古いバイクが好きだ。
あ、いや「イマドキの新車と比べて昔のバイクは魅力があったうんたらかんたら…」とかいうコトではなく、使いこなされてちょっとヤレてきたようなバイクの雰囲気が好き、という話。
もちろん新車のピカピカもいいんだけど、古いバイクには使いこなされてきた道具のような何とも言えない重みのようなモノが漂っているような気がする。
僕はこれまで、昔のバイクが金属を多用していたから出ていた重厚感なんだと思っていたのだけど(昔は前後フェンダーも金属だったし)、いやいやどうもそういうことではないらしい。
例えばニンジャやハヤブサのようにフルカウルで樹脂パーツ満載のバイクだって、何年も乗り続けた結果として新たに加わった味わいのようなものが、確かに醸し出されてくるもんね。
長く使われてきたデニムの青が、だんだん色が抜けてきて一層味わい深くなるようなものかもしれない(某歌詞参考)。
そういうバイクの美しさって、なかなか駐輪場やショップの展示場やイベントなんかで多数のバイクが集まっている場で見てもあまり気づかない。
風景の中に交わってみて初めてそのバイクの風雪に磨かれた味わいが見えてくるのだろう。
季節の風景の中に置かれた古いバイクが、まるで美しい1場面のように見える、と言ったら、何をバカなコトを、と笑われるかなー?
もちろんそれは、名車や高級車である必要など全然なくて、実用車でも不人気車でもしっかりとメンテナンスされて持ち主の愛情がきちんと注がれているバイクならば、やはりそのように美しく見えてくるものである。
また季節の風景って言っても、別に観光地のような美しい風景が必要なんじゃなくて、コンビニの駐車場でも路上の一時停止でもハッとする光景は至る所にある。
最近、そんなはっとするような場面を切り取りたいな、と思っていいバイク(と風景)を見つけたら写真に撮ろうとチャンスを伺っている。
デジカメは写したい時いつも持っていない事が多いので、iPhoneでバシバシ撮ろうかと。
でもまあヒトサマのバイクを勝手に写真撮る訳にもいかないし、と言ってなかなか「このバイクの写真取らせて下さい」と頼むのも勇気がいるし、ちょっと難しいところです。
結局自分のバイクですかね。
まずは自分のバイクがデニムの青のように美しくヤレていくよう、キチンと手を掛けてあげることですね。
反対に、手入れもされずに乗りっぱなしのようなバイクはかわいそうだ。乗られもせず放置されっぱなしのバイクはもっとかわいそうだ。
せっかく古いバイクとして美しく成長? 出来るのにボロボロのままに放って置かれるのは本当にかわいそうな事だと思う。
バイクの寿命はかなり長い。
CB750fourやZが40年、’80年代のバイクですらもう30年経つけれど、きちんとメンテナンスしていけばまだまだ平気で乗り続けられる。
クルマと違ってパーツ数がぜんぜん少ないから、エンジンがまっとうでフレームが曲がってなけりゃ、持ち主の熱意と努力でいつまでも乗り続けられるものだ。
実は最近、そろそろ次の10年間を一緒に歩み続けるバイクを探してみようかな、などとムボウな事を考え始めている。
10年以上にわたり一緒に年を取っていく、又は一緒に成長していける、そんなバイクにめぐり合いたいな、なんて考えている。
選ぶ基準はなんだろう?
速さではない、な。
カッコ良さ? まあそれも大事だけど。
そのメーカーやバイクの哲学? そんなオオゲサな。
じゃあ一体なんだろう?
うまく言えないけどつまり、「代わりの利かない相棒」みたいなバイクにめぐり合いたい、とゆーこと。
なんじゃそりゃ? と言われそうだけど。
僕はこれまで20数台もとっかえひっかえバイクを乗り換えて来た。ということはつまりその分色々な理由でバイクを手離してきた訳だ。
多くはバイクの性能に対して僕が未熟で乗りこなせなかったり、不調を直しきれずに嫌気が差してしまったり、と結局それぞれのバイクに問題があった訳じゃなく、ただ僕と出会ったタイミングが合わなかった、ということみたいだ。
なんだかレンアイみたいですね。
なぜだか新しく春を迎える前に、この次の10年を一緒に走っていけるバイクにめぐり合いたいという気持ちがとても強くなってきた。
1年はもちろん1月から始まるのだけど、やはり季節は春が1年間の始まりだ。春の気配を感じると、新しい1年が始まったと実感する。
バイクは季節と密接な関係を持った乗り物なので、なおさらバイク生活は春から1年が始まるのだろう。
新しい1年のスタートを前にして、これからの10年間を共に過ごす新しいバイクを探し始めるなんて悪くない考えだと思う。
実現出来ればねえ~。
タカヤスチハル
「もう30年以上バイクに乗ってます」と威張れるくらいず~っと乗り続けているのにちっともうまくならないへたれライダー。ふつーのお父さんは逆境にも負けず、ささやかなバイク生活を営んでいます、が……
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