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KTM JAPAN

KTM 1190 ADVENTURE / 1190 ADVENTURE R

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 超軽量のクロモリ鋼製のトレリスフレームに搭載されるのは、1195cm3、150馬力のVツイン“LC8”エンジン。WP製の前後足周りにブレンボのブレーキシステム、そしてボッシュとの共同開発による各種の電子制御システムなどによって構成される新型アドベンチャー・ツアラーが1190 ADVENTUREシリーズだ。

 エンジンは、2011年式以降のRC8Rツインスパークをベースに、オイルタンクをクランクケースの外に出し、レベル点検窓を装着するなど、このADVENTUREにふさわしいチューニングが行われている。同時に油温、油面センサーも採用してメンテナンス性能を向上。シリンダーヘッド周りでは、ウォータージャケットのデザイン、吸排気ポートのデザインを変更。燃焼室形状も変更することにより、圧縮比を12.5に引き下げている。バルブはチタンからスチール製に、カムシャフトも中空・軽量化。ショートスカートのピストンはトップ面を硬質アルマイト処理。エキゾーストシステムも当然新規設計で、新型O2センサーを採用するとともに、三元触媒をヘッダーパイプの中に装備し、熱源に近づけることでより効率化を図っている。ラジエターはWP製で、右側ラジエターの背面にクーリングファンを2基装備。クラッチは、アンチホッピング機能とトルク向上機能を持たせた新型の“PASC”(Power Assist Slipper Clutch)で、急ブレーキ時などでのリアホイールのチャタリングを抑え、またクラッチレバーの操作負荷低減が図られている。

 新開発の52mmスロットルボディを採用したF.I.には、690 DUKEで採用された“フル・ドライブ・バイ・ワイヤ”システムを、さらに進化させて組み合わせている。万が一スロットルフラップが全開状態で動かなくなってしまったなどの場合でも、エンジンが始動しないようフェイルセーフ機能も搭載しているという。インジェクターは12穴の多孔インジェクターを採用、よりコンパクトに、より噴射パターンを柔軟に制御。イグニッションは1シリンダーあたり2本のスパークプラグを採用、それぞれ独立した点火マップによってコントロールしている。

 制御系では、従来の一般的なECU(エンジン制御ユニット)による総合制御から、ECUとMCU(車両総合制御ユニット)に役割を分割、より高度で複雑になってきた電子制御を機能的に切り分けている。そのためリレーやヒューズを簡略化でき、また電子制御の多くをMCUに振り分けたことで、たとえばヘッドライトのロービームが切れた時に、MUCが自動的にハイビーム側をオンにしてくれる、といった機能も組み込めるようになったという。ちなみにMCUが制御する信号系統は、前後左右の各フラッシャー、警告機能、アラームとの連動、ハザードランプ、パーキングランプ、デイライドライト、ハイビーム、ロービーム、ライセンスプレートランプ、ブレーキ、テールライト、そしてホーン。ちなみにデイライドライトとは、ヘッドライト下部を囲むように設置された12個のLEDランプのことで、常時点灯機能を持っている。日中にトンネルなど暗い所に入った時には、MCUが自動的にロービームを点灯してくれる。

 MTC(Motorcycle Traction Control)は、スポーツ、ストリート、レイン、オフロードの4モードを選択可能で、このうち、レインとオフロードでは最大出力を100馬力に制限してくれる。モードは左グリップ部に集約された多機能スイッチで切り替える。ABSは前後輪が連動して作動するC-ABSを採用。こちらはストリート、オフロード、そしてオフの設定を選べる。

 フレームは、「ストリートでは極めてスポーティ、かつナチュラルなハンドリング。オフロードでは軽さと敏捷さを」という要求を両立させた新型フレームを開発。重量わずか9.8kgのクロームモリブデン鋼(Cr25Mo4)製だ。鋼材をレーザーカット後に曲げ、溶接加工が行われるという。これは溶接によるストレスを最小限にするように配慮したものという。サブフレームはアルミニュウム製。センタースタンドを標準で装備。スイングアームはアルミダイキャスト製で、薄肉化させながらリブで補強、構造を外側に出して見せる最近のKTMデザイントレンドを踏襲している。

 ハンドルにはEDS(電子制御ダンパー)機構を採用(Rモデルは設定無し)。単独走行、単独走行+荷物積載、タンデム走行、タンデム走行+荷物積載の4パターンを左グリップの集中スイッチで切り替え可能。ダンピング自体も、コンフォート、ストリート、スポーツの3タイプから選択可能となっている。フロントのWP倒立サスの有効ストロークは200mm。Rモデルはさらに20mmプラスの220mm。左側で圧側ダンパーを調整、右側で伸び側ダンパーをそれぞれ調整する。WP製ショックによるリアサスも有効ストローク200mmを確保。

 1190 ADVENTUREと1190 ADVENTURE Rの違いは、Rではより小型のスモークスクリーンの採用、より幅広のハンドルバー、ワンピースデザインのシート、オレンジカラーのフレーム、オレンジカラーのクラッシュバー(エンジンガード)、フロント21インチ、リア18インチのチューブレス対応ホイール、そしてオフ走行前提のディメンションの採用となっている。1190 ADVENTUREが「一般道を快適に、よりスポーティに走ること」をコンセプトとしたストリートユーザー向けなのに対して、1190 ADVENTURE Rでは「オフロードでの運動性能を重視、ボディサイズを感じさせない走り」を目標として開発されている。

1190 ADVENTUREのクリアースクリーンに対して、Rではスモークタイプのより小型のスクリーンが採用されている。手動で上下に25mm位置調整が可能。(写真をクリックすると上げた状態が見られます) メーター周りはVDO製の“インダッシュコンピューター”を採用。指針式のレブカウンターとコンビネーションされるLCDディスプレイには、速度、シフトライトほか基本的な情報を表示。左側に配置されるLCDディスプレイは、電子制御のモード切替状況を表示する。
R固有の装備である“クラッシュバー”(エンジンガード)の他、Rではフレーム自体もオレンジカラーに塗装される。電子制御によってコントロールされる1195cm3、150馬力、LC8エンジン 1190 ADVENTUREでは、前後セパレートシート。こちらRは、ワンピースデザインのシートが採用される。(写真をクリックするとシートを外した状態が見られます)
1190 ADVENTURE R。2013年3月発売予定。予価170万円。カラー:黒。(1190 ADVENTUREは予価167万5千円。カラーはオレンジとグレー)
<1190 ADVENTURE R 主要諸元>
●エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ●ボア×ストローク:105×69mm●総排気量:1195cm3●圧縮比:12.5●最高出力:110kW(150PS)/9,500rpm●最大トルク:125N・m/7,500rpm●オイル容量:-リットル●燃料タンク容量:23リットル●燃料供給装置:KEIHINフューエルインジェクション●変速機:常時噛合式6段リターン●フレーム:トレリスフレーム
●全長×全幅×全高:-×-×-mm●軸距離:1,580〈1,560〉mm●シート高:890〈860〉mm●最低地上高:-mm●重量:217〈212〉kg●サスペンション:前φ48mmWP製倒立フォーク、後WP製モノショック●ブレーキ:前φ320mmシングルディスク、後φ267mmシングルディスク●タイヤ:前90/90ZR21〈120/70ZR19〉、後150/70ZR18〈170/60ZR17〉
※〈 〉内は1190 ADVENTURE

KTM 690 DUKE

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 こちら、2013年モデルの690 DUKEは、2012年モデルのあまりの人気ぶりに急遽導入を早めたという売れっ子モデル。ちなみに発売は、2012年の12月12日から。690 SMC R、690 ENDURO Rと合わせての発売開始だ。

 2013年モデルの特徴としては、新デザインのホイールの採用、ボディカラーをホワイト×グレー、ブラックの2色を設定。ABSを標準で装備(ABS無しのオプションも可能)、エンジンはヘッド周りを中心に完全新設計。ダブルイグニッションを採用、各プラグを独立制御、フル・ドライブ・バイ・ワイヤ採用、68馬力の最高出力、低騒音、低振動化を推進、サービスインターバルの長期化と耐久性の向上、と発表されている。

 同時発売の690 SMC R(109万2千円)は、APTC製スリッパークラッチの採用、エンジンマネジメントを見直し、燃費、環境性能の向上、WP製φ48mm倒立フルアジャスタブルフォークを採用、前後のサスストロークを250mmに設定、オレンジ塗装の高剛性軽量クロモリ製フレーム、オレンジアルマイトのアルミ削りだしトリプルツリー、オレンジアルマイトアルミホイール、新デザインのシート採用。690 ENDURO R(109万2千円)もほぼSMC Rに準じた内容だ。

2013年モデルのカラーはホワイトとブラックの2色設定に。豊富なパワーパーツが用意されるのは従来どおり。 エルゴノミック・デザインで快適なシートは、マイナス30mmの835mmのシート高に変更。PPロワーリングキットを導入すれば、800mmまでローダウン可能。写真をクリックするとタンデムシートを外した状態が見られます)
サスは前後ともWP製。フロントφ43mm倒立フォーク、モノショックのリアとともに135mmのトラベルを確保している。990 SMTと同型のボッシュ製ABSを標準で装備。フロントブレーキはブレンボ製φ320mm、4ピストンラジアルマウントキャリパー&マスター、リアはφ240mm、フローティングキャリパーを採用。 ヘッド周りがほぼ新設計となったLC4ベースのエンジン。ツインプラグ化しそれぞれを独立したマップでコントロール。フル・ドライブ・バイ・ワイヤを導入。10%以上の低燃費化も達成。
690 DUKE。2012年12月12日発売。84万7千300円。カラー:白/黒。
<690 DUKE 主要諸元>
●エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ●ボア×ストローク:102×84.5mm●総排気量:690cm3●圧縮比:12.6●最高出力:50kW(68PS)/7,500rpm●最大トルク:70N・m/5,500rpm●オイル容量:-リットル●燃料タンク容量:14リットル●燃料供給装置:KEIHINフューエルインジェクション●変速機:常時噛合式6段リターン●フレーム:トレリスフレーム
●全長×全幅×全高:2,152×844×1,193mm●軸距離:1,1466±15mm●シート高:835mm●最低地上高:-mm●重量:149.5kg●サスペンション:前φ43mmWP製倒立フォーク、後WP製モノショック●ブレーキ:前φ320mmシングルディスク、後φ240mmシングルディスク●タイヤ:前120/70R17、後160/60R17


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