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ホンダ
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CB400FOURを彷彿させるエキゾーストパイプ。美しさを追求するため、4本のエキゾーストパイプをエンジンに極力近づけている。この新世代の直4エンジンは、先進国、進展国など地域を問わず、グローバルな市場ニーズに応えるため、Thai Honda Manufacturing Co., Ltdで生産し、国内では熊本製作所で完成車として生産される。 新型スクーター「Dunk」の発表会と同時に行われた「直列4気筒新型650ccエンジン」の発表。記念撮影に収まるのは向かって右から本田技術研究所二輪R&DセンターでCB、CBRシリーズの開発を行った開発責任者、後藤悌四郎さん。左へ順位に、Dunkを担当した二輪事業本部コミューター領域事業統括、今田典博さん。本田技研工業取締役執行役員で二輪事業本部長、青山真二さん。ホンダモーターサイクルジャパン代表取締役社長、井内正晴さん。

 新世代の直列4気筒、何が“新”かというと「日常に使用する低・中回転域でも扱いやすく、加速時には使用頻度の高い2速から3速のシフトレンジで加速感を強調させることで、直列4気筒エンジンならではの伸びやかな吹け上がりと上質感を実現」というコンセプト自体だ。高回転高出力という従来の直4のイメージとは異なる、低・中回転域に焦点を当てたエンジン作りがなされたという。

 具体的には、高回転域でのスポーツ性にプラスして低回転域での扱いやすさも両立させるエンジンとするため、流体シミュレーションCAE出力計算と搭載予定モデルのテスト値から、ボア×ストロークをφ67mm×46mmとし、バルブタイミングはオーバーラップ量を極力少なくし、エアファンネル最小内径をφ30mm、最高出力回転数を9,500rpmと設定することで、6,000~9,000rpmにおいてスムーズな加速が得られるようにしている。また、エキゾーストパイプは、最適な管長や管径を選択することで、4,000rpm以下の低回転域でトルクがあり、扱いやすく、Uターンなど極低速時の低回転域走行がより容易に行える仕様としている。

 低中速トルクのツイン、高回転高出力の直4という従来のイメージをまったく覆すコンセプトだ。先のニューCBシリーズでは、ツインエンジンとは思えないストレスフリーの吹け上がり、スムーズな回り方に驚かされたものだが、今度は逆に、直4とは思えない低・中速回転域での扱いやすさに感嘆することになるのだろうか。

 低・中速回転域での粘りのためにはスロットルボディのバルブサイズをφ32mmに設定、エキゾーストパイプも集合部内に2枚の整流板を採用し集合部に2経路の排気経路を形成している(特許出願中)。

 さらに直4エンジンの特長といえる高回転域での伸びのあるエンジンフィールも犠牲にはしていない。吸気バルブ径φ27.5mm、排気バルブ径φ22.5mmを採用、吸気ダクト配置の最適化、エアクリーナー内部の積極的な整流および、大型パネル式エレメントの採用により充分な吸入空気量を確保。シリンダー前傾角を30度とし、ダウンドラフトレイアウトとすることでエアクリーナーから吸気ポートを経てエキゾーストへ至るまでの吸・排気経路の曲げ部分を極力減らしストレートポート化することで、吸・排気抵抗もより低減している。

 新世代の直4エンジンを搭載する「CBR650F」、「CB650F」は“桜の咲く頃には…”の登場が予想されている。新世代の直4は、いったいどんな走りを見せてくれるのか。他のホンダのスポーツモデルにも新世代直4時代が到来するのか、今から期待が膨らむ発表だった。

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スロットルボディは、取り付け角やセンサー類の位置を最適化したことにより、コンパクトな配置を実現し、完成車のフレームボディのメインパイプ幅を狭く抑えることが可能になったという。また、シフトスピンドルなどミッション部品を含めた補機部品形状の最適化や、オイルフィルターを通常のエンジン前面からエンジン後方下部に移動させたことで、エキゾーストパイプをシリンダーとクランクケース側に近づけ整然と配置。また、それにより排気系を含めたエンジン全体のコンパクト化を実現し、同時にオイルフィルターのメンテナンス性も向上させている。
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高回転域で伸びのあるエンジンフィールを実現させるために、吸気ダクトの配置最適化、エアクリーナー内部の積極的な整流および大型パネル式エレメントの採用により充分な空気量を確保。 エキゾーストパイプは集合部内に2枚の整流板を設置し、集合部に2経路の排気経路を形成している。マフラーはショートタイプとし、マフラー内部には400セルキャタライザーを装備、EURO3排出ガス規制に対応。
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吸・排気系を含めたエンジン全体の前後長を短くし、コンパクトなパワーユニットとすることで車両のマスの集中化も実現。 冷却システム全体もコンパクト化。サーモスタットを内蔵するケースをシリンダー前面に移動し、エンジン内部の冷却水をエンジンヘッドからシリンダーに流れるように変えることで、ラジエターホースの短縮とボトムバイパス通路のビルトインによるコンパクト化を図っている。 ピストンはCAE技術を最大限に活用することでピストン剛性、強度バランスの最適化と軽量化を図っている。スカート部にはオーベルコートを施すことによりピストン摺動フリクションを低減。コンロッドの大端部中心から小端部中心までの長さを108mmとし、ピストンピンにはCBR600RRに採用しているAB1処理、コンロッド摺動部にはパルホスM1-A処理と呼ばれる特殊処理を組み合わせて取り入れ、高負荷時の耐久性を向上させているという。


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