第52回『限界点』
ちょっと遅くなってしまったが、1月30日に、昨年、2014年の二輪車の生産台数のデータが自工会(一般社団法人自動車工業会)から発表されているのでここで取り上げておこう。それによれば、昨年1年間の我が国の二輪車生産台数は、596,982台と、60万台には届かなかったものの前年の563,309台に比べればプラス6.0%と健闘したという。
内容的には、原付一種がほぼ現状維持のプラス2.1%、相変わらず元気な原付二種が10%越えの13.9%のプラス、軽二輪もまあプラスといったところの106.2%、自動二輪も肩を並べるように106.1%で、結局のところ原付二種が唯一抜きん出て、他のクラスは現状をほぼ維持といったところだった。
■2014年暦年車種別二輪車生産台数(1月~12月)
車種 |
台数(台) |
前年同期比(%) |
前年同期比動向 |
原付一種 |
76,493 |
102.1 |
2011年以来3年ぶりのプラス |
原付二種 |
31,529 |
113.9 |
2010年以来4年ぶりのプラス |
軽二輪車 |
93,536 |
106.2 |
2005年以来9年ぶりのプラス |
小型二輪車 |
395,424 |
106.1 |
2012年以来2年ぶりのプラス |
合計 |
596,982 |
106.0 |
2010年以来4年ぶりのプラス |
■メーカー別二輪車生産実績(1月~12月)
メーカー名 |
台数(台) |
前年同期比(%) |
ホンダ |
142,388 |
100.4 |
ヤマハ |
222,297 |
127.8 |
スズキ |
150,985 |
87.1 |
カワサキ |
80,532 |
110.8 |
その他 |
780 |
- |
合計 |
596,982 |
106.0 |
時間に余裕のある方は、さらに下の表を見ていただけるとメーカーさんごとの実績もよく分かるはず。全体的にはなんとか好調を維持しているが、各メーカー、各クラスで明暗があることにも注目したい。
車種 |
会社 |
上半期 |
前年 |
下半期 |
前年 |
2014年計 |
前年 |
対前年比(%) |
原付第一種 |
ホンダ |
11,825 |
(10,013) |
10,303 |
(11,510) |
22,128 |
(21,523) |
102.8 |
ヤマハ |
1,842 |
(1,804) |
4,101 |
(3,938) |
5,943 |
(5,742) |
103.5 |
スズキ |
23,693 |
(21,703) |
23,949 |
(24,359) |
47,642 |
(46,062) |
103.4 |
カワサキ |
0 |
(0) |
0 |
(0) |
0 |
0 |
- |
その他 |
388 |
(742) |
392 |
(871) |
780 |
(1,613) |
- |
合計 |
37,748 |
(34,262) |
38,745 |
(40,678) |
76,493 |
(74,940) |
102.1 |
|
|
|
|
|
|
|
|
原付第二種 |
ホンダ |
178 |
(619) |
276 |
(303) |
454 |
(922) |
49.2 |
ヤマハ |
7,712 |
(6,445) |
11,015 |
(9,634) |
18,727 |
(16,079) |
116.5 |
スズキ |
4,122 |
(2,865) |
3,781 |
(2,378) |
7,903 |
(5,243) |
150.7 |
カワサキ |
2,182 |
(965) |
2,263 |
(4,461) |
4,445 |
(5,426) |
81.9 |
合計 |
14,194 |
(10,894) |
17,335 |
(16,776) |
31,529 |
(27,670) |
113.9 |
|
|
|
|
|
|
|
|
軽二輪車 |
ホンダ |
7,166 |
(6,568) |
10,774 |
(13,223) |
17,940 |
(19,791) |
90.6 |
ヤマハ |
16,178 |
(14,321) |
22,227 |
(17,990) |
38,405 |
(32,311) |
118.9 |
スズキ |
11,880 |
(10,832) |
6,749 |
(13,259) |
18,629 |
(24,091) |
77.3 |
カワサキ |
10,903 |
(5,516) |
7,659 |
(6,391) |
18,562 |
11,907 |
155,9 |
その他 |
0 |
(8) |
0 |
(0) |
0 |
(8) |
- |
合計 |
46,127 |
(37,245) |
47,409 |
(50,863) |
93,536 |
(88,108) |
106.2 |
|
|
|
|
|
|
|
|
小型二輪車 |
ホンダ |
56,453 |
(53,678) |
45,413 |
(45,886) |
101,866 |
(99,564) |
102.3 |
ヤマハ |
73,844 |
(55,720) |
85,378 |
(64,066) |
159,222 |
(119,786) |
132.9 |
スズキ |
37,436 |
(51,265) |
39,375 |
(46,658) |
76,811 |
(97,923) |
78.4 |
カワサキ |
31,493 |
(20,698) |
26,032 |
(34,620) |
57,525 |
(55,318) |
104.0 |
合計 |
199,226 |
(181,361) |
196,198 |
(191,230) |
395,424 |
(372,591) |
106.1 |
|
|
|
|
|
|
|
|
自動二輪計 |
ホンダ |
63,797 |
(60,865) |
56,463 |
(59,412) |
120,260 |
(120,277) |
100.0 |
ヤマハ |
79,734 |
(76,486) |
118,620 |
(91,690) |
216,354 |
(168,176) |
128.6 |
スズキ |
53,438 |
(64,962) |
49,905 |
(62,295) |
103,343 |
(127,257) |
77.3 |
カワサキ |
44,578 |
(27,179) |
35,954 |
(45,472) |
80,532 |
(72,651) |
110.8 |
その他 |
0 |
(8) |
0 |
(0) |
0 |
(8) |
- |
合計 |
259,547 |
(229,500) |
260,942 |
(258,869) |
520,489 |
(488,369) |
106.6 |
|
|
|
|
|
|
|
|
二輪総合計 |
ホンダ |
75,622 |
(70,878) |
66,766 |
(70,922) |
142,388 |
(141,800) |
100.4 |
ヤマハ |
99,576 |
(78,290) |
122,721 |
(95,628) |
222,297 |
(173,918) |
127,8 |
スズキ |
77,131 |
(86,665) |
73,854 |
(86,654) |
150,985 |
(173,319) |
87.1 |
カワサキ |
44,578 |
(27,179) |
35,954 |
(45,472) |
80,532 |
(72,651) |
110.8 |
その他 |
388 |
(750) |
392 |
(871) |
780 |
(1,621) |
- |
合計 |
297,295 |
(263,762) |
299,687 |
(299,547) |
596,982 |
(563,309) |
106.0 |
まあ、昨年は4月に消費税がアップされたことを考えると、随分と健闘したほうじゃないかと思ってしまうが、実は、このデータは生産台数の統計。では、国内での実際の販売台数といえる出荷台数(原付第一種と第二種)、届出台数(軽二輪)、新規登録台数(小型二輪)のデータで昨年を見てみると、また違った一面が現れてくる。
ネットオークション大手の「B・AUC」さんが発行している情報誌に、2012年からの3年間を比較した分かりやすいデータが掲載されていたので、それを参考にさせていただいて国内販売の動きを見てみると…。
■2012年~2014年の二輪車国内市場
|
原付第一種 |
原付第二種 |
軽二輪 |
小型二輪 |
自動二輪合計 |
二輪車合計 |
2012年 |
246,095台 |
90,291台 |
45,306台 |
60,715台 |
196,312台 |
442,402台 |
2013年 |
238,786台 |
100,947台 |
55,441台 |
65,289台 |
221,667台 |
460,463台 |
2014年 |
228,918台 |
96,249台 |
54,310台 |
70,151台 |
220,710台 |
449,628台 |
前年比 |
95.5% |
95.3% |
98.0% |
107.4% |
99.6% |
97.6% |
なんとまあ、軒並みダウン。唯一、小型二輪だけがプラスというけっこう厳しい数値が並んでしまっている。やはり4月の消費税アップはかなりのボディブローとして効いてしまっていたというわけだ。まあ、そうは言っても全て一桁前半のマイナスだから、それなりに健闘した年だったといえないこともない。
ただ、12月の実績はちょっと気になる。12月単月の二輪車生産台数は51,520台で、前年同月の57,972台に比べ6,452台、11.1%の減少となり、2ヵ月連続で前年同月を下回った。車種別生産台数は、原付第一種が5,043台で前年同月比マイナス1,828台、26.6%の減少。原付第二種が2,334台で同マイナス71台、3.0%の減少。軽二輪車が6,798台でマイナス243台、3.5%の減少。小型二輪車が37,345台でマイナス4,310台、10.3%の減少。軒並み全ての車種でマイナスだ
国内出荷台数で見ても、12月の総台数は27,685台で、これは対前年同月比16.6%の大幅減少だ。原付第一種は15,346台で前年同月比15.1%の減少、原付第二種が5,810台で同26.8%の減少、軽二輪が4,929台で同6.1%の増加、小型二輪が1,600台で同37.0%の減少と落ち幅が思った以上に大きい。こちらでは唯一軽二輪が頑張ったというところ。
ここ数年、やっと復調傾向が見られるようになったという二輪車市場でしたが、昨年はまさに消費税のボディブローが効いてしまった感じ。1年延期されたとはいえ、二輪と軽自動車を狙い撃ちした軽自動車税のアップも待ちかまえてますし…。はたして、2015年の二輪車販売はどうなるのでしょうか?
※
さて、今月も“困ったちゃん”たちの話題を。…っとその前に、以前、当コラムでも取り上げた“当て逃げカバー”、一般的には“ナンバープレートカバー”と呼んでるようですが、私から見れば、速度自動取り締まり機から逃れるための“犯人隠蔽カバー”であったり、幅寄せなどの嫌がらせや、当て逃げ、ひき逃げをした車両のナンバーを記憶されくににするための“逃亡幇助カバー”以外のナニモノでもないですが、その“カバー”がやっとこさ全面禁止されることに決まったようです。
国土交通省が2月の6日に発表した内容によれば、排気量125cc以上のバイクを含めた自動車全てのナンバープレートカバーを禁止するよう道路運送車両法を改正、2015年度中にも施行されることになったという。
このところ交差点で停車中のバイクにクルマが追突し、死亡事故に至るというケースも続いて起きている。万が一、当て逃げ、ひき逃げされた場合、運良く目撃者がいてもナンバーが読み取れなかった、とか、ドライブレコーダーを付けていてもナンバーが判別できない、などということの無いように、この法改正は当然のことでしょう。「フレームや飾りボルトなども、数字が見にくくなるものは禁止」とするらしいですが、そんな「見にくくなるもの」などの曖昧な条件を付けて認めずに、「ナンバープレート周りにナンバーを識別できなくする可能性のある一切のモノ禁止!」とするべき。そのためのナンバーなのですから。
ちなみに、現在の道路運送車両法にも、
■道路運送車両法
(車両番号標の表示の義務等)
第七十三条 検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車は、国土交通省令で定める位置に第六十条第一項後段の規定により指定を受けた車両番号を記載した車両番号標を表示し、かつ、その車両番号を見やすいように表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。
■道路運送車両法施行規則
(自動車登録番号標の取付け位置)
第七条 法第十一条第一項 (同条第二項 及び第十四条第二項 において準用する場合を含む。)及び第五項 並びに法第二十条第四項 の規定による自動車登録番号標の取付けは、自動車の前面及び後面の見やすい位置に確実に行うものとする。ただし、三輪自動車、被牽引自動車又は国土交通大臣の指定する大型特殊自動車にあつては、前面の自動車登録番号標を省略することができる。
…という規定がある。が、「見やすいように」の意味が曖昧ということでこれまで取り締まれなかったというのですね。「疑わしきはこれを罰せず」の大原則ですか。だったら法律をきちんと役に立つように改正してきて然るべき、放置したのは怠慢ですよね。そのおかげでどれだけの当て逃げ、ひき逃げ被害者の方々が不利益を被ったことか。
事故自体は発生してしまうのは致し方ないとしても、当て逃げ、ひき逃げ許すべからず。現在でも条例で禁止しているところが多いというのに、未だナンバーカバー車を散見するのは、いかに警察が摘発を怠っているかという証しでしょう。実際に法が施行されたら、それでも“違法カバー”を取り付けている車両を見かけたら、ナンバーをどんどん通報しましょう。当て逃げ、ひき逃げ、明日は我が身、我が家族が被害者になるかも知れません。警察は、所有者を追跡してきっちり取り締まるように。あ、カバーが付いてて読み取れませんでした! てか。
※
ちょっと長くなってしまったので、今月の“こまったちゃん”は、この1点、警察の“コンプライアンス”状況報告をお送りしましょう。
このほど、警察庁の発表によれば、昨年1年間に懲戒処分を受けた全国の警察官は、なんと300人だそうで、処分の理由で最も多いのは、セクハラなど、異性関係に関するトラブルということでした。確かについ最近もストーカー行為や、少女にいたずらをしようとした警察官の逮捕がニュースになっておりましたですね。
警察庁のデータによると、それら懲戒で免職や停職などの処分を受けた300人の警察職員のうち逮捕されたのは71人。ちなみにこの数は、前の年に比べれば89人減り、統計を取り始めた2000年以降で、3番目に低い数字なのだそうです。処分の理由は、「異性関係」が最も多く80人、次いで「窃盗・横領」などが67人、「業務にかかわるもの」(公文書偽造や証拠隠滅など)が37人、とトップスリーを構成。警察庁は、「2年連続で減少し改善傾向にありますが、今後も業務上の不祥事に重点を置いた対策などを進めていきます」としていますが。はたして…。
花粉症で集中力が切れたので今月はこの辺で…
(小宮山幸雄)
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