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ヤマハ
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耐横風性能に驚嘆!

 さてトリシティ、私は7月1日に東京・秋葉原で行われた発表会、そして伊豆・修善寺のサイクルスポーツセンターでの試乗会で試す機会が得られましたが、トリシティ・フィーバーが落ち着いたところで今回、じっくりと公道で乗せていただくことになりましたのでご報告を。

 サイクルスポーツセンターで行われた試乗会で、LMW(Leaning Multi Wheel) 機構という“前に二輪を備えた”乗り物がどのような動きをするのか、大体を把握することができ、メーカーの言うトリシティの特徴である”軽快感と安定感”を体感することができました。が、実際に一般公道を走る様々なシチュエーションで、そういったアドバンテージ、恩恵が得られるのか? まだまだ疑問は残っておりました。

 で、距離にして700キロほど乗ることができました。トリシティは原付二種に分類される乗り物だけに、通勤といったシティ・コミューター的役割として利用される方が多いのではないかと思われます。当然、朝夕のラッシュアワーなどに遭遇することもあり、コミューターとしての機動性を活かし、限りなく路肩に近いキープレフト走行をする場面に遭遇することもあるでしょう。当初、前二輪が備わるトレッドのイメージからか、トリシティで限られたスペースを走行することに違和感がありましたが、原二クラスのスクーターなどとまるで変わりありません。よ~く考えてみたら、全幅が広いワケではないので当然と言えば当然です。逆に、路肩に近ければ近いほど、小さな砂利が浮いていたりして怖い思いをするのですが、トリシティは前二輪による安定感によって濡れた路面、荒れた路面、カマボコ状の路面などで不安がありません。右輪がアスファルト、左輪がコンクリートという状況だったり、今の季節に多い落ち葉の上など、左右いずれかのタイヤがグリップしていればブレーキングも安心です。

 そして今回、トリシティの素晴らしさを実感したのが、耐横風性能。名所にもなっている「東京ゲートブリッジ」という立派な橋があるのですが、海の上という場所柄、通るたびに風が強く、原二クラスの軽いバイクだといつも怖い思いをしておりました。開発者の方にトリシティは横風に強いと聞いていたので、早速行ってみました。当日は電光掲示板に注意表示があるほど、いつも以上の強風に見舞われておりましたが、トリシティは風に煽られることはあっても進路を乱されることなくしっかりとした直進性を確保。想像以上の安定性に驚嘆いたしました。

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ライダーの身長は173cm。フロアがフラットなおかげで乗り降りが楽。フロントに二輪が備わる関係上、インナーパネルが迫った印象はあるが、足の自由度は同クラスのスクーターと大きく変わることはない。

LMWシリーズの今後の展開が楽しみ!

 トリシティはLMW機構が備わることで仕方ありませんが、車両重量は原二としては重めの152kg。対して11PS/1.0kgf・mと、水冷125ccエンジンとしては標準的なスペックですが、駆動系のセッティングが絶妙。発進加速などの動力性能に不満はなく、加えて峠の登りコーナーなどで回転が落ち込んでもスロットルを捻ってやればパワーバンド領域へ即座にリカバリーしてくれるので力強い走りも楽しめます。また、アイドリング時の「トコトコトコ」というエキゾーストノートがスポーティに感じられました。

 今回、週末に秩父方面へ足を伸ばして一気に270キロほど走ったりもしてみました。前輪のLMW機構によって足元の前後スペースに若干の制約はあるものの、特に問題は感じませんでした。シートは大きめで感触もよく、とても快適。ほぼ座りっぱなしでしたが、まったくお尻が痛くなることはありませんでした。このシート、秀逸です!

 ブレーキは全ての車輪にディスクブレーキが備わり、さらにUBS(ユニファイド ブレーキシステム)という、前後連動システムを採用。左レバー、すなわちリアブレーキをかけるとフロントにもバランスよく制動力が加わるようになっています。原二クラスのコミューターとしては稀なリアディスクブレーキは絶妙なタッチでブレーキコントロールできるので、極端なハナシ左レバーだけで事足りてしまうかもしれません。また、砂利が浮いたような路面で敢えて強めにフロントブレーキを握ってみたりしましたが、さすが不安定な体制には陥りづらいと感じました。

 フロントのLMW機構は自立せず、スタンドをかけないと車体は倒れてしまいます。例えば駐車時などの取り回しの際、同クラスのスクーターなどと較べると機構自体の重みによる切れ込みがあるので最初は慣れが必要かもしれません。しかし乗ってしまうと、二輪車と較べて違和感などはなく、あっという間に操作感覚を身体が自然に学習していきます。スクーター同様、ボディに樹脂パーツを多様していますが、ギャップを乗り越えた時のキシムような音は皆無。おそらく、フロントサスの吸収力が高い上、剛性も高いのでしょう。

 秩父方面へのロングランでは、すれ違い際に対向車線のライダーさんがトリシティをチラっと見ていることが何度もありました。やはり見た目に存在感ありますよね。さすがヤマハのデザイン、個人的にもトリシティのスタイルは気に入っています。今回の試乗では、改めてトリシティのチャームポイント、ライダーを不安にさせない優れた安定性を再認識した次第。この先、LMWシリーズがどのようにラインナップを拡げていくのか、楽しみです。

(ピンキー高橋)

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パラレログラムリンク、片持ちテレスコピックサスペンションからなるLMW(Leaning Multi Wheel) 機構。今回の試乗で優れた安定性を実感。軽快なハンドリングも楽しめる。 フロントには左右各輪にディスクブレーキを装備。効き、タッチともに申し分なし。キャストホイールはリボンの”結”イメージ。 リアにもディスクブレーキを装備。左ブレーキレバーを操作するとリアとあわせ、フロントにもバランス良く製動効力を発生させる「UBS」を搭載。
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60/55W(H4)のヘッドライトは十分な明るさでバランスの取れた配光。ポジションランプはLED。 時計、外気温計も備わる液晶デジタルメーター。視認性良好だが、夜間、ハイビームのインジケーターが眩しく感じられた。 テール&ストップランプにもLEDを採用、低消費電力を実現している。フラッシャーを一体化したリアカウルはとてもスリム。
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スプリング&ダンパーを左右に装備するリアサス。エンジンには日本国内初となるヤマハ独自のFIシステム「YMJET-FI」を採用。 大きめのシートは独特の感触と相まって、長時間座っても快適。タンデムシートの座面の広さも確保されている。シート下トランクの容量は約20L。 今や一部のスポーツバイクにしか見られなくなったブラックのレバーを採用。シートのオープン機能も備わるキーシリンダーは便利だ。
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●TRICITY MW125(TRICITY 125)主要諸元

■型式:EBJ-SE82J■全長×全幅×全高:1,905×735 ×1,215 mm■ホイールベース:1,310 mm■最低地上高:120 mm■シート高:780 mm■車両重量:152 kg■燃料消費率:35.8 km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)38.8 km/L(WMTCモード値 クラス1  1名乗車時)■最小回転半径:2.3 m■エンジン種類:水冷4ストロークSOHC 2バルブ単気筒■総排気量:124 cm3■ボア×ストローク:52.4 × 57.9mm■圧縮比:10.9■最高出力:8.1kW(11PS)/9,000 rpm■最大トルク:10N・m(1.0kgf・m)/5,500 rpm■燃料供給:フューエルインジェクション■始動方式:セルフ式 ■点火方式 :TCI(トランジスタ式)■燃料タンク容量:6.6 L■変速機形式:Vベルト式/オート■タイヤ(前/後):90/80-14 M/C 43P /110/90-12 64L ■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク/油圧式シングルディスク■懸架方式(前/後):テレスコピック/ユニットスイング■フレーム形式:アンダーボーン■車体色:ブルーイッシュホワイトカクテル1(ホワイト)、マットディープレッドメタリック3(マットレッド)、ブラックメタリックX(ブラック)■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):356,400円

 
 

春に向け心も軽く、カジュアルなジャケットで走りたい

alpinestars RiDEOUT 「TORNADO AIR JACKET」
街着としても最適、アルパインスターズのカジュアル・ブランド”RiDEOUT”シリーズのジャケット。内部の通気性と空気の流れを改善することで3シーズン使用可能。CE認可の肩、肘プロテクター、背面にはPEパッド(バックプロテクターもアップグレード・オプションとして用意)を装備。後部には視認性を確保する反射ディテーリングを採用。着用時のフィット感にも優れ、フードはライディング時にメインシェルへの固定を可能としている。サイズはXS~XXL。色は写真のブラック/イエローの他、ブラック、レッドもラインナップ。28,800円(税別)。
alpinestars「ATACAMA AIR GLOVE」
メッシュのアッパーにレザー製の掌部という構造を採用。3D成形のTPRナックル、指部分が衝撃に対するプロテクション効果を発揮。親指部はClarino製パネルが採用される。着用感、快適性も優れ、人差し指先はスマートフォンなどのタッチパネルに対応。写真のブラック/イエローの他3色をラインナップ。サイズはS~3XL。8,400円(税別)。

問:アルパインスターズ・セールスルーム
TEL:043-202-0680
http://www.alpinestars.com/


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