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■125EXC SIXDAYS

15_125ECX_R.jpg  125EXC SIXDAYSの武器はなんといってもそのコンパクトさと2ストロークエンジンを積んだ車体の軽さだ。半乾燥重量は94kgしかない。運動エネルギーが小さいからくる、自由自在感が素晴らしい。曲がりくねったウッズの下りなど、減速から旋回までの動作が思いのまま。不用意な障害物などあって振られてもバランスを取りやすい。上の排気量から乗りかえるとマウンテンバイクにでも乗り換えたような気分にすらなる。それでいて、SIXDAYSはフロントサスペンションに高性能なクローズドカートリッジのWP製4CSフォークを装着しており、リアのPDSサスペンションの動きの良さと相まって、荒れた路面でも躊躇なくスロットルを大きく開けていける。
 
 点火タイミングを最適化した2ストロークエンジンは、低回転から高回転までスムーズで、トルクの谷間がほとんどなく扱いやすいもの。昔オンロードモデルの125cc2ストロークに乗っていたことがあるという2ストローク経験者が抱くイメージより、間違いなく驚くほどの低回転の粘りと扱いやすさを持っている。2ストロークモトクロスレーサーのようなある回転からはじけるようなパワーではなく、あくまでもフレキシブル。
 
 試乗場所となった爺ヶ岳スキー場などゲレンデを大きくスロットルを開けて登る場面ではもっとパワーが欲しくなるけれど、その部分を埋めるだけの操作性を持っている。初心者から、私のような中級者、上級者でも、幅広いユーザーが楽しめ、さらに強い武器となりうる。タイトターンが多い場面でスイスイ縫うように走る面白さは格別だ。
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125EXC_run_1.jpg ■エンジン型式:水冷2ストロークエクゾーストコントロールバルブ単気筒■総排気量:124.8㏄■ボア×ストローク:54×54.5■燃料供給方式:Keihin製 PWK 36S AG■始動方式:キック式■変速:6速■フレーム:クロームモリブデン鋼セントラルダブルクレードル(サブフレームはアルミ)■ホイールベース:1,471±10㎜■フロントサスペンション:WP-USD 4CS Φ48㎜(ストローク300mm)■リアサスペンション:WP-PDS ショックアブソーバー(ストローク335mm)■タイヤ:フロント90/90-21/リア120/90-18■シート高:960㎜■最低地上高:355㎜■燃料タンク容量:9.5L■半乾燥重量(燃料含まず):94kg■メーカー希望小売価格(本体価格・消費税込):956,057円
 
●SIXDAYSモデル
SIXDAYSモデルは、通常モデルより装備が豪華になっている。
4CS クローズドカートリッジフロントフォーク/専用シート/エンジンスキッドプレート/オレンジカラーフレーム/SUPERSPROX ステルススプロケット/ソリッドリアブレーキディスク/新設計フローティングフロントブレーキディスク/新設計フロントブレーキディスクガード/高強度アルミニウムハンドルバー/新設計ライトスイッチ/新設計バックミラー/フューエルフィルター/新設計メッツラータイヤ/ラジエターガード/ラジエターファン(4ストロークモデル)/カーボンチャンバーガード(2ストロークモデル/SIXDAYS サイレンサー/フロントアクスルプラー/オレンジカラーラジエターグリル/オレンジカラーチェーンガイド/シックスデイズ専用グラフィックなど、価格差を考慮すると、お買い得装備と言え、レースに出たい人はそのまま出られる即戦的な仕様である。
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■KTM 200EXC

15_200EXC_R.jpg  125EXCだとちょっと物足りないが、250よりコンパクトな車体が欲しいという人にはうってつけの200EXC。車体は125EXCとほぼ共通で、2ストロークエンジンはよりパワフルな193cc。何より、125にはないセルフスタート機能があることが大きい。転倒した後のリカバリーの早さ、急な上り斜面の途中で停止してしまった後のエンジンスタート。クロスカントリーやエンデューロではとてもありがたい装備だ。その分、重くなると嫌う人もいるけれど、200EXCの半乾燥重量は100kgを切っている。充分に軽い。
 
 2015年モデルでは新設計WP製リアショックと、搭載バッテリーが変わっている(4Ahから3Ah)。当然ながら125より強力なエンジンは、どちらかというと体感的に250に近いもの。ピーキーさはなく、KTMエンデューロモデルに共通する扱いやすい特性。4ストロークのようにフラットなトルクとはいかないけれど、充分すぎるほどコントロールしやすい。距離が短く、全開区間よりテクニカルな区間が多い日本のレースシーンでは、それほど大きくない体型も含めてベストバランスに感じる人は多いはずだ。
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■エンジン型式:水冷2ストロークエクゾーストコントロールバルブ単気筒■総排気量:193㏄■ボア×ストローク:64×60mm■燃料供給方式:Keihin製 PWK 36S AG■始動方式:キック&セルスターター式■変速:6速■フレーム:クロームモリブデン鋼セントラルダブルクレードル(サブフレームはアルミ)■ホイールベース:1,471±10㎜■フロントサスペンション:WP-USDΦ48㎜(ストローク300mm)■リアサスペンション:WP-PDS ショックアブソーバー(ストローク335mm)■タイヤ:フロント90/90-21/リア120/90-18■シート高:960㎜■最低地上高:355㎜■燃料タンク容量:9.5L■半乾燥重量(燃料含まず):99.5kg■メーカー希望小売価格(本体価格・消費税込):966,857円

 
■KTM 250EXC

15_200EXC_R.jpg  私は2013年モデルの250EXCを所有していて、それでたまにクロスカントリー/エンデューロレースを楽しんでいる。だから、ある意味で勝手知ったる、といったところだ。私のは通常モデルで、試乗したのはSIX DAYSモデル。装備がいろいろ違うけれど、一番大きな違いはフロントフォークが4CSだということ。乗り比べるとこの違いはっきりしている。初心者でもなく、上級者でもなく、あえて言うなら中級者になる私の腕前で、これによって速さはあまり変わらないと感じている。ただ、圧倒的に4CSの方が初期の当たりが柔らかく、かつきっちり踏ん張りが効いて、楽なのだ。ガレ場やギャップを越えた時に如実にその違いが判る。確実に性能でライダーを助けてくれる。このフォークだけでもSIX DAYS仕様を選んでもいいとすら感じる。
 
 2ストロークエンジンは極低速での粘りがすごくて、止まりそうで止まらず、スロットルを少々ラフに開けてもそこからススッと前に押し出すように出ていける。KTMの標準だと、私が通常乗っているよりキャブレターのセッティングが少し濃い目で、高回転の回りがちょっとだけ重いけれど(KTMの2ストは排気デバイスのスプリングで特性を変えられるが私のもスタンダードと同じ)、この乗りやすさと開けた時のダッシュ力は大いに魅力的である。「2ストだから……」と敬遠するなかれ、ビギナーでも扱い安いことを請け負う。2014年モデルからの変更点はシーリングを見なおして耐久性をあげたイグニッションカバーと改良されたセルスターター、より小さいバッテリー(4Ah→3Ah)。ゆっくり走っても、弾けるように加速しても楽しい。同排気量なら4ストロークより軽いというのも魅力。
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■エンジン型式:水冷2ストロークエクゾーストコントロールバルブ単気筒■総排気量:249㏄■ボア×ストローク:66.4×72mm■燃料供給方式:Keihin製 PWK 36S AG■始動方式:キック&セルスターター式■変速:6速■フレーム:クロームモリブデン鋼セントラルダブルクレードル(サブフレームはアルミ)■ホイールベース:1,482±10㎜■フロントサスペンション:WP-USDΦ48㎜(ストローク300mm)■リアサスペンション:WP-PDS ショックアブソーバー(ストローク335mm)■タイヤ:フロント90/90-21/リア140/80-18■シート高:960㎜■最低地上高:355㎜■燃料タンク容量:9.5L■半乾燥重量(燃料含まず):101.9kg■メーカー希望小売価格(本体価格・消費税込):1,008,000円(SIXDAYSは1,100,571円)

 
■KTM 250EXC-F

15_250EXC-F_R.jpg  前の2014モデルの時に、ずいぶん乗りやすくなった、と思った。トルクの出方がよりフラットでその扱いやすさに感嘆した。2015年もその印象は継続だ。2014年モデルから大きな変更はなく、クラッチバスケットが軽いタイプになるなど小さな変更にとどまっているけれど、熟成を感じさせる乗り味。とにかくどんな路面コンディションでも、そのエンジン特性と、車体、サスペンションのおかげでリアタイヤをトラクションさせやすい。動きも軽快だ。スロットルを操作した分だけの力が出てくる、ほどよくパワフルでありながらクセがない。さじ加減が絶妙だ。ここ最近2ストロークを気に入っている私でも、「乗り換えてもいいかも」と思わせる完成度である。トップスピード向上のために6速のギアレシオが高速化しているけれど、試乗した爺ヶ岳スキー場でそれを試す機会はなかった。
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250EXC_F_run_1.jpg ■エンジン型式:水冷4ストロークDOHC 4バルブ単気筒■総排気量:248.6㏄■ボア×ストローク:78×52.3mm■燃料供給方式:Keihin製 EFI FR42㎜■始動方式:キック&セルスターター式■変速:6速■フレーム:クロームモリブデン鋼セントラルダブルクレードル(サブフレームはアルミ)■ホイールベース:1,482±10㎜■フロントサスペンション:WP-USDΦ48㎜(ストローク300mm)■リアサスペンション:WP-PDS ショックアブソーバー(ストローク335mm)■タイヤ:フロント90/90-21/リア120/90-18■シート高:960㎜■最低地上高:345㎜■燃料タンク容量:9.5L■半乾燥重量(燃料含まず):105.5kg■メーカー希望小売価格(本体価格・消費税込):1,118,057円(SIXDAYSは1,210,629円)
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■KTM 350EXC-F SIXDAYS

15_350EXC-F_R.jpg  乗ってすぐに、もし買うなら250EXC-Fとどっちがいいか考えた。高回転まで淀みなくフラットな特性も似ているけれど、250に輪をかけてトルクフルなエンジンは、スロットルを開けたら面白いように加速する。車体は250と共通。250、350、どちらも魅力的で戦闘力が高いか、レースでどちらが速いかは、ライダー次第という理の中で、250を使い切るか、350のパワーが武器になるのか、考え出したら本当に悩んでしまうもの。ただはっきりしているのは、どちらもエンデューロモデルとしての完成度はトップクラスだということ。
 
(濱矢文夫)
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■エンジン型式:水冷4ストロークDOHC 4バルブ単気筒■総排気量:349.7㏄■ボア×ストローク:88×57.5mm■燃料供給方式:Keihin製 EFI FR42㎜■始動方式:キック&セルスターター式■変速:6速■フレーム:クロームモリブデン鋼セントラルダブルクレードル(サブフレームはアルミ)■ホイールベース:1,482±10㎜■フロントサスペンション:WP-USD 4CS Φ48㎜(ストローク300mm)■リアサスペンション:WP-PDS ショックアブソーバー(ストローク335mm)■タイヤ:フロント90/90-21/リア120/90-18■シート高:970㎜■最低地上高:345㎜■燃料タンク容量:9L■半乾燥重量(燃料含まず):107.2kg■メーカー希望小売価格(本体価格・消費税込):1,323,771円


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