンダ モトラ
1982 ホンダ ジャイロX
1982 ホンダ FT400/500
1982 ホンダ CB650ラグジュアリーカスタム
1982 ホンダ VT500 Ascot
1982 ホンダ VF750マグナ
1982 ホンダ VF400F/VF750F
1982 ホンダ VT250F
1982 ホンダ MTX50
1983 ホンダ ビート
1983 ホンダ スペイシー125ストライカー
1983 ホンダ GB250クラブマン
1983 ホンダ CBR400F
1983 ホンダ TLR200
1983 ホンダ XLV750R
1983 ホンダ CBX750F
1984 ホンダ スペイシー250フリーウェイ
1984 ホンダ ロードフォックス
1984 Honda VF1000F/R
1984 ホンダ NS250R/F


小宮山幸雄小宮山幸雄

“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は“閼伽の本人”。 


[第27回へ][第28回][第29回へ][バックナンバー目次へ]