小安峡は秋田県の南部に位置しており、宮城県の県境にある。この周辺は踏破している温泉が多く、未踏の温泉は少ない。そこで、小安峡よりも少し北にある秋田県横手市や大仙市周辺の温泉を徹底的に入湯することにした。目標入湯数は20湯。今回は久しぶりに3日間すべてキャンプ泊。昨年末の京都・兵庫、そして先月の奈良がいずれもホテル泊で天気がよかっただけに、キャンプ泊の今回は嫌な予感はしていた。
出発日の数日前、天気予報を見ると、出発日の秋田県地方は雨の予報。やはり予感は的中してしまった。そして出発日当日は午前3時に起床。前日から降っていた雨は止んでいなかった。雨が降る中でバイクに荷物を積載し、購入したばかりのブーツカバーを装着して午前4時出発。これから雨の中を500km以上、時間にして約7時間、しかも高速道路を走らなくてはならないかと思うと、やる気が失せそうになったが、走った後の温泉を楽しみに気合いを入れて走り始めた。
東北自動車道に入ってからは、雨は強くなったり弱くなったり。福島に入る頃には、ほぼずぶ濡れ状態。途中、止んでいる区間もあったが、秋田自動車道に入るまでほとんど降りっぱなしだった。北上ジャンクションから秋田自動車道に入り、錦秋湖サービスエリア内に錦秋湖温泉「峠山の湯」があるとのことでピットイン。錦秋湖サービスエリアに到着したのは午前11時30分。曇り空だが雨は止んでいた。桜が咲いているかと思えば周囲には残雪があり、東北地方はまだ冬だった。
錦秋湖温泉「峠山の湯」は岩手県和賀郡にある錦秋湖サービスエリア内「峠山パークランドオアシス館」にある日帰り入浴施設だ。サービスエリア内にあるものの、国道107号線からも利用できる。広いサービスエリアの奥にあり、玄関までは陸橋を渡っていく。入湯料は500円。そそくさと脱衣して浴室に向かい、身体を流して早速湯船へ。お湯は無色透明で、ちょうどいい湯加減。気温はそれほど低くなかったが、身体は雨で冷え切っていた。じりじりと身体が復活していく。内風呂は広く、露天風呂は残念ながら稼動していなかった。
風呂から上がり、ブーツカバーをしていたものの靴下まで濡れており、短時間ではとても乾かない状況なので、諦めてそのまま履いて進むことにした。とりあえず曇りなのでブーツカバーを外して、グローブも春夏ものに変えて錦秋湖サービスエリアを出発。しかしそれがすぐに裏目に出てしまった。湯田インターの手前にあるトンネルを出た途端、今まで体験したことのないスーパーエクストリーム豪雨に遭遇。前はタンクローリー、後はミニバンに挟まれるかたちで、視界がほとんどゼロの中、止まることもできず約1kmほど豪雨の中を突き進んだ。
次第に雨は弱くなったものの、本当に怖くて死ぬかと思った。ゲリラなんて甘いもんじゃない。これはテロだ。こんな時期に、こんな場所で…。ブーツ、グローブ、靴下は完全にずぶ濡れになった。その豪雨の様子を画像や動画で見せられないのが本当に悔しい。初日からハプニングモード全開。
とんでもない思いをして、ようやく大曲インターに到着したのは午後1時ちょうど。気持ちを切り替えて湯巡りスタート。国道105号線を由利本荘方面に向かい、県道30号線に入り、県道265号線沿いにある湯ノ神温泉に入ろうとしたが、午後3時45分からとのことでパス。県道30号線に戻ってすぐのところにある松木田温泉「南外ふるさと館」に入ることにした。松木田温泉「南外ふるさと館」は秋田県大仙市南外字松木田にある宿泊も可能な日帰り入浴施設だ。入湯料は300円。浴室はそれほど広くはないものの、落ち着いた雰囲気でゆっくり入れる。内風呂のみでお湯は無色透明。ちょっと塩気のあるお湯だった。
松木田温泉を出たのは午後2時ちょうど。初日のキャンプ場は大仙市内の六郷温泉「あったか山」内のキャンプ場に決めており、キャンプ場に向かうまで2時間くらいは余裕がある。とりあえず国道103号線を大曲方面に走り、国道13号線に差し掛かったところでかみおか温泉「嶽の湯」という看板が目に入ったので、その看板に従って国道13号線を秋田市方面に進んだ。松木田温泉から走ること約30分、神宮寺交差点で左折し、県道30号線に進んでほどなくして目的地に到着した。
かみおか温泉「嶽の湯」は秋田県大仙市神宮寺にある温泉宿だ。入湯料は400円。外観はモダンで、浴室の天井はドーム型をしており広々している。内湯は大きく、立派な屋根が設けられた露天風呂がある。湯量豊富なお湯はちょっと緑がかっており、やや熱め。平日にもかかわらず地元の方が多く集まっていた。
かみおか温泉を出発したのが午後3時20分。とりあえずキャンプ場に向かうことにした。国道13号線に戻って、国道13号線を湯沢市方面に進み、県道11号線から県道12号線に向かい、六郷温泉「あったか山」に到着したのは午後4時過ぎだった。六郷温泉「あったか山」は秋田県仙北郡美郷町にある日帰り入浴施設だ。場内にはキャンプ場のほかにコテージやバンガローがある。キャンプ場内に温泉がある理想的な場所だ。受付で使用料1020円を払ってキャンプサイトに向かう。キャンピングトレーラーが1台泊まっていたものの、テントは私だけだった。サイトは整備されており、炊事場も近い。
とりあえずテントを張り、夕飯前に周辺の温泉に入ることにした。まず向かったのは中里温泉。県道12号線から県道11号線を角館方面に走り、国道105号線に通じる農道を国道方面に走った、田園地帯の中にあった。中里温泉は秋田県大仙市太田町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は400円。ふるさと館と新館に分かれており、今回入ったのはふるさと館。内湯のみだが広々としており、お湯はやや熱めの無色透明。なお新館のほうには露天風呂があるとのこと。夕方ともあって、地元の方は銭湯感覚で入浴しに来ていた。
中里温泉を出て向かったのは千畑温泉「サン・アール」。中里温泉から40分ほど、県道11号線から県道12号線方面に戻って、みずほの里ロードを角館方面に走り、山に囲まれた中に突然モダンでお洒落な建物が現れた。千畑温泉「サン・アール」は秋田県仙北郡美郷町にある温泉宿泊施設だ。入湯料は400円。ガラス張りの内風呂は広く、高温と適温の2種類用意されている。フラットで和風作りの露天風呂は眺めがいい。お湯は無色透明でやわらかい肌触り。
千畑温泉からみずほの里ロードを県道12号線方面に進んでキャンプ場に戻ると、テントが1張増えていた。どこか見たことがあるテントだなと思っていたら、BMWのGS乗りの集会仲間のHさんだった。偶然だが仲間がいるのは楽しい。一緒に夕飯を食べ、場内にある温泉に入った。入湯料は400円だが、宿泊者は1回入ればチェックアウトまで何度でも入れるという。お湯は無色透明で熱め、最後に温泉に入って疲れを癒した。雨は止まず、時折強くなる雨音を聞きながら眠りについた。
翌朝、雨は降ったり止んだり。朝食後に朝風呂に入り、H氏とはここで別れて翌日の再会を願った。とんでもないハプニングがあった初日だったが、2日目はどうなるのか。大仙市周辺の温泉に入ってから横手市に向かうことにした。