TEAMホンダテクニカルカレッジ関西 ハイパードキュメント2013夏 学生メカニックたちの鈴鹿 『さあ、世界にふれる夏』

二輪整備同好会 ホンダ ホンダ学園

 ホンダ学園ホンダテクニカルカレッジ関西は1981年に本田宗一郎さんが建学した。所在地の大阪狭山市は大阪府の南東部。背後には金剛山地の丘陵を控え、学園はかつて堺と高野山の交易で栄えた西高野街道沿いに現れる。清新な建物の並ぶ学園の周りには、若者に人気の量販店や飲食店があつまり、どこか学園を基軸にした学校城下町の趣きがある。

 6月下旬のある日、強かった西日もようやく傾いた放課後の学園。白い作業着に身を包んだ学生たちが「部室」と策定された整備場の一角でレースマシンに触れていた。Tカーはオーバーホール中。エンジンを下ろし、各部位に分けられての洗浄や補修。タンクは再塗装するための剥離作業など、めいめいが担当するパートに分かれて作業している。
 これがすべてのメンバーではなく、あくまでも課外活動の一環であるため補講や他の用事などで参加していない学生もいる。訪れた日も同好会メンバーの全員が揃わず、顧問の先生もひとり欠いていた。つきそっている顧問の白上貴紀先生が話す。

 

「補講をうける子たちもいますから揃わない時はありますね。自動車整備も最近のハイブリッド車やEV車など多様化してますでしょう。内燃機関を越えた電子機器を学ぶようなところもありまして、それらを習得しながらの活動は大変だなあと思うことがありますね」

 8耐クルーで今回のリーダーを務めることになった三宅束穂君(2年)は、同じ2年の加角 亮君とフロントフォークのむこうとこちら側。ブレーキのキャリパーを取り外して、ブラシによる洗浄作業。まだ少年と呼ぶにふさわしいふたりの横顔が、鈍い光沢を放つレーシングパーツに向き合うのは、いささかの違和感すら感じられる。

 二輪整備同好会。8耐参戦は、課外活動の一環。専門学校、カレッジのいわば「クラブ活動」の範疇である。学生の本分は学業だ。同校はまず自動車整備士を目指す、上級のスキル資格を取得したり、さらなる新しい自動車の研究を学ぶ学び舎。学業と並行しての「8耐」参戦は、相当な体力と根気、学業との両立を主旨としているのだ。

 同好会のレース参戦は、学園創設の頃から行われていた。4耐や地方選手権への出場を経て、おおきく飛躍したのが創立25周年を期しての2001年。21世紀の産声とともに8時間耐久選手権出場へとジャンプアップした。

「最初はプロのレーシングチームに監督やピットワークなどお願いして、私たちはお手伝いで加わるカタチでした。そして2007年からはすべてを自分たちでやろうじゃないか。独立独歩チームとしての形態になりました。今年で参戦13年目になりますが、ちょうど単独チームになって7年目なので、1年を上回ることになります。なにか節目のようなものを感じてますね」

 チームホンダ学園に乗るライダーは昨年に引き続いての顔ぶれである。
 第1ライダーは42歳の古澤基樹選手。第2ライダーには28歳の児玉勇太選手。ベテランと新鋭のカップリングにも、学園側としての「教える・教わる」の徒弟関係に近しい意図をこめていると白上先生はいう。しかし自分と同じ42歳の古澤選手について白上先生は深く思いやるのである。

「日頃は溶接工として働き、この8耐のためにひと肌ぬいでくれるライダーです。でも35歳を過ぎますとね。8時間の長丁場をあの暑さでしょう、とりわけJSB1000のマシンがずしりと重くのしかかってくるものなのです」
 ご自身の体験もあるのだろう。熱射のアスファルトを周回を重ねる上での疲労、息切れ、脱水等々は想像以上に厳しい……

「私の体験もですが交代を繰り返してきて3回目あたりにおおきな壁があるような気がします。突然、汗が出なくなった自分を認識する。年齢からのものなのか発汗しなくなる身体の異変といいますかね。身体がこわばってきて自分の操作が的確でないと感じてくる。危ない時です」

 その危ない時を察知して、早めに手を打つ。ここもピットワークの見せ所になるだろう。ハード面だけではなく、ソフト面の管理ももちろん学生の仕事だ。チーム内でマシンを触ることのできるメカニックは8名(これは規定なので他チームも同様)。4名をライダー専門の介護メンバー、ペルパーの構成になっている。
「ライダーを休ませるためにいろんな方法を取り入れていましたがアイシングが効果があるようです。首の後ろ、両脇それから太股の内側など。酷使によって熱がこもる場所を冷却する。そのようなライダーの状態を感じながら臨機応変に応えることが世界の耐久レースを戦うメカニックにとって大切なことだと思うんです」

 


ホンダテクニカルカレッジ関西

ホンダテクニカルカレッジ関西
かつてはホンダ関西自動車整備専門学校 (通称HATS)と呼ばれていたが、現在の正式名称は学校法人 ホンダ学園 ホンダテクニカルカレッジ関西。創立したのはかの本田宗一郎氏。基礎からスタートし、二輪専門コースも選択できる2年制の自動車整備科、1級整備士を目指す4年制の一級自動車整備研究科、開発製造部門のスペシャリストを目指す3年制の自動車研究開発科の3つの学科からなり、卒業生の多くはホンダ関連企業の即戦力として巣立っていく。専門知識のある人達が入学すると思われがちだが、実は新入生の7〜8割は高校の普通科卒で、初めて車やバイクの勉強を始める学生も多い。まだ進路が決まっていない車、バイクが好きなあなた、いかがですか? 学校見学会、体験授業などオープンキャンパスが7〜9月に開催されるので興味のある方は、ホームページhttp://www.hondacollege.ac.jp/honda_w/で確認を。

ホンダテクニカルカレッジ関西
正面玄関を入ると、広いロビーにはNR、RC212V、VT1300C、VFR1200Fや、レーサーのエンジン単体、そして課外活動でレストアされた初代シビックなどがお出迎え。


ホンダテクニカルカレッジ関西

ホンダテクニカルカレッジ関西
Honda F1参戦第三期の前に本田技研 栃木研究所が製作した、V12エンジンのF1のプロトタイプマシン”RC1.0x”も展示されている。さすがは、ホンダの直轄校。この”白いカラス”と呼ばれるプロトマシンは、学園の一般見学時にエンジンを始動することもあるそうで、ド迫力のV12サウンドを間近で体験できるかも。(写真提供─ホンダテクニカルカレッジ関西)

 ちなみに単独参戦以降、ゼッケンは28。この数字については。
「空いていたナンバーを頂いたのですが、その逆の82というのも空いていたんですね。82だったならハッツだったなあ、気がつかなかったなあ残念と」(笑)
 こう話してくれたのは同好会顧問のひとり大川 恒先生。ちなみにハッツ(HATS)とは同学園の前身ホンダ関西自動車整備専門学校の愛称である。


二輪整備同好会
今年の8耐マシンは2012年CBR1000RRのレースベース車(手前)。奧のTカーは2008年モデル。当たり前の話だがパーツ交換、セットアップなどすべて学生が行なう。
学園の創立25周年記念行事として2001年に初参戦。2006年まではプロチームとコラボ体制でスポンサーが付き、有力ライダーが乗りプロの監督が全体を仕切り、学生は指導や手助けを受ける体制で、2001年8位、2002年6位、2003年7位、2004年3位、2005年46位、2006年13位と転倒とトラブルに見舞われた2005年を除き上位のリザルトを刻んだ。プロの手助けがあったことは事実だが、学生たちの努力があればこその結果である。
2007年からは文字通りすべてを同好会で完結させなければならない単独参戦となり、2007年は予選敗退するも、翌2008年42位、2009年21位、2010年36位と見事完走し、経験と技術を蓄えた。2011年、2012年は転倒やマシントラブルに見舞われリザルト上は完走扱いとはならなかったが、リタイアすることなく最後まで走りきった。果たして今年は?
二輪整備同好会

 クルーを代表して今年のチームリーダー三宅束穂くんに話を聴いた。
 三宅くんは地方からの入学出身者の多い学園において数少ない地元大阪の青年であり、高校時代はサッカーをしていた。

「レーシングバイクというのは、一般のバイクとはなにもかも違うと感じています。ここをこうしたいと思っても、この配線はどうなってるのか? メモをとって次に活かそうとしても次がきた時にまた解らないことができてくる。頭のてっぺんから足のツマ先まで新しいことづくしといいますか。戸惑いの連続なのです」

 昨年、三宅君は1年生クルーとしてピットにいた。初めての鈴鹿体験。それはこれまでの人生観を一変させるような光景の連続だったそうだ。

「ああストレートがこんなにでかい。もう鼻の奥の奥がキナ臭くなるような衝撃。自分の脳が鈴鹿でいっぱいに。日常生活ではまず味わえない世界。いったい自分はなにをしていたのか? 頭の中身が真っ白になってあっと言う間の8時間でした」

 その時の体験をふまえ、今年は2年生としてリーダーに指名される。自身の成長を少しは役立てることができるのかなとはにかむ。

 三宅束穂君は今年のチームの様子をこう見ている。

「一見はおとなしくて物静か。しかし、とても個性の強い集団だと思います。まだグループとして行動をすることに慣れていない。チームの力はどうしたら発揮させるたことができるか」
「みんな自分がやらなければならないことは解っているんです。でも身体が動かない。はじめの一歩が出ない。自分がやっていいのかという不安が先に出てしまうのでしょうかね。たじろいでいる印象がとても強いのです。ここをどう動けるようにするのか」

 



三宅束穂君
チームをまとめる8耐リーダーの三宅束穂君。時には厳しく、そして人を引き込む笑顔も魅力。

 三宅君の高校時代のサッカーのポジションはディフェンダーサイドハーフ。メンバーが少なくどちらかといえば少数精鋭のチームだったという。黒い枠の眼鏡をかけてアタリ負けしないがっちりした体躯が印象的だ。

「サッカーの試合もそうですけど、声をださなくても意思の疎通というのはできます。味方の動きを事前に察知していま自分がどのように動けばよいか。どうすれば仲間をアシストしたりアシストされたりでいいカタチに持っていけるのか」
「頭でできていることを行動に出すためにはどうすればいいか。みんな解ってるはずなんです。やがて逃げ場がなくなって、どうしてもやらんといかんようになる。もう時間はそこまで来ていますしね」

 8耐は彼らメカニックのピットワークも見せ場のひとつ。前後のタイヤ交換、場合によってはブレーキパッドの交換、そして給油。これら首尾一貫をできるだけ短い時間で確実にこなし、ライダーを送り出さなければならない。今年のチームはこれらの作業を25秒以内にやり遂げるという目標を立てている。
 そして、これは考えたくないこと。自分たちが組み上げたマシンの予期せぬトラブル、さらに転倒。ここでのすみやかな修復が耐久レースの結末を決めるのである。三宅君の言葉の端々から、本番の日時が近づくにつれ大きくなっていく不安と、逃げようのないプレッシャーがこちらにもひしひしと伝わってくる。

「集中できるところはする。スイッチを入れるところは切り替える。漫然と8時間を過ごしているのではなくメリハリ。ダレてしまうことなく配分をふまえて行動したい。8時間後には、みんなでやったなあと笑って帰りたいのです」

 白上先生にも再び話に加わって頂いた。白上先生は現在4人いる同好会の顧問のなかで最年少の42歳。この学園の出身であり、自らが国際A級レーサーとして8耐を走った体験を持つ。

「毎年マシンをスターティンググリッドに送り出してピットに残る時間があります。私たちはピットに残る15分間と呼んでいます。ああ今年もここまで来られた。今年はひとつでも上の順位にしてあげたいなあ。チームが少しずつカタチになってきて、この本番でみんなどう変わるのか。指導者としても冥利に尽きるし、また胸のドキドキしてくる15分間なのです」
「学生のメカニックは毎年変わりますから常にゼロからのスタート。だから学生が学べるように原点回帰を心がけてます。最後には、いい顔みたいなあ。疲れ果ててるけどいい顔してるなあ。そういうエンディングをいつも頭に浮かべています」

 これからチームをコントロールにするのに思案する三宅リーダーにこうエールを送る。
「前のリーダーは前のリーダー。三宅には三宅のやり方がある。そこを貫いて欲しい。毎年メンバーが違うし、リーダーは変わる。今年のチームはコミュニケーションに長けているとは思います。三宅は、人の話を聞くのが上手いし、人の気持ちを汲み取る力もある」
「彼らの年代というのは、あるきっかけのようなものからスイッチが入って急速に伸びるものです。少子化にクルマ離れも重なって『バイクが好き』といってもその好きのレベルがばらばら。ここをどうまとめていくか。そのまとめ役として三宅くんのような子を、この夏はどっぷり漬けたいなあ」

 まるで弟分を見つめて転がすように笑う白上先生。弱ったなあという顔つきの三宅くん。彼らのようなメカニックの集うチームがホンダ学園。学生たちが組み上げたCBR1000RRがゼッケン28をつけて鈴鹿のピットにやってくるのである。

 いま野球やサッカー、フィギュアスケートやゴルフなど若い人たちの世界挑戦がかまびすしい。オートバイというクルマと人体が一緒になって速力や機能を競い合うジャンルにも「世界挑戦」は存在している。そこにピットワークの実力に重きが置かれる耐久レースは、まさに三位一体のスピードマッチだ。 

 さあ、世界に触れる夏。シグナルグリーンは7月28日の日曜日。午前11時30分である。

(後編は8月上旬公開予定です。その前に、7月28日決勝鈴鹿8耐での彼らをお見逃しなく!)


二輪整備同好会

二輪整備同好会e
課外活動の二輪整備同好会の部室。作業終了後は毎日清掃を欠かさず、チリひとつ落ちていない。恒例行事の8耐参戦だけではなく旧車の整備なども手掛ける。学園の課外活動は他にも、オートバイ同好会(主に運転技術の向上)、EV同好会、エコラン同好会、オフロード同好会、レストア同好会などの二輪四輪系はもちろん、スポーツ系の野球同好会、サイクルスポーツ同好会、テニス同好会、サッカー・フットサル同好会にラジコン同好会など多種多彩。

二輪整備同好会

二輪整備同好会e
課外活動時間は授業後の16時10分〜18時15分の約2時間程。基本的に土日は休み。かつては休日返上で連日の徹夜作業もあったようだが、現在は自らをマネージメントするという意味もあり、時間内で終わらせるよう各自が考えて作業をこなしていく。

二輪整備同好会

二輪整備同好会

二輪整備同好会

二輪整備同好会
歴代のクラブ員が知恵を出して作ったタイヤラックや工具から工夫した燃料タンクのマグネット式カバーに作業マニュアル等々。限られた予算と時間で活動する同好会にとって、学生たちの無尽蔵な知恵と努力は貴重な財産だ。「ちょっと形がわるいですが」といいながら見せてくれた先生だが「自分たちから『あれをやりたい、これを作りたい』と言って形にしていく。そういう姿勢は、嬉しいしたのもしいですね」と眼を細めた。

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●「今年8耐に向けて」
いまの気持ち、8耐への希望や不安、やってみたいこと、チャレンジしたいことなどを書いていただきました。

『みんなをまとめられるかが不安』 
 自動車整備科2年 三宅束穂

 僕は今年の8耐のリーダーになって毎日、正直、大変です。僕の言ったことを守ってくれなかったり、僕の知らないところで作業が進んでいたりして大変だったりします。けど先生は、僕の人柄や性格を見込んでリーダーにしてくれたので、その期待に応えるべく毎日努力しています。
 昨年は転倒して完走にはならなかったので今年は僕たちの力やライダーさんにも頑張ってもらって完走したいです。そして完走した時にみんなで「やったなあ!」「がんばったなあ!」とか言い合ってみんなでその時の気持ちを分かちあいたいです。

 みんなで話しあって決めたのが「予選を昨年より早いタイムで通過」「ピットルーティンを25秒以内」そして「完走」
 この3つを目標に今年の8耐をがんばっていきたいと思います。

 不安なことを言うと僕がリーダーとしてみんなをまとめられるのか? 8耐終わるまで引っ張っていけるかがちょっと不安だったりします。この同好会活動を通じて自分が何を得られるのかもちょっと分からないです。

 毎日自分で進むだけです!


『リアタイヤ交換ができたらいいな』 
 自動車整備科2年 皆見祐介

  
 作業がちゃんとできるか不安。完走できたらいい。リアタイア交換がしたい。


『ライダーの納得のいくバイクをつくりたい』 
 自動車整備科2年 所 誠弥

  
 今年は先生に作業を手伝ってもらう事が多かったので、サーキットで自分達がどれぐらい効率よく動いていけるかという不安があります。しかし、自分達が主としてやる最後の8耐なので、結果を残せるよう一生懸命戦います。

 目標/過去の先輩方よりも早いタイムでピットルーティンを終わらす事。
 20位以内の完走を目指す。
 ライダーの納得のいくバイクを作る。


『この場で学んでいつかは自分で4耐に』 
 自動車整備科2年 加角 亮

  
 今の気持ち。1年生、3年生に迷惑ばかりかけて、自分達がしなければならないことまで他の学年の方々にやってもらっているので、正直、同期のみんなにまで感謝しなくてはならないことがあります。先生方には、予定をたてていただいているのに期限を守れなかったりして期限を延ばしてもらうこともあったので、これからは期限を守り、みんなから信用される人を目指します。

 またライダーさんの思うようなセッティングが出せるように次の走行までには習得して決勝に望みたいです。ここで学んだことは、2年後、自分で4耐に出る時の勉強になると思いますし、就職してもここで学んだ人との接し方、作業効率の向上、周りを見る能力すべてを活かしつつ仕事ができると思ってますので、これからもすべてのことに対して意識しながら作業していきます。


『ピットサインは僕が担当します』 
 自動車整備科2年 梅林隆志

  
 希望。私はサインボード担当ですが、サイン以外にもレース関係のことをいっぱいしたいです。
 不安。サインをするにあたってレース関係者の方々やチームメイトに迷惑をかけてしまわないか心配です。


『自分の作業に責任をもって』 
 一級自動車整備研究科3年 長谷圭祐

  
 今の気持ちはワクワクしている気持ちと、少し不安があります。ワクワクしているのは、私はバイクが大好きなので、8耐のピットクルーとして出られるのがすごく楽しみだからです。不安なのは、ライダーの命がかかっている作業なので、失敗をできないことです。なので、気を引き締めて、自分の作業に責任を持って本気で取り組みたいと思います。そして今年こそは完走できるように全力を尽くしたいと思います。

 もうひとつ、やってみたいこととして、来年もマシン担当をしてみたい。そのために今年の8耐でいろんな作業を覚えて来年に活かせるようにしたいと思います。ピットインしたバイクのタイヤ交換の時間をより短縮させて、いち早くコースに出るピットワークを向上させたいです。


『今年こそ念願の完走を』 
 一級自動車整備研究科3年 宮下勇作

  
 今回、初めての8耐レース参加なので、正直な気持ち「しっかりとやれるだろうか?」「完走できるだろうか?」という不安があります。ライダーさんの命がかかっているぶん、責任は想像以上にあると思うので気を引き締めてがんばりたいです。そして不安と同じくらい今回の8耐レースが楽しみでいる自分がいるので、最初から最後までしっかりと楽しみたいと思います。

 僕は今回、燃料の給油をやっていくのですが、個人の意見としては、もっとピットクルーの作業を積極的に取り組んでいきたいです。しかし、やはりピットの中ではひとりひとりの作業をテンポよくすることで流れていくと思うので、まずは自分に課せられた作業を完璧にこなしたいです。僕がこの学校に入学してから毎年8耐は見に行っていたのですが、2年間ともに完走にいたらなかったので、今年こそは完走して、みんなが笑顔で帰れるように、僕ができることは全力でやりたいと思います。


『こちら側から見る8耐への喜び』 
 自動車整備科1年 前田 翼

  
 自分になにができるのかまだよく解らないから、周りに迷惑をかけないようがんばりたい。昨年まで観戦側だったけど、立場が変わってまた別の8耐も見てみたい。少しでもチームの役に立ちたい。


『せっかく行くのだから楽しみたい』 
 自動車整備科1年 三田村朋紀

  
 8耐に行くメンバーに選ばれたからには、自分のできることを精一杯やろうと思います。僕は8耐に初めて行くので少し不安はありますが、来年のためにも少しでも多くのことを学べたらいいなと思います。せっかく行くからには、やっぱり楽しみたいです。8耐へ行くのがとても楽しみです。



テスト

テスト

テスト

テスト

テスト

テスト

テスト

テスト
7月3〜4日に行なわれた第2回合同テストも終わり、あとは本番で成果を見せるのみ。
●撮影─瀬谷正弘(走行写真)・楠堂亜希(ピット写真)

『僕を選んでくれた仲間たちのためにも』 
 自動車整備科1年 伊豫田将也

  
 今年の8耐に向けて、いま感じているのは、本当に行くメンバーが自分でよかったのかなという不安です。今年の1年生のメンバーは人数が多くて約半分である6人しか一緒に行くことができないという状況になりました。その6人を選ぶ時にみんなが最初からいたからと僕を選んでくれました。正直、みんなにも負けないくらい8耐に出てみたい気持ちは強かったと思います。でも、みんなも8耐に出たいのをこらえて僕を選んでくれたのにいまの自分が値するレベルにいないと思うので、8耐に向けて不安でいっぱいなのです。先輩たちにも今年が最後なのに自分が足を引っ張ってしまわないかとても心配です。自分のせいで先輩たちが今年の8耐にむけて築いてきたものを台無しにしたくないと考え出すとどんどんネガティブな方に自分は考えてしまいます。

 それは自分でも悪い点だと思っているので、これからの2年間で8耐という大きなことを成し遂げて、大変だと思われている同好会をしっかり最後までやりきって、自分自身に自信を持てるような人間になりたいです。少し話がずれてしまいましたが、まずは今年の8耐に向けて、残りが1ヶ月をきってしまいましたが、自分のできることを確実にこなしていき、今年の主役の二年生の先輩方の手伝いをしっかりとやりたいと思います。叱られることもあるかもしれませんが、出来ていないところはしっかりと理解してやっていき、8耐に参戦するとはどういうことなのかを自分自身で感じたいと思います。


『メカニックの気持ちや苦労を学びたい』 
 自動車整備科1年 高橋伸明

  
 希望。新しい技術の向上や、一般の自動車整備やバイク整備では得られない技術を体験値にしたい。先輩方や先生方のノウハウを自分自身のものにしたいと思っています。
 不安。自分が責任もって整備した箇所がマシントラブルに繋がってしまったらと思うと少々不安です。
 私は、この同好会に入った理由として、8耐をはじめバイクレースに自分自身が参戦したく、それが乗るだけでなく、メカニックさんひとりひとりの気持ちや苦労などを理解し、皆さんのおかげでバイクに乗れるんだという心の大切さを学んでみたい。同好会の活動を通じて、マシンを整備する技術やライダーさんのライディングについて少しでも身につけることができたらいいなと思っています。


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ホンダテクニカルカレッジ関東
#28だけではなく、#40「Honda浜松エスカルゴ&PGR&ホンダ学園関東」と#41「Honda狭山レーシング&浜松&ホンダ学園関東」にも注目。姉妹校であるホンダテクニカルカレッジ関東(埼玉県ふじみ野市)のメカニック部も、2004年以来、ホンダ社内チームのメカニックとして8耐に参戦しているのだ。

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