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ホンダ
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こちらの動画が見られない方、もっと大きな画面で見たい方は、YOUTUBEのサイトで直接どうぞ。「http://youtu.be/7UWPojVDkqA」 まさに“コンセプトモデル”。NM4は、「バイクに潜り込むようなコクピットポジション」により、ライダーがマシンに包み込まれるような感覚を作り出し、インパネ越しに見える風景は、映画の世界に入り込んだような視界の広がりで、今まで味わったことのないような操縦フィールを体感できる、と説明されている。

 3月21日、多くのプレスに混ざり、視線を投げていたそのバイクは、壇上にあってモーターショーのコンセプトモデル然としていた。いや、それほど現実離れしたスガタに、正確にそのバイクとの距離感をとるのが正しいのか分からなかった。

 曰く、独特のフロントマッシブスタイリング、ライダーがマシンに潜り込むようなコックピットポジション……。コンセプトは近未来とCOOL。そう言われなくてもそれぐらいのフレーズが思い浮かぶほど、未来派アバンギャルドとして視覚を刺激する。最近、クルマ、バイク、カメラ、時計などアバンギャルドさを表現するのにレトロモダンを下敷きにすることで「未来アレルギー」が起こらないようにするのが定石となっている。そんな今、これは挑戦的、冒険的、そして独創であり独走的だ、と頭の中でスラスラと言葉が涌きだしたのを思い出す。

 しかし、今日、桜の花が風に舞う(テストコースの)路上に舞い降りたNM4-01は、陽光、風、周りの草木が織りなす風景に混ざり、あの時と別の風情に見える。ステージに置かれた大阪、東京モーターサイクルショーの壇上とのコントラストを表現すれば、隈取りを落とした素顔の歌舞伎役者にも思える。グランドレベルで見た方が全然カッコいい(でも全然ふつうではないが)。

 ここまでコミックの魅力にとりつかれることなく生きてきた。なので、その軸で○○風のフロントデザインが云々、という表現が出来ないことをお断りしておきたい。また今回乗れたのはNM4-01だ。リア廻りにトランクスペースを持つNM4-02はこの際触れずにおく。

 「フロントマッシブスタイリング」はやはり強烈。エッジを効かせた線と面で表現された近未来建築物のような塊感は新鮮。先端にゆくほどに低く絞りこまれたそれは、視線の高さによって印象が変わる。正面から横に回るとフロントの大きな塊感は前後長の長さの中にあるいろいろなラインへと変わり、テールエンドに抜ける形へと姿を変える。

 18インチの前輪と極太17インチの後輪がインパクトたっぷりの母屋に負けていない。

 バイクというより、新しい乗り物だ、という風に視神経はシフトし始めている。説明によれば「NM4-01/02のシート形状は、独特のフォルム形成に重要な役割をはたします」とある。しかも「タンデムシートをライダーのバックレスト代わりに起こし、フットボードに足を載せ、ドラッグバー的なハンドルに手を伸ばしたときの姿勢をサポートしてくれるという。

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ライダーの身長は183cm。窮屈感なし。シートに座ったままサイドスタンドから引き起こすのがとても軽く感じられた。

 
近未来野郎は「かぶき者」なのか?

 650mmと、跨がるというより腰掛ける感覚のシートに着くと、なるほど、手足を前に伸ばすポジションに自然となるから、シートバックは必須に思える。

 古い話で恐縮だが、10年ほど前、PS250でも同様のトライが成された。が、ラクとか快適の前に基本的にエンジン、駆動系全部がバネ下であり、小径ホイールのスクーターでは逆に路面のギャップをもろに背中から吸収することになり、あまりの腰パンチにこれなら要らない、と思った記憶が蘇る。PSの場合はリアスペースを広げて荷物を積む、という意図もあったので、NMとは目的がちがうのだが……。

 あ、引き起こしが軽い! カタログを見て245㎏もある車重に覚悟をしたのだがとても軽快にバイクは起きた。そして期待と同量の不安とともに走り出す。

 しかし、走り初めて50mですごい、と感じた。

 NC系の新しい750㏄エンジンにDCTを組み合わせたNMは「背中に加速感を感じて下さい」という開発者の言葉通り不思議な加速感を味わいながら走り出す。今バイクに乗っている人はもちろん、新しく二輪の世界に入る人にもNMを楽しんで欲しい、という思惑通り、二輪乗り視点では間違い無く楽しい走りが楽しめるし、初めて二輪に乗るひとも安心感と刺激を楽しめるはずだ。公道を模したテストコースで感じたのは、1645㎜とCTX1300と全く同寸のホイールベースでもスイスイ曲がれ、高速コーナーでも安定感が高い。NC750Xの1540mmからしても一挙100mmアップなのにだ。しかもキャスター33度、トレール110mmとこれまた思い切ったディメンジョンだが、自然なフロントの舵の入りと、リアタイヤの200/50ZR17というサイズを思わせない自然なリーン。低くてカッコ良いから細かい事言わないで、という言い訳がない。いや、むしろ、上質なバイク感に包まれる。

 アクセルを捻る、フロントブレーキを右手で、リアブレーキをフットブレーキで、と僕が免許を取った30年以上前と変わらない操作方法を駆使して乗っている事のほうに違和感があるほど。
 むしろ、フットブレーキを踏むだけで、前後のブレーキ力を最適に配分して減速、停止を楽しませてくれるバイワイヤ? 式を採用、というような新しいトライがあっても良かったかもしれない。

 ハンドリングも良く、タイトコーナーでの旋回性を楽しむウチにステップボードが接地することもしばしば。その時のノイズが今まで通りガァーというのも「過去の世界」にもどったようだった。レザースーツのニースライダーのような接地する質感で、擦るとメーター両脇の6角形の枠が左右それぞれワーニングランプ代わりに点くとか(80年代にみた21世紀的近未来宇宙もの的発想だが・・・・。)あっても面白かったのでは、と思う。

 とにかく一見奇抜なデザインへの理解力を「走り」が多いにサポートしている事はNM4の試乗で新鮮だった。起こしたバックレストに体を預け、腰から上、背中を少しくねらせることでカーブへの回頭性を操作出来る事も新発見だった。逆にタンデムシートとして寝かせてしまうと、むしろライポジが落ち着かないので、立てた状態がライディングシートとしての正しい位置のようにも思えた。

 バイクという目線から考えると、今までにないデザインランゲージだけで目の中に異物感を覚える人も居るかもしれない。しかし、スタイル+NCのエンジンとDCTを組み合わせたこの「乗り物」は、枠を越えて乗り手の心と共鳴するハートがあった。専用の全く新しいフレームとデザインで造られたNM4-01は、リセットした感覚で見る、乗る、感じる、ことをオススメする。

 同時に、NM4的コンセプトをナナハンというハードコアなライダー領域に向けたモデル群が多いクラスだけではなく、普通二輪免許エリア、AT免許エリアへも投入をすれば、バイク休止中、中免ライダー、新しい人達にも親和性がうまれるのではないだろうか。

 むしろのぞむのは、250単気筒にターボ付けたユニットを載せた、軽二輪クラス向けNM的乗り物が投入されたら「人生、バックレストだわ」ぐらいに惚れ込むだろうなぁ、僕は。

 正直、大阪モーターサイクルショーで見たとき、乗る時にどんな顔すべきだろうか・・・・。と要らぬ心配をしたのがおかしいほど、パンチのある可能性にほころんだ。テストコースという限定的な場面での試乗だったので、是非衆目にさらされるリアルワールドでもう一度NM4に乗って得た感覚をアジャストしてみたい。

(試乗:松井 勉)

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モーターサイクルショーの壇上にあったときはこのアングルだった。ミラーへと続く広がりがとても不思議に見えたが、立った目線からはこれほど末広がりには見えない。スクリーンは想像以上にウインドプロテクションを持っている。ライダー目線からは全く邪魔にならない。シンプルだがそのステーの形も凝っている。 パーキングブレーキはこの位置に。ミラーを覆うボックスセクションなどパーツどうしのラインのあいかたなどクオリティーは高い。ミラーのボックスの前にある黒い正三角形はコンパートメントのオープナーボタンだ。(写真をクリックするとコンパートメントを開いた状態が見られます) サイクルショーでデビューしたNM4。今回先行発売されたこのNM4-01とパニアケースをビルドインするなどツーリング要素も盛り込んだNM4-02でシリーズを構成する。
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DCTのNM4の操作スイッチ類はNC系と基本同様。6段メカニカル変速のフルATとしても、スイッチでのマニュアルシフトも可能にしたミッション。左のスイッチにある「+」、「-」ボタンでシフトアップ、ダウンも可能。二つのクラッチパックを使って変速ショックを殆ど出さず変速できる仕組みはちょっとした感動を味わえる。DCTに乗って、バンク中でも安心してシフト操作ができる点でスポーツ度はコンベンショナルなマニュアルミッション以上だと僕は感じている。 メーターパネルはサイズ、文字の読み取りやすさも充分。左右に分かれた各種のワーニングランプが備わる。ハンドル位置から遠いだけにセレクト、リセットボタンはグリップ手元で出来ることでさらなる拡張性を出して欲しい。メーター、左右のリングはDCTのモードで自動的に色が変わる他、25色にパーソナライズする事も可能。
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リンクを持つリアサスは良路だったテストコースでは不満のないものだった。リアの200mmサイズのリアタイヤを太く見せないほどマッシブなスタイルがNM4の特徴の一つだ。 NM4にとって乗り味は大切だが、外観意匠としてパワーユニット、駆動系が見えている必然性が無いだけにこれが「動力源」なんだろうな、と予感できるデザインは面白いと思った。 ABSを装備するブレーキ。操作は前後それぞれしっかり握ることが求められるコンサバなオートバイ仕様。はっきりとスキルを求める部分がある。近未来とCOOLを標榜するなら、本文にも記したが苦手意識をもつライダーが多いだけに、30年培った経験を凌駕する簡単、嬉しい、でも掛けるのが楽しいブレーキ、という新しい提案が欲しいところ。
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シートバックは角度を3段階、前後位置を4段階に調整が可能で、ライダーの体格に合わせてベストを探ることができる。しかしシートの角度調整にイグニッションキーが必用とする事はちょっと不便。オーナーが乗り、イグニッションキーが刺さっているなら、基本、何処へのアクセスも自在に出来るのが今の普通だろう。前後調整は工具が必要。シートバックは、タンデム時にはリアシートとなる。 灯具類はLEDを標準とする。HIDのようにインバーター、イグナイターを要さないほか、消費電力量が少ないため、発電機を駆動するエンジンへの負担も少ない。同様に輝度が高くデザインの自由度もあるのでホンダは今後積極的にLEDを採用するという。
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●NM4-01 主要諸元
■型式:EBL-RC82●全長×全幅×全高:2,380×810×1,170mm■ホイールベース:1,645mm●最低地上高:130mm■シート高:650mm■燃料消費率:38.9km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)■最小回転半径:3.2m■車両重量:245kg■燃料タンク容量:11L■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒SOHC4バルブ■総排気量:745cm3■ボア×ストローク:77×80.0mm■圧縮比:10.7■燃料供給装置:PGM-FI■点火方式:フルトランジスタ式バッテリー点火■始動方式:セルフ式■最高出力:40kw[54PS]/6,250rpm■最大トルク:68N・m[6.9kgf]/4,750rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):油圧式シングルディスク×油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):120/70ZR18 M/C 59W × 200/50ZR17M/C 75W■懸架方式(前×後):テレスコピック式 × スイングアーム式(プロリンク)■フレーム:ダイヤモンド
■車体色:マットバリスティックメタリック/パールグレアホワイト■メーカー希望小売り価格999,000円(消費税8%込み、消費税抜き本体価格 925,000円)
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