京都・兵庫湯巡りツーリングの事実上の最終日となる3日目。最終日はいつもなら夕方まで現地で過ごして、夜通しかけて帰京するのだが、今回は大阪に1泊して、早朝帰京するというスケジュールにした。今日の最終目的地は兵庫県の名湯・有馬温泉だが、そこまで何湯入れるかが勝負だ。
ホテルで贅沢にも朝食を食べてから出発。天気は雲ひとつない快晴。気温も穏やかで気持いい。朝風呂に入る前に、まずは姫路城に向かう。姫路城はホテルから歩いて数分のところにあるが、ホテルに戻ってくるのも面倒なので、とりあえず姫路城までバイクで向かう。姫路城に隣接する姫路市美術館入口にバイクが置ける駐輪場を発見。そこにバイクを置いて姫路城に向かう。
国宝であり、世界文化遺産でもある姫路城は、日本でも有数の美しさを誇る城郭であり、その威風堂々たる姿はまさに「日本のお城」である。姫路城に関する解説は省くとして、平成23年から約3年かけて大天守閣が保存修理工事中となっており、大天守閣部分は城郭のイラストが描かれた巨大なカバーで覆われている。そのため、大天守閣へは登れないが、修理の様子が見学できるという(平成26年1月15日で修理見学施設「天空の白鷲」は閉館し、天守群の見学再開は平成27年3月27日を予定しているのこと)。
修理見学は予約しないとできないのと、多くの観光客が訪れているので、カバーで覆われた外観を見るだけにした。姫路城というと、画像かプラモデルでしか見たことないが、実際間近で見るとかなり大きい。城内も広々としていて、以前訪れた伊賀上野城とはスケールが違う。さすが世界文化遺産に登録されているだけはある。
姫路城を後にして、有馬温泉を目指す。姫路市内から有馬温泉へダイレクトに行ける道は山陽自動車道しかなく、ツーリングマップルを見て考えた結果、途中に温泉が点在する加西市、加東市、三木市を通るルートに決めた。まず第1湯目として、国道312号線から国道372号線に進んで加西市に入り、県道349号線を西脇市方面に少し走ったところにある滝見温泉「ぽかぽ」を目指した。県道349号線に入ったところで少し迷ったが、公園と住宅街を抜けた小高い丘陵地に目的地はあった。
滝見温泉「ぽかぽ」は兵庫県加東市下滝野にある日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。浴室は「山の湯」と「川の湯」の2種類あり、私が訪れた時は「山の湯」だった。浴室そのものはそれほど大きくないものの、建物が小高い丘陵地にあるため、大きな窓の内風呂からは周囲の景色が一望できる。お湯はちょっと塩気のある無色透明。洞窟風呂をイメージした露天風呂は浴室から下がったところにあり、段々状となっている。湯加減も適温で、朝風呂にはピッタリの温泉だった。
滝見温泉「ぽかぽ」を出て、次に向かうのは東条温泉「とどろき荘」。県道349号線から国道372号線に戻り、篠山市方面に向かって県道85号線に入り、県道75号線方面に進み、滝見温泉から30分ほどのところに目的地はあった。東条温泉「とどろき荘」は兵庫県加東市岡本にある宿泊可能な入浴施設だ。入湯料は600円。浴室は広々としており、複数の内風呂があるが、露天風呂はない。さらに内風呂の中でも高温湯が源泉となっている。お湯は熱めでやや黄色かかっており、ちょっと塩気がある。他の内風呂のお湯を見ると無色透明なので、もしかしたら温泉は高温湯だけなのかもしれない。
温泉を出ると、午後0時30分を回っていた。ランチタイムだが、3湯目は東条温泉からそれほど離れていないので、3湯目を入ったところで昼食を摂ることにした。県道75号線を戻り、県道144号線を三木市方面に進み、県道20号線を県道17号線方面に向かったところに第3湯目となる吉川(よかわ)温泉「よかたん」があった。
吉川温泉「よかたん」は兵庫県三木市吉川町にある日帰り入浴施設だ。この地域特産の酒造に使われるお米(酒米「山田錦」)に関する展示が行なわれている「山田錦の館」に隣接している。浴室は「幸の湯」と「福の湯」があり、この日の男湯は「幸の湯」だった。源泉は内風呂、露天風呂それぞれ1箇所ずつある。ここの温泉は炭酸泉が特徴らしく、露天の源泉風呂に行ってみる。お湯は茶褐色で、湯船の底からお湯が噴き出しており、さらに横から加湿器のように湯気が出てきて、思わずむせてしまった。源泉以外のお湯は無色透明で、源泉以外の露天風呂は広々していてゆったりくつろげる。
温泉から出て、併設されている「山田錦の館」で地元産の「かやくむかごごはん」と「大豆ころっけ」を買って腹ごしらえ。道の駅や名産品を紹介しているような場所では、地元産のお弁当や惣菜が売っていることが多いので、近くにコンビニや食べるところがなかったりした時は立ち寄ってみよう。意外な掘り出しものがあるかもしれない。
午後2時を回ったところで、いよいよ有馬温泉に向かう。兵庫県神戸市北区有馬町にある有馬温泉と言えば、兵庫県だけではなく日本でも有数の温泉地である。有馬温泉の名所と言えば泉質の異なる共同浴場(外湯)「金の湯」と「銀の湯」である。できれば2湯とも入りたいところだ。
吉川温泉から有馬温泉はそれほど離れてはいないが、ルートは複雑。県道17号線から県道82号線に向かい、県道98号線に入り、山を越えて有馬温泉にアプローチ。途中まで順調だったが、いよいよ有馬温泉の入口に来たところで大渋滞にはまる。温泉街の中心にある有馬温泉駅まで進むのに数十分かかってしまった。駅前も人だらけで、土曜日とはいえ、こんなに混雑しているとは思わなかった。
とりあえず最初の目的地である「銀の湯」を目指すが、路地が入り組んでいて、なかなか辿り着けない。ようやく近くまで来たと思ったら悲劇は続く。バイクを停める場所がないのだ。目的地である銀の湯には駐車禁止の注意書きが貼ってあり、とても路上駐車できる状況ではなく、駐輪場も見当たらない。狭くて傾斜のある路地を行ったり来たりして、ようやくホテルが運営している駐輪場を発見。そこから歩いて「銀の湯」に向かった。
「銀の湯」に辿り着いたものの、さらなる悲劇が待っていた。入浴待ちの観光客と六甲山に登ってきたクライマーで館内が溢れかえっているのだ。こんな光景は今まで見たことがない。仕方なく温泉街の中心付近にある「金の湯」に向かうものの、一瞬目を疑ってしまうほど、「銀の湯」とは比べものにならないほど入浴待ちのお客でごったがえしており、とにかく入浴券すら購入できない状態。