G2人気を牽引した立役者、その魅力は今も輝き続けています!It is a best G2 through the four seasons. Honda PCX

 ご無沙汰しております。G2連邦のピンキー髙橋でございます。今年もG2(原付二種)に関する話題を取り上げていきたいと思います。どうぞ、これからもごひいきに。

 さて、昨年はホンダさんから原二が計6モデル(グロムCBR125R、クロスカブリード125、ズーマーXSh mode)もリリースされ度肝抜かれました。私自身、クロスカブで2500kmに及んだロングラン をしたり、Sh modeでエコランしたりと、新型原二の素晴らしさを身をもって体験いたしました。

 そんなわけで昨年話題を独占した2013年モデルですが、ホンダにはまだまだ素晴らしい原二モデルがあるのをお忘れではないですか? ここ近年の原二販売台数増加に一役買ったモデル、PCXです。そこで、世界規模のグローバルモデルとして開発されたスクーターを改めて考察してみました。

報告:ピンキー高橋
撮影:依田 麗/G2連邦記録班
問:Honda お客様相談センター TEL:0120-112010
http://www.honda.co.jp/motor/

1クラス上の上質な走り

 ホンダにとって、予想以上の大ヒットになったというPCXは2009年の東京モーターショーにワールドプレミアされ、日本では翌春に販売を開始。2012年には次世代125ccスクーター用ユニット「eSP」エンジン を搭載し、見た目は変わりないけど耐久性・静粛性と燃費性能が高められるなど、中身は大きな進化を果たしました。

 2012年モデルはコチラ でも紹介いたしましたが、時を経て改めてこのバイクのチャームポイントを挙げるとすれば、とにかく乗っていて“気持ちがイイ”ことでしょう。eSPエンジン技術資料のいたるところに表記されている「フリクションの低減」を、運転していると実感できます。原二クラスでここまで吹け上がりが軽くてスムーズで振動の少ないエンジン、私は他に知りません。

 気持ちイイのはエンジンだけではありません。これはeSPエンジンを積む前の2010年モデル共通のPCXのチャームポイントと申しましょうか、大径タイヤは安定感があり、骨格がしっかりしているおかげでサスペンションの動きもよく快適。前のレポートでも言っている「1クラス上の上質な走り」なのです。昨年、一気に登場した原二6モデルに対し色褪せることなく、PCXは今も独特のキャラクターで輝きを放っていると言えるでしょう。



PCX


PCX
見た目は2010年モデルと変わりない2012年モデルですが、外装パーツなどは多くの部分で互換性がないほど改良が加えられているとか。ボディカラーは2012年モデルから設定されたキャンディーライトニングブルー 。


PCX


PCX
軽くてスムーズな吹け上がりのエンジン、適度なボディサイズに取り回しの良さで、毎日の通勤時でも痛快な走りを楽しめる。さらに通勤バイクとして飽き足らず、ロングランも快適にこなしてしまうところがPCXの魅力と言えるでしょう。

区間燃費は最高で54.92km/L

 ただ、前回のレポートでひとつ、お伝えできなかったことがあります。燃費です。低フリクションを徹底したeSPエンジンだけにとても気になるところでしょう。実は、次期大統領専用車の候補としてPCXをテストをして、データを蓄積しておりました。そこで、集計したデータは以下のとおりとなりました。

■燃費データ1・平均燃費
期間:2012年5月18日~21日、8月28日~2013年12月30日
走行距離:10715.6km
消費燃料:226.42 L
平均燃費:47.32km/L

※満タン計測法。小数点第3位以下切捨て。

 データ1の平均燃費ですが、おそらくその8割ほどは片道17キロ(内、約5割は環状道路を走行)の言わば“通勤”ユース。もちろん、給油の際は毎回油面を揃え、可能な限り誤差がないよう注意をはらいましたが、あくまで「満タン計測法」なので参考データということで。でも、長期に及んで蓄積したデータなので、かなりリアルな数値だと思います。どうでしょう? 1年・1万キロ以上走った平均燃費としてまずまずではないでしょうか? しかも経済走行(エコラン)が苦手な私のテクニックですから、いかにPCXのポテンシャルが素晴らしいかがうかがえます。

 また、四季を通じてデータを見ると、暖かい時期と寒い時期で大体リッターあたり4kmほど差が出ました。もちろん、暖かい時期の方が燃費がいい。これはPGM-FIが気温が高い時は燃料を薄く、低い時は濃く吹き、常に理想の燃焼状態を行っているということ。当たり前のことですけど、ちゃんとデータとして表れていることに、ちょっと嬉しくなってしまいました……。

 ちなみに、区間燃費は最高で54.92km/L(初夏の大井川方面へ走行距離約500キロのロングラン)、最低で42.73km/L(2~3月の通勤メインユース)でした。カタログ燃費は53.2km/Lです。

より現実に近い使い方で本領発揮のeSPエンジン

 交通量や気候・気温など、まったくのイコールコンディションは不可能ですが、時間帯など可能な限り条件を揃え、東京の二つの環状道路で同じルートを同じ距離で、2010年モデルと現行型2012モデルの比較テストも行ってみました。環状7号線は比較的流れが良く、いわゆる“環5”として都心よりの明治通りは信号が多い市街地を想定しています。あくまで参考データです。

■燃費データ2・2010年モデルとの比較
○環状7号線2周(153.4km):
・2010年モデルPCX:55.57km/L
(2012年4月24日 晴れ 平均時速・35.67km/h  給油時気温・22℃)
・2012年モデルPCX:55.98km/L
(2012年10月12日 晴れ風ちょっとあり 平均時速・36.66km/h  給油時気温・24℃)

○明治通り2往復(144.3km):
・2010年モデルPCX:50.27km/L
(2012年4月25日 曇り一時小雨 平均時速・27.39km/h  給油時気温・20℃)
・2012年モデルPCX:51.17km/L
(2012年10月15日 晴れ 平均時速・26.31km/h  給油時気温・23℃)

※満タン計測法。小数点第3位以下切捨て。走行距離は2010年モデルと2012年モデルで違いが出たので2012年モデルの距離に揃えました。

 燃費データはほんの僅か2012年モデルが上回ったにすぎない、という結果でした。誤差の範囲と言ってもいいかもしれません。あれだけ「フリクションの低減」を謳っているeSPエンジンだけに、もっと燃費に差があってもいいのではないか!?

 これはあくまで推測ですが、私が実際に体感したそれぞれの車両の走行距離の違いではないかと。2010年モデルに慣れた身体でeSPエンジンを搭載した期待の2012年モデルに一番最初に乗った時、フリクションが少ないはずのエンジンが重く感じられたのです。その時、オドメーターの距離は2010年モデルが約5500km、2012年モデルは僅か100kmちょっと。燃費テストを行った時、2012年モデルのエンジンは本調子ではなかった、いわゆる“アタリ”が付いていなかったのではないかと推測できます。実際、2012年モデルeSPエンジンは距離が伸びるにつれて軽く吹け上がっていくのを実感しております。おそらく、走行距離も揃えてテストしたら、2012年モデルはもっと好燃費を叩き出していたのではないかと思われます。

 ちなみにカタログに記載されている燃費は2010年モデルは53.0km/L、2012年モデルは53.2km/Lと、0.2km/Lの差しかありません。ただ、以前ホンダ関係者にお話を伺ったところ、eSPエンジンは定地走行よりも、実際に通勤などで使った際のより現実に近い使い方で大きな差が出るそうです。



PCX


PCX
eSPエンジンは研究所の方々が徹底追及した「フリクションの低減」を実感できるユニット。アイドリングストップも秀逸です! なので当然、燃費もイイ。夏場は通勤ユースでもリッターあたり50kmほど走ります。

とにかく、走って気持ちイイ、楽しい!
 

 今、街中を走っていると軽二輪の150を含めPCXをよく見かけます。ホント、大ヒットしたんですね。実際PCXに乗っている人ならお判りと思いますが、ハッキリ申して、とてもイイバイク。エンジンのフィーリング、取り回し、車体のしっかり感どれをとっても高い仕上がりなんです。

 今や同じエンジンを搭載するリード125やSh modeもラインナップされており、ハッキリ申して使い勝手の面でPCXがやや劣る部分があるのは否めませんが、今もPCXが色褪せていない魅力をもっているのは事実。やっぱり運転して、走って楽しいのです。そういった点で、原二スクーターの中でPCXは唯一無二の存在なのではないでしょうか? 四季を通じて“ベスト・オブ・G2”です。



PCX
■PCX主要諸元
■型式:EBJ-JF28 ■全長×全幅×全高:1,915 ×740 ×1,090 mm■ホイールベース:1,315 mm■最低地上高:130 mm■シート高:760 mm■燃料消費率 :53.2 km/L(60km/h定地走行テスト値 )■最小回転半径:2.0 m■車両重量:128 kg■燃料タンク容量:5.9 L■エンジン種類:水冷4ストロークOHC単気筒 ■総排気量:124cm3 ■ボア×ストローク:52.4×57.9 mm■圧縮比:11.0 ■燃料供給装置:PGM-FI ■点火方式:フルトランジスタ式バッテリー点火 ■始動方式:セルフ式■最高出力:8.5kw[12PS]/8,500 rpm■最大トルク:12N・m [1.2kgf ]/6,500 rpm■変速機形式:無段変速式(Vマチック) ■フレーム形式:アンダーボーン■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/機械式リーディング・トレーリング ■タイヤ(前/後):90/90-14M/C 46P/100/90-14M/C 51P ■車体色:パールヒマラヤズホワイト 、キャンディーライトニングブルー 、アステロイドブラックメタリック ■メーカー希望小売価格:299,250 円

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