えー、恒例となりましたが、最初に最近の交通社会に対する疑問・不満をぶちまけます。
フォグランプ! あれ何とかならんか! キリ(FOG)なんて全然出てないのに、煌々と明るいフォグランプをつけて走ってる車の多いこと。あれはきっと流行りなのでしょう。中にはメインのヘッドライトをつけずにフォグランプだけ点けてる人もいたりする。フォグランプは多分だけど車検の対象じゃないんだろうね、バカほど眩しい! 限りなくハイビームっぽい安物HIDが腹立たしいとは以前にも書いたけれど、フォグランプの眩しさといったらそれを凌ぐ。
安物HIDはいくらクソ眩しくても一応は車検に通らなきゃいけないから、付けた時は上向いてたって車検の時にある程度正しい位置に修正されるでしょう。だけどフォグランプはそんな対象じゃないから、好きなだけ上向いておけるわけだ。
これの眩しさったらなくて、本当に腹立たしい。向かってくる車はこっちもパッシングで「あんた、いくらなんでも眩しいよ!」と合図を送れるけど、後ろにつかれるとどうしょうもない。威嚇されているみたいで嫌な気持ちになる。点けてる方だって自分のライトがやたら眩しいって気づくでしょう? ってことはわざとやってるわけだ。いやほんと、なんなんでしょう……。意図がわからない。
それなのにここ一週間みたいに雨が続いてるときは誰もライトを点けないんだ。上から降ってくる雨と、路面から巻き上がる水と、いくばくかの霧と、そして車のウィンドウも曇るから視界は非常に悪い雨天の運転。今こそその自慢のフォグランプだろうよ! ばかじゃないのかしら……。
あぁ、いけない。「順逆無一文」コラムの、口を悪くしただけの愚痴版になっちゃうからこのぐらいでやめておこう。
今回取り上げたいのは「カスタム車」について。バイクでもHIDやら後付フォグランプといったカスタムが多くなってきたことを思えば、ここまでの愚痴ともちょっと繋がる…でしょうか?
カスタムの世界は、まずは純正を切ったり穴を開けたりで始まっているように思います。
フェンダーレスKITを買うことができなくて、リアフェンダーをノコギリで切り落としてナンバーをもうちょっと上向きにしようとホームセンターでステーを買ってきて角度を変えるとか。
ハンドルを買ってみたものの、スイッチボックスの回り止めのポッチを受け止めるハンドルの穴をあけるためのドリルがなくて、回り止めポッチを削り落としちゃったりして。
安物の社外ウインカーをしかも中古で買ってきて、配線で苦労しながら取り付けてみたらわずか2か月で中が錆びて点かなくなったりして。
まぁ、これがさらに進んで、他車のライトやらシートやら足周りやらを流用しちゃったりして、果てにはどこに何をどういう風につけたか忘れてしまって、後の整備で困り果てたりします。いわゆる「イジリ壊す」ってやつで、手に負えなくなってネットオークションとかに「詳しいことはわかりません」なんつって出品しちゃったりして。買った方はビックリしちゃったりするわけです。
でもこんなことは今に始まったことではありません。ずっと昔から色んなバイクの色んな部品をグリグリ混ぜながら自分流のカスタムを作り上げる人たちはいたし、そのスタイルに賛同する人がいればカスタムとして商売にもなるわけですね。今回の英語はそんなお話。
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Bitser(ビッツァー)の語源は諸説あるが、有力なものを一つ。Bitsとは「部品」という意味で、部品の集合体や、様々な部品が適当に組み合わされている様を指してBitserと言われるようになったという説が最も一般的だ。決して良い表現ではなく、「ビッツァーを掴まされた……」という使い方をし、適当な整備や無計画なカスタムを施された車両という意味である。
しかしもともとはそうではなく、Bitserとは人の名前だったとも言われている。語源とされるこの人物、ブライアン・ビッツァー氏はニューヨーク出身の整備士であり、若くしてハーレーのカスタムに着手したとされる。ニューヨーク州も郊外はかなりのイナカであり、整備士は限られた部品などで何とか実働状態を保つことがその主な仕事だった。よってその当時より様々な部品を組み合わせることは珍しくなかったが、ビッツァー氏は例え入手が容易なパーツでも、あえて別車種のもの、別メーカーのものを装着するなどしてそのアンバランスさやオリジナリティを楽しんでいた。これがいわゆる「カスタム」の楽しさだろうと彼は訴えたが、残念ながらアメリカではあまり受け入れられることなく、ビッツァー氏は渡英を決心する。
ハーレーばかりがあるアメリカに対し、当時のイギリスは様々なメーカーがしのぎを削るオートバイ大国。ここでならカスタムという感性も受け入れられるだろう、と彼は小さな整備工場と工作機械を売り払い、イギリス行の片道切符を購入する。ロンドンで彼の感性はすぐにファンを集め、ほどなくしてカスタムショップ「ストレイ・ドッグズ」をオープン。メーカーを、そして国を越えた様々なパーツやコンポーネントを組み合わせた独自のカスタムで一部では熱狂的なサポーターが現れるほどになった。
しかしこの頃には本国アメリカでも彼の名は知られるようになり、彼は帰国してしまう。困ったのは残されたファンたち。ビッツァー製のカスタムマシンは非常にスタイリッシュであり独創性に溢れて所有欲を満たすものだったのだが、何か整備が必要な時や、リビルドが必要な時に大変困るのである。これは製作時にビッツァー氏の感性一つで脈絡のない様々なパーツが組み合わされるからであり、一般的なショップでは全く手に負えなかったのだ。
よって、一時はステータスシンボルにも似た「ビッツァーカスタム」というブランドは、いつしか「手におえない、困ったカスタムマシン」という意味に代わっていったとされるのだ。現在、本当のビッツァー製カスタムは残っていないだろう。少なくともオリジナルのコンディションの維持は不可能だ。例えあったとしても、修理しようとしてさらに様々なパーツを交換せざるをえなくなり、結果としてビッツァー氏の作り出した超絶感性カスタムとは別物になっているはずだ。残念な話ではあるが、当時はこのような話はたくさんあったそうだ。
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