⑦日本維新の会、公明党、そして新体制の自民党——<br />
国会に続々“オートバイ議員連盟”が設立&刷新ただしライダーが求めているのは同好会ではなく「変えていける」実践的議連だ!

 国会各党で「オートバイ議員連盟」設立がひんぱんだ。
 これらの動きを生み出す空気を醸成させた背景には全国オートバイ協同組合連合会:AJ(吉田純一会長)や日本自動車工業会:自工会など業界団体の尽力・存在がある。
 各党の会合にも、前述2団体に加えて、NMCA日本二輪車協会や日本輸入モーターサイクル協会:JIMA、全国二輪車用品連合会:JMCAなども出席し意見を聞かれている。

 このため各党”オートバイ議員連盟”が取り組もうとする課題は、業界団体が目指すものとほぼ同じ方向で、その概要はAJがメディアとの懇談会で表明した「現段階での重点案件」と同じものと考えてよい。それは——

●現実に即した二輪車駐車違反の取り締まり
●二輪車駐車場の建設促進
●有料・高速道路における二輪車通行料金枠の設定と値下げ
●二輪車ETC車載器購入に対する助成金の復活
●二輪車の高速道路路側帯の通行緩和
●125cc以下の小型二輪免許の取得簡便
●2サイクル二輪車からの乗り換え、エコ助成金の支援
●(三ない運動撤回後のことも含め)交通教育の義務化

——という内容。
 これらには現段階での二輪車利用環境改善の優先課題が網羅されている。そして各党の”オートバイ議連”が目指すものもこれとピッタリと重なっている。
 各党の会合を見てきた限りの私見では、二輪車界の利用環境にどんな課題があるのか元自民党で現日本維新の会の松浪議員以外に熟知していた国会議員はほとんどいなかったのは事実だ。二輪車愛好家の議員は多くとも、だ。そんな状態の議員の上に、AJなど各団体が的確に二輪車とユーザーが面している利用環境改善課題情報を注いだ。そしてこの結果、(松浪議員の効果ある働きかけ含めて)各議員には二輪車の最新状況が行き渡ったと考たい。

 で、問題はこれからだ。情報を得た議員なり議員連盟がいかにそれらを解決するため具体的にどう動くか。我々ライダーが望むのは、まさに「決めていける・変えていける」議連の存在だ。余談を言えば、議連の会合に出席を求められて出てくる各省庁の役人は総じて非常に低姿勢だ。日頃、業界団体やメディアと接する、どこか上から目線の”横柄感漂う”態度とは雲泥、天と地ほどの差。いや、それだけ国会議員の持つ力は役人にとって最大の脅威なのだ。

 そう、この力を国民はもっともっと具体的に利用すべきだ。議連とはそういう課題を国民から汲み取り解決に導く存在と考えたいし、信じたい。たとえ議員の集合離散は常であるとしても、二輪車愛好家議員の”趣味のハナシの集まり”で議連を終わらせてはダメだという覚悟を、二輪車サイドは肝に銘じておきたい。

 それでは、最近刷新あるいは新設された各党の”オートバイ議連”の設立&刷新の事実関係をまとめておこう。

 4月16日に東京・自由民主党本部で自民党オートバイ議連の総会が開かれ、新体制が決定した。
 それによれば承認された新役員は——

会長:逢沢一郎議員
副会長:高市早苗議員
幹事長:今村雅弘議員
幹事:小里泰弘議員
事務局長:三原じゅん子議員
事務局次長:宮澤博行議員

顧問:谷垣禎一議員/衛藤征四郎議員

 なお参加メンバーは現段階で総勢で約56名とのこと。最大与党の議連=リーダーとしての実行力・決着力に期待は大きい。気になるのは二輪車愛好家のクラブ的傾向も見え隠れするのを感じること。実際にツーリングを楽しんでいる会員議員も多いようだ。そこから一般二輪車ユーザーが蒙っている不合理を汲み取っていただきたい。


新体制になった自民党では新たな布陣で「自民党オートバイ議連」が発足した

「自民党オートバイ議連」の逢沢一郎会長(中央)と今村雅弘幹事長、総会で進行役を務めた事務局長の三原じゅん子議員。撮影/NEN(MCJC)
新体制になった自民党では新たな布陣で「自民党オートバイ議連」が発足した。 「自民党オートバイ議連」の逢沢一郎会長(中央)と今村雅弘幹事長、総会で進行役を務めた事務局長の三原じゅん子議員。●撮影-NEN(MCJC)

 また、新たに「日本維新の会オートバイ議員連盟」が6月5日、設立された。

 バイク利用環境の改革に向けた活動でお馴染み、自民党オートバイ議連時代には事務局長を務めていた衆議院議員の松浪健太(ケンタ)氏が昨年結党された日本維新の会に入党、働きかけたことでの設立。

 日本維新の会オートバイ議連は、かねてから松浪健太議員が提起・提唱する「オートバイ行政推進一括法案(仮称)」を議員立法で成立させ、二輪車に関係する法律を一本化することによって、125cc以下の二輪車をすべて同じカテゴリーにしたり、駐車場や高速道路といった二輪車ユーザーの不利益など、問題を一気に解決することを目的としている。これで「オートバイが持つ本来の特性を最大限に活かし、国民生活への寄与と近未来の望ましい交通社会の構築を目指す」としている。
 また松浪議員発案の「オートバイ国家戦略2013」という提案を含めて「自民党オートバイ議連などと“超党派議連”を組織し、国会審議に結びつく展開にしていきたい」と松浪議員は語っている。

 一括法案や国家戦略など、このあたりの詳細・全貌は当コラムに別掲されているので、ぜひ併せてご覧いただきたい。

承認された役員は以下のとおり。

会長:松浪健太議員
副会長:中田宏議員
幹事長:上野ひろし議員
事務局長:西野弘一議員
事務局次長:杉田水脈議員。

 なお参加メンバーは現段階で総勢約20名とのこと。超党派議連実現への歩みのキーを握るのは松浪会長を筆頭に積極活動する同議連であるのは間違いない。


衆議院第1議員会館・第4会議室で行われた「日本維新の会オートバイ議員連盟設立総会」には経済産業省、法制局、そして日本自動車工業会、NMCA日本二輪車協会、全国オートバイ協同組合連合会、全国二輪車用品連合会、日本輸入モーターサイクル協会といった関連団体が招かれた。撮影/本誌ピンキー・T

「日本維新の会オートバイ議員連盟」の松浪健太 会長(右)、中田宏 副会長。撮影/本誌ピンキー・T
衆議院第1議員会館・第4会議室で行われた「日本維新の会オートバイ議員連盟設立総会」には経済産業省、法制局、そして日本自動車工業会、NMCA日本二輪車協会、全国オートバイ協同組合連合会、全国二輪車用品連合会、日本輸入モーターサイクル協会といった関連団体が招かれた。●撮影-舟橋 朗 「日本維新の会オートバイ議員連盟」の松浪健太 会長(右)、中田宏 副会長。●撮影-舟橋 朗

 そして6月13日には東京で「公明党 オートバイ議員懇話会」が設置された。その目的は「業界と連携し、二輪車の特性を評価し、その利用環境を改善するため与党として具体的な取り組みを進めていきたい」としている。
 承認された役員は——

会長:佐藤茂樹議員
副会長:斉藤鉄夫議員/高木陽介議員/高木美智代議員/大口善徳議員/山本香苗議員/魚住裕一郎議員
幹事長:伊東 渉議員
副幹事長:石川博崇議員/輿水恵一議員/樋口尚也議員
幹事:西田実仁議員/谷合正明議員/浮島智子議員/山本博司議員/稲津 久議員/中野洋昌議員/国重 徹議員/伊佐進一議員/濵地雅一議員/佐藤英道議員

顧問:山口那津男議員/北側一雄議員

「与党として具体的に取り組む」という声明の発信は力強い。二輪車愛好家の集まりというより二輪車に乗っていない議員も多く、政治的な結束とも聞くだけに実務的な活動に期待は高い。


公明党の「オートバイ議員懇話会」(右から)北側一雄 顧問、佐藤茂樹 会長、伊藤 渉 幹事長

「公明党「オートバイ議員懇話会」にも日本自動車工業会、全国オートバイ協同組合連合会、NMCA日本二輪車協会、全国二輪車用品連合会、日本輸入モーターサイクル協会などが招かれて出席。
公明党の「オートバイ議員懇話会」(右から)北側一雄 顧問、佐藤茂樹 会長、伊藤 渉 幹事長。●撮影-舟橋 朗 公明党「オートバイ議員懇話会」にも日本自動車工業会、全国オートバイ協同組合連合会、NMCA日本二輪車協会、全国二輪車用品連合会、日本輸入モーターサイクル協会などが招かれて出席。●撮影-舟橋 朗

 このように各党が”オートバイ議連”を続々と立ち上げ、あるいは刷新して(残念ながら民主党の「オートバイユーザーを支援する議連」は離党者が続出して現段階では組織が不明になっているが)大いに期待できるのだが、冒頭でも書いたが、ともすれば一部組織では”バイク同好会”的な部分も感じられ、それはそれで一般社会に向けてのバイク認知という面で効果が大きいものの、本来の「決めていける・変えていける議連」としての機能発揮を強く望みたい。

■古・編集・長 近藤健二
ミスター・バイク本誌の編集長を4代目(1977年9月号~1979年10月号)&7代目(1985年4月号~2000年6月号)の永きにわたり務め上げた名物編集長。風貌も含め、愛されるキャラクターであり、業界内外に顔が広い「名物編集長」であるところは万人が認める。が、「名編集長」かと問えば万人が苦笑で答える。悠々自適の隠遁生活中かと思えば、二輪業界の社会的地位を向上すべく老体にムチ打って今なお現役活動中(感謝)。ちなみに現在の肩書き?「古・編集・長」は「こ・へんしゅう・ちょう」ではなく「いにしえ・へんしゅう・おさ」と読んでください。
古・編集・長 近藤健二

※以下の項目をクリックすると各項目に移動します


⑦日本維新の会、公明党、そして新体制の自民党——国会に続々“オートバイ議員連盟”が設立&刷新


①バイクの3ない運動が事実上終結で、継続高校をシラミ潰しせよ!


②次期二輪車排ガス規制に加えついに新騒音規制も施行——国際基準と同じ規制値に!欧州仕様車のサイレンサーが国内も可に


③松浪健太衆議院議員が狙う利用環境一発改善策は維新の会で続行か


④自転車レーン設置、超小型車登場…どうなる道路端30キロの原付一種・走行空間


⑤本誌ニュースで既報だがバイク高速料金適正化でお見せしたい自工会力作の図版


⑥バイク駐車スペースがこんなに少ない、まだまだ足りないを証明するデータとは

「裏庭の徒然草」TOPページへ戻る


[第15回|第16回|第17回]
[裏庭の徒然草バックナンバー目次へ]
[バックナンバー目次へ]