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スズキ

 スタイルはご覧の通り、レトロモダンではないものの、シンプルな構成で仕立てられた姿がバイクらしさを主張する。テールランプやナンバープレートが納まるリアフェンダーセクションなど、タンクやシートのラインをそのまま真っ直ぐ伸ばして、スパっと短く切り上げたよう
でカッコ良い。

 車体の3サイズは、全長2050×全幅900×全高1130mm。ホイールベースは1325mm、シート高は750mm。重量は136キロとなっている。スポークホイールに前3.00-18、後100/90-17というサイズのタイヤを履く。OEMはダンロップのTT100だ。

 見た目以上に跨がるとコンパクト。僕の体格だと高校時代の友達が乗っていたマメタンやミニトレに初めて跨がった時と同じように「これなら遊べそうだ……!」と脳みそが自動的にイタズラし始める感じ、と言ったらなんとなく自在感が解ってもらえるだろうか。

 グラストラッカーの750mmというシート高もそうだが、シートも車体もスリムだから、それが生み出すコンパクト感はハンパではないのだ。ワイドなアップハンドルも、跨がるとリラックスしたポジションを提供してくれる。前から後ろまでフラットなシートだから体格に合わせて好みの位置に座れば手が届きにくいという事もないだろう。

 ステップの位置も適切。身長183cmの僕でも、シートとステップの距離が狭いと感じることも無かった。

ライダーの身長は183cm。
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SOHC2バルブが生み出すトルク感と
バイクを主張する鼓動感!

 グラストラッカーのエンジンはGN250やDR250Sなど80年代に登場した4バルブヘッドの空冷単気筒をベースに改良を重ねてきたユニットだ。現在は4バルブから2バルブとなり、ST250Eなどと共通性があるものを採用する。燃料噴射装置を備え、始動もスタータースイッチを押すだけでトトトトと回り出す。ボア×ストロークは72.9×61.2mmと、ショートストロークタイプにもかかわらず、回転質量をタップリと取られたまろやかな回転フィールと適度な鼓動感を持つ。その感触はもっと排気量がある単気筒エンジンのごとくの風味でドコドコ感を楽しませるのだ。

 スペックは14kW(19ps)/7500rpm、21 Nm(2.1kg-f/m)5500rpmと、高回転型ではないことが解る。

 スムーズなつながりで扱いやすいクラッチを操作し、発進しても、低回転からドロンと回りトルク感がしっかりあるから、低めのエンジン回転で心地よくシフトアップさせたくなるタイプだ。50km/hでトップ5速に放り込んでおいてそのままアクセルだけで加減速ができる。さすがに40km/hを割るとそのまま加速するのはしんどいが、郊外、田舎道を地元のスピード感に合わせた走りを楽しめた。もちろん、もりもりした実用域のトルクを使い、市街地でもキビキビした走りを引き出す事は簡単。

 リアの2本ショックを採用する車体は、大きなギャップではピョコンと跳ねるが、シャーシの剛性バランスがしんなりと受け止めるので安心感が高い。ハンドリングも自在感があり、基本的にライダーの意志に忠実な旋回を見せてくれる。切れ味鋭い、というタイプではないが、コンパクトな車体がもつ機敏性を引き出すのは難しくない。肩に力が入ってしまいがちなビギナーでも安定感を楽しめるだろう。

 足着き性はスリムな車体、細身のシートも相まって良好。体格的に許せばホイールベースが80mm長く、前後のホイールがそれぞれ前120・90-19、後130・80-18と1インチ大径化したグラストラッカービッグボーイもラインナップされている。こちらのシート高は790mmで、車体サイズなどの違いからハンドリングのフィーリングはより大柄な印象になるが、見た目の印象も変わるので実際にお店で2台を比べて見るのもお薦めだ。

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空冷単気筒SOHC2バルブとシンプルな構成のエンジン。クラシカルな外観ながら、シリンダーにスリーブを持たないメッキシリンダー技術(SCEM=SUZUKI Composite Electrochemical Material)を採用。放熱性、軽量、コンパクトさを実現。街乗りでの細かいスロットルワークにしなやかに反応し、シングルらしいパルス感の強い独特のフィーリングを生み出している。燃焼効率を高め、優れた始動性を実現するフューエルインジェクションを採用。更にマフラー内に三元触媒、O2フィードバック制御システムを採用し、環境にも配慮。燃料消費率(国土交通省届出値、2名乗車時、定地燃費値)48.0km/L(60km/h)と、8.4リッター入りの燃料タンクで快適な航続距離を実現している。


想像以上に広い層を取り込める実力派。

 ちょっとワインディングで遊んでみた。コンパクトな車体と広いハンドルバーながら、飛ばしてもバイクと自分が一体になれる感触をすぐにつかめるバイクだ。ブレーキのタッチなどけっして高級感はないが、それでも必要にして十分。これは普通に効く、という意味ではなく、楽しむために十分だった、という意味だ。

 リアのドラムブレーキと前輪のシングルディスクのバランスも上々。前後をバランス良く使い分け、しっかりと減速が出来たとき、ライダーだけが味わえる満足感もある。

 また、高回転域ではさほどパンチを持ち合わせないエンジンだが、回転計が無くても、高回転まで引っ張るとエンジンが「もうシフトアップして」と明確なメッセージを届けてくる。加速感の減退や音の質の変化など、これはこれでバイクとの対話を楽しめる。

 ビッグバイクと比較すれば足は遅いし長距離一気走り的な使い方は得意ではないはずだ。しかし250cc2バルブ単気筒ならではの鼓動、自在に操る楽しさを体験してグラストラッカー固有の魅力を今回は感じとることができた。車検がない、維持費が安いという経済性だけが250ccのアドバンテージではないのだ。なるほど、だからロングセラーなんだ、を確認できた一日だった。

(松井 勉)

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■SUZUKI グラストラッカー 主要諸元

●全長×全高×全幅:2,050×900×1,130mm、ホイールベース:1,325mm、最低地上高:160mm、シート高:750mm、車両重量:136kg、燃料タンク容量:8.4リットル●エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ、排気量:249cm3、内径×行程:72.0×61.2mm、圧縮比:9.2、最高出力:14kW(19PS)/7,500rpm、最大トルク:21N・m(2.1kgf-m)/5,500rpm、燃料供給方式:フューエルインジェクション、点火方式:フルトランジスタ式、始動方式:セルフ式、潤滑方式:ウェットサンプ式●トランスミッション形式:常時噛合式5段リターン、クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング●フレーム形式:ダイヤモンド、キャスター:28°25′、トレール:107mm●サスペンション:前・テレスコピック、後・スイングアーム●ブレーキ:前・油圧式シングルグディスク、後・機械式リーディングトレーリング、タイヤ:前・3.00-18 47S、後・120/80-17M/C 61S。


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