Yamaha
「XVS950CU BOLT」及び「XVS950CU BOLT-R」は、<Star original Bobber, Best for Urban Fun Ride!>(スターシリーズならではのボバースタイル※と市街地走行の楽しさ)をコンセプトに掲げ開発、シンプルな外観に都市近郊でのショートライドでの快適な走行性を備えたモデルです。
主な特徴は、
1)市街地走行にも適した走行性と車体サイズ、
2)“ボバー”感あるスタイル、
3)ロウメタル&塊感あるボディデザイン、などです。
(※ヤマハリリースより)
 
こちらの動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。http://youtu.be/Ilylk5OXNr8
BOLT-Rは、スタンダードのBOLTのスポーティイメージをより強調したモデル。タンクストライプグラフィック(マットグレーメタリック3のみ)、ゴールドリザーバータンク付リアサスペンション、バックスキン調黒表皮シート(黄色ステッチ)、前後切削ホイール(日本専用仕様)を採用している。

 スリムで軽快感のある、シンプルなボバースタイルに仕上げた、というのがスタイリングのテーマ。燃料タンク後端、シート前端部分に出来たくびれは細くて、後ろのシリンダーが横からはみ出している。それはセクシーさだけでなく、足つきに大きく貢献していて、シート高690mmとかなり低いこともあって、最近の男子平均より低い、身長170cmでも、地面に足をついて、膝が曲げられる余裕があった。

 Rスペックの特徴のひとつである、バックスキン調の黒表皮に、それより明るめのステッチが入ったシートは、銀杏の葉のような形をしていて、座面は広めで、後端が跳ね上げられている。ここにピタッとハマるフィット感で、ズレにくい。面積は広くでん部全体を支えながら、広すぎて余る感じはない。

 シート座面から、車体前方に向かってティアドロップ型の燃料タンクが高くなっていき、その延長線上の高さにハンドルグリップ位置がくる感じ。グリップまでは肘にゆとりが持てる距離。手首に無理はかからない。背筋をピンっと伸ばして乗るより、若干猫背にする方が似合うので、そうすると、肩から気持ち下方向へまっすぐ腕が伸び、肩幅より少し開く感じ。バイクに体が埋まっているようで、ライダーもカスタムクルーザーの雰囲気に入り込める。ステップ位置はいわゆるミッドコントロールで、椅子に腰掛けるような膝の曲がりだ。

 価格と排気量、そのスタイルから、HARLEY-DAVIDSONのスポーツスターがライバルとなるのだろうが、乗って感じたサイズは同じくらいか。ただ、現物を前にすると、巷で耳にしたほどスタイルは似ておらず、独特の個性を持っている。各エレメントは別の造形である。エンジンのフィーリングや走りも似ていなかった。

 セルスタートさせたVツインは排気管がショートながら静か。しかし、その中に、鼓動と、歯切れのよい乾いた“らしい”音がある。エンジンはダブルクレードルフレームにリジッドマウントされているけれど、体に伝わる振動は押さえられている。ブリッピングでエンジンがユッサユッサ揺れず、ひかえめな身震い。アイドル回転数付近でクラッチを繋いでも、トルクは充分にあって、そのままフラットにパワーが出ながら、タコメーターがないので詳細な回転数は分からないけれど、スムーズに高回転へ繋がっていく。

 ちょっと空いた都内の一般道で、4速に入れておけば、滑るようなクルージングを味わえる。加減速が頻繁なら3速で。個人的には3速より、4速で40km/h~50km/hくらいで流している方が、エンジンの鼓動を味わいながらスルスルっと前に出るのが気持ちよかった。

 回転上昇は軽く、高回転でも振動は抑えられていて、スロットルレスポンスも良いので、開け気味で乗っても楽しい。低中回転重視なのは間違いない。でも、意外なほど高回転での速度の乗りも良くて、速くも走れた。クセみたいなものはまったくないから、日常的な街乗りで億劫にならない素直さ。

 アメリカ製と大きく違うと思ったのは、走りのしっかり感。フロントフォークは速度が低く荷重があまりかかっていない所から、良く動いて、速度があがっても、ダンピングが効いて、剛性はクルーザーの中では高い。Rスペックは、ゴールドのリザーバータンクが差し色になった、ピギーバックタイプのショックユニットになっている。速度を上げながら路面の継ぎ目を通過する時に、お尻に強めのショックがくることを身構えたけれど、これがこなくて、軽くいなした。ホイールトラベルがそれほど大きくない中で、よく仕事をしている。

 ライダーがリアタイヤ付近に座っていることもあって、リアブレーキの効きとコントロールが重要。この点、抜かりがなく、フロントブレーキとのバランスがとれていて、タイヤのグリップを失うことなく、確実な減速が出来た。

 だから、高速道路のタイトなコーナーで100km/hくらいで旋回していっても、へこたれず怖くなかった。バンク角は深くはないが、不満になるほど浅くもない。見た目はカッコイイけど、いつでもどこでもガリガリどこかを擦って、コーナーはゆっくりしか走れない、なんてことにはならない。右コーナーでは、左側にはみ出している後ろシリンダーのヘッドを膝でホールドするといい。熱でアッチッチとならないように、ヘッドにはガードがあるし。右側はエアクリーナーに膝が当たる。意地悪に膝を内側に入れると、エキパイのヒートガードに触って熱かった。普通に乗っていればまずそんなことにはならないからご安心を。

 クルーザーというカテゴリーは特異で、ハードの性能より、スタイルを重視するユーザーが少なくない。ということは、スタイルが良くて、ハードの走りも良ければなおさらではないか。BOLTはそんなモデル。

 シートも低くて、扱いやすいエンジンだから、クラッチとブレーキのレバーに調節機能が付いていると、小柄な女性ライダーも嬉しかったかな。燃料タンク交換をしやすいように、燃料ポンプをタンク内に設置してなかったり、サイドメインスイッチでメーター、ハンドル周りをイジりやすくしたり、「別のに換えてもいいよ」と言わんばかりのテールランプ類だったり、カスタムすることを予め考慮しているから、そこもカスタマイズの一部ととれば気にならないか。

 素で乗るのも良し、カスタムするも良し。それを支えているベースの走りがしっかりしているのが、BOLTの魅力。見た目だけで終わらないのがメイド・イン・ジャパンの誇り。

ライダーの身長は170cm。
■BOLT-R 主要諸元
●エンジン:空冷4ストロークV型2気筒SOHC4バルブ●ボア×ストローク:85.0×83.0mm●総排気量:941cm3●圧縮比:9.0●最高出力:38kW(52PS)/5,500rpm●最大トルク:80N・m(8.2kg-m)/3,000rpm●燃料タンク容量:12リットル●燃料供給装置:フューエルインジェクション●変速機:常時噛合式5段リターン●フレーム:ダブルクレードル
●全長×全幅×全高:2,290×830×1,120mm●軸距離:1,570mm●シート高:690mm●最低地上高:130mm●重量:251kg〈247kg〉●サスペンション:前テレスコピック、後スイングアーム●ブレーキ:前油圧式シングルディスク、後油圧式シングルディスク●タイヤ:前100/90-19M/C 57H、後150/80B-16M/C 71H
※〈 〉内はBOLT
カラー:
BOLT-R ブラックメタリックX(ブラック)、マットグレーメタリック3(マットグレー)
BOLT ブラックメタリックX(ブラック)、ブルーイッシュホワイトカクテル1(ホワイト)
ABSモデルはブラックメタリックX(ブラック)のみ
メーカー希望小売価格:
「XVS950CU BOLT-R」918,750円(本体価格875,000円、消費税43,750円)
「XVS950CU BOLT-R(A)」968,100円(本体価格922,000円、消費税46,100円)
「XVS950CU BOLT」874,650円(本体価格833,000円、消費税41,650円)
「XVS950CU BOLT(A)」924,000円(本体価格880,000円、消費税44,000円)


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