2013年6月12日 

■ヤマハが新開発3気筒搭載2014年欧州市場向け新製品「MT-09」を発表

 ヤマハは、このほど新開発の850cc直列3気筒エンジンを搭載したスポーツモデルの新製品「MT-09」を、欧州市場に向けて2013年9月前半から発売すると発表した。

「MT-09」は“Synchronized Performance Bike”のコンセプトのもと、欧州二輪車市場のメインカテゴリー「ロードスポーツ」クラス、なかでも近年伸長傾向の700~999ccクラスに導入する新製品で、ちなみにこのモデルは、ヤマハの新中期経営計画(2013年~3ヵ年)にあたる“先進国・二輪車事業におけるラインナップ充実”を具現化する新製品第2弾となるという。また、クロスプレーンコンセプトに基づいて開発された新エンジンは、今後先進国向けモデルの核となるコンポーネントのひとつとして位置づけられている。

 ヤマハの調査によれば、欧州でのスポーツバイク市場では、近年、日常用途の中に楽しさを求める傾向がみられ、「ロードスポーツ」カテゴリーの人気が高まっているという。“大きい”“速い”という従来の価値観ではなく、“身の丈にあったスポーツ性能”が改めて見直されており、今回の新製品「MT-09」では“走る楽しさ”“音や鼓動感”“デザイン”といったモーターサイクルの根源的かつ普遍的な魅力を、ヤマハ独自の設計思想“人機官能”に込めて開発したと説明している。

“クロスプレーンコンセプト”に基づいて開発されたエンジンは、ライダーのスロットル操作に対し、リニアなトルクを実現。水冷4ストローク直列3気筒DOHC4バルブ、847ccのダウンドラフト吸気FIエンジンで、バルブ挟み角は26.5°(吸気13°+排気13.5°)とナローに配置しコンパクト燃焼室を形成、素早い燃焼による高いトルクを引き出している。

 燃料供給は、YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)を採用。軽量アルミ鍛造ピストン、放熱性に優れるメッキシリンダー、振動低減を図るバランサー、ヤマハの市販多気筒モデルでは初のオフセットシリンダー、トルク特性に貢献する不等長吸気ファンネル、などとの相乗効果により優れた走行性と燃費性を両立させている。

 排気系は、エキゾーストパイプと3段膨張構造サイレンサーを一体成形した3into1タイプ。排気効率、消音効果だけでなくマス集中化による軽快なハンドリングに貢献している。エキゾーストパイプは、変色や錆、汚れの付着の抑止効果のあるナノ膜コーティング処理が施された。

 車体では、剛性バランスに優れ、個性的なボディを形作る軽量アルミ製フレームを採用。コンパクトなライディングポジションとスリムな足回りを実現するため、リアアームピボットはフレーム外側締結とし直列2気筒なみのフットレスト幅となっている。

 アルミ製テーパーハンドルを採用。軽量で強度バランスに優れるだけでなく、オフテイストも演出。前後約400mmのロングシートは、タンデム側との段差が少なく自由度のあるライディングポジションを可能としている。シート前端は、グリップ性とフィット感に優れるフロステッドパターンの表皮を溶着しており、マン・マシーン一体感を演出。ニーグリップ部を大きく窪ませた燃料タンクは、スリムなライディングポジションに貢献。

 スタイルは、ネイキッドとスーパーモタードの“異種混合”ハイブリッド・デザイン。マスフォワードシルエットによる自由に振り回せる軽快感、どんな方向にも動きやすい“塊”を連想させるマス集中感、そしてモータードイメージ、オフロード車イメージなど様々な要素をシンクロさせている。

 このほか、油面変動が少ない異形オイルパン、YAMAHA D-MODE走行モード切り換えシステム、ラジアルマウントフロントブレーキキャリパー、フル液晶メーターパネル、アルミ鍛造ブレーキ&シフトペダル&フットレスト、などを採用している。

■2014年モデル「MT-09」主要諸元(フランス仕様を除く)

全長×全幅×全高:2,075mm×815mm×1,135mm シート高:815mm 軸間距離:1,440mm 車両重量:188kg エンジン:水冷・4ストローク・直列3気筒・DOHC・4バルブ 総排気量:847cm3 内径×行程:78mm×59.1mm 圧縮比:11.5:1 最高出力:84.6kW(115PS)/10000rpm 最大トルク:87.5N・m(8.9kgf-m)/8500rpm 始動方式:セル式 燃料タンク容量:14L 燃料供給:フューエルインジェクション タイヤサイズ(前×後):120/70ZR17M/C(58W)×180/55ZR17M/C(73W) 価格:税込み7,790ユーロ(参考:イタリア価格、各国で異なる) 販売計画:年間11,000台。