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おヒサシぶりでございます。原付二種(G2)の理想郷を目指す”G2連邦”のピンキー高橋です。2015年に入りまして、立て続けに110ccスクーターのニュー・モデルが発表されました。まずはその内の1台、ホンダ新型Dio110の試乗レポートをお届けいたしましょう。

■撮影:依田 麗 ■問合せ:Honda お客様相談センター(TEL0120-112010) 
http://www.honda.co.jp/motor/

 
先代モデルに対し、全体的に”角”がとれた上質な仕上がりに

 2011年、”グローバル・スタンダード”なスクーターとして登場したNSC110。あれからもう4年の歳月が流れたんですね。日本名・Dio110(海外名・Vision)がフル・モデルチェンジとなって発売されました。Dio110は先代モデル(JF31)登場間もない頃に2000キロ超のロングラン(前編後編)をしたり、エコランに挑戦したりと、かなり思い入れ深いバイク。新型(JF58)はどのように変化したのか、興味津々でございます。

 新型の最大の特徴はエンジンが「eSP」になったこと。エンジン各部の改良によってエネルギーロスを低減させ、アイドリングストップ・システムが備わるなど、環境性能と動力性能を高めたユニットに一新されました。これまで50、125、150ccに「eSP」エンジンはありましたが110cc、しかも空冷はこのDio110が初。今後、世界のホンダ110ccスクーターは順次「eSP」エンジンになっていくのでしょう。

 外観デザインは先代モデルのイメージを踏襲していますが、ディテールはエッジの効いた造形で構成されており、新旧を並べるとどちらに新しさを感じるかは一目瞭然。特にリア周りはサイドカバーからテール周りを薄くすることでリアに向かうはね上がり感が強調され、シャープな印象を与えさらなる躍動感を生んでいます。尚、デザインは日本の研究所の若手女性スタッフが担当したそうです。
 

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三浦半島を反時計にぐるっと周ってまいりました。両脇の房総&伊豆と比べ、手軽に周ってくることができる半島です。京急・三浦海岸駅前では河津桜が咲き乱れておりました。東京を起点に160kmほど余裕で行って帰ってこれます。お尻も痛くなりませんでした。

 先代Dio110を最後に乗ってから2年以上の年月が経っていましたが、14インチの大径タイヤをパッケージしたスクーターの直立気味のポジション、日本の平均的身長に近い私(173cm)がシートに着座すると、相変わらず自然な場所にハンドルやステップボードがあります。ステップボードは大径タイヤのスクーターゆえにスペースは広くないけど、窮屈な感じはありません。大きからず小さからずのちょうどいいサイズ感。また、幅がとてもスリムに感じます。フレームも見直され軽量化に貢献するなど、目に見えない部分にも手が入る力の入れようです。車両重量は先代に対し3kg軽い100kgとなり、男性ならば取り回しもラクラクでしょう。

 ACGスターターによって”シュルシュルシュルっ”と目を覚ます新エンジン、PCXやリード125同様に「eSP」であることを実感いたします。エキゾースト音は先代に似た力強い印象。フリクション低減が効いているのでしょうか、全体に角(カド)が取れたように感じます。排気量はほぼ同じ(新型の方が1cc多い)なので絶対的な力(トルク)に大きな差はないと思いますが、低速側のトルクが増えたのか、駆動系のセッティングの違いか、加速がとてもスムーズ。登り坂などでも先代に対しスピードの落ち込みが少ないようです。さすが125ccモデルの力強さには及びませんが、軽い車体と相まって十分以上の動力性能でしょう。

 一方、乗り心地に関しても先代に対し角が取れ、よりフラットな感じに。14インチ・タイヤによる安定感・安心感も相変わらずいいですね。ただ、リード125のような小径タイヤのモデルも軽快感という魅力が備わっているので、これは好みの問題と言えるでしょう。Dio110は運転していると、車体がとてもスリムであることを感じるので、ライディング中は視覚的に軽快な気分になります。
 

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先代モデルに対し、シート高は5mm低くなった。ライダーの身長は173cm。

 細かな部分も進化を果たしています。サイドスタンドは標準装備になったし、シートオープナーがメインのキーシリンダー横に備わる(先代モデルはシートのロックを解除するキーシリンダーが車体後方にあり、キーを抜き差しする煩わしさがありました……)など、使い勝手の向上を果たしているのもポイントです。ただ今回、試乗車のボディカラーがホワイトで、メーター周りの内装色もホワイトの組み合わせだったということもあり、天気の良い日は照り返しがちょっとキツかったことが個人的に気になったところです。

 トータルで450キロほど走行。平均燃費は47.93km/L(満タン法)でした。ちなみに三浦半島をツーリング気分で一周した時に52.52km/L(同)、通勤などを想定した市街地走行では45.75km/L(同)でした。先代モデルで同じ位の気温時に走ったデータと較べると、リッターあたり3kmほど良くなっていました。「eSP」エンジンの効果は大きいようです。エンジンにアタリがつくと、もっと燃費も伸びるでしょう。

 大径タイヤが生み出す走りと車体との一体感が運転していて楽しく感じられるDio110。「eSP」エンジンによって更なる経済性とパワーを手に入れました。性能や使い勝手など、すべてがバランス良く仕上がったスクーター。だからこそ毎日、長く付き合っていけるモデルなのではないかと思うのでありました。

(試乗:ピンキー高橋)

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フロント周りは先代モデルのイメージを踏襲。常時点灯(日本仕様)のポジションランプは廃止された。サイドはキャラクターラインが強調され、よりシャープな印象に。 フロアは形状を変化させることで足位置の自由度を確保し、足着き性も向上。18Lのポリタンクも無理無く置けるようになったという。 リアサイドの処理が先代に対し薄くシャープな造形となり、テールランプとウインカーを一体化することで凝縮感、軽快感を生んだリア周り。
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大きく見やすい計器類に、立体的造形やシボの処理など凝った造りのメーター周りはスポーティな印象を与える。 フロントインナーラック、左側は500mlのペットボトルが収納可能。シートオープンスイッチが新たに備わり、利便性が増した。 リアブレーキのレバーにはロック機構が新たに備わった。もちろん前・後輪連動のコンビブレーキ。ハンドル右側にはアイドリングストップのON/OFFスイッチ。
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シート高は先代モデルに対し5mm低くなった。シート下のメットイン・スペース容量は18Lで、フルフェイスも収納可能。 アルミ製の大型リアキャリアはDio110専用アイテム(Visionはグリップのみ)。穴開け加工済みなので、需要の高いリアボックスなどの装着も容易。 先代モデルはオプション扱いであったサイドスタンドが標準装備となるなど、新型Dio110は利便性が大きく向上した。
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新型Dio最大の特徴である「eSP」ユニット。eSPとはenhanced(強化された、価値を高める)、Smart(洗練された、精密で高感度な)、Power(動力、エンジン)の略で、低燃費技術や先進技術を採用し、環境性能と動力性能を高めたHondaのスクーターエンジンの総称。PCXやタクトなどと同様アイドリングストップ・システム、静かなエンジン始動音に貢献するACGスターターを採用する。57.9km/L(60km/h定地燃費)/55.6km/L(WMTCモード燃費)という原付二種クラス№1の低燃費、2名乗車時のパワフルな走行感と平地での俊敏な加速向上を実現した。尚、eSPシリーズ初となる空冷エンジンで、アイドリングストップのスタンバイは油温で検知。ちなみに日本仕様はACG発電容量など、生産地であるベトナム仕様(車名はVision)に対し低温始動対策などが施されているという。
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世界で愛用されるグローバル・モデルとして今やスタンダード、走破性の高い大径14インチタイヤを履く。フロントのディスクローター径はφ190mm。 新型Dioのデザインは写真中央の片岡敬子さん(本田技術研究所 二輪R&Dセンター デザイン開発室・第2ブロック)が担当。開発に携わったのは若手メンバーが中心だ。
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■Dio110主要諸元
■型式:EBJ-JF58 ■全長×全幅×全高:1,870×690×1,085mm ■ホイールベース:1,255mm ■最低地上高:130mm ■シート高:750mm ■燃料消費率:57.9km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)55.6km/L(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)■最小回転半径:2.0m ■車両重量:100kg ■燃料タンク容量:5.2L ■エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒 ■総排気量:108cm3 ■ボア×ストローク:50.0×55.1mm ■圧縮比:9.5 ■燃料供給装置:PGM-FI ■点火方式:フルトランジスタ式バッテリー点火 ■始動方式:セルフ式(キック式併設)■最高出力:6.6kw[9PS]/7,500rpm ■最大トルク:9.3N・m [0.95kgf]/5,500rpm ■変速機形式:無段変速式(Vマチック)■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/機械式リーディング・トレーリング ■タイヤ(前/後):80/90-14M/C 40P/90/90-14M/C 46P ■懸架方式(前/後):テレスコピック式/ユニットスイング式 ■車体色:エグザルテッドブルーメタリック、フォースシルバーメタリック、ポセイドンブラックメタリック、パールジャスミンホワイト ■メーカー希望小売価格(消費税込み):228,960円

 

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気軽に羽織ることができるシルエットに
プロテクションなどの機能も満載
Honda
ブラストライダースジャケット
人気”スポーツジェット”が
更なる進化を果たす
SHOEI
J-FORCE Ⅳ
コンセプトは”スロートラベル”、コットン100%の2015年・春夏ライディングウェア。メッシュプロテクター(脊髄、肩、肘)、ベンチレーションを
4世代目にあたるJ-FORCEシリーズ最新モデルはコンパクト&ライトウェイトを追求。シールドを装備するオープンフェイスモデルの中で
標準装備する他、後部の高輝度リフレクターなど機能も充実。右上腕部に配されたクラシックなロゴもポイントだ。衿の裏にはインビスタ社の高吸汗速乾機能素材・クールマックスを採用し、夏場の快適性にも配慮。カラーは写真のネイビーの他、ブラック、カーキ、アイボリーを用意。サイズはSから4Lまで揃う。価格は15,800円+税(3L、4Lは16,800円+税)。尚、Honda Riding Gear 2015年・春夏モデルは3月より全国のホンダ二輪車正規取扱店より順次発売。
 
問い合わせ:ホンダモーターサイクルジャパン

TEL:03-5993-8667
http://www.honda.co.jp/bike-accessories/wear/

最軽量レベルの軽さを実現した。また空力性能は従来モデルに対しDRAG(後ろに押し付けられる力)で2%、LIFT(浮き上がろうとする力)で5%向上。ベンチレーションも低速から高速までより涼しく、風を感じられる高効率を得ている。シールドは曇りを防ぎ、クリアな視界を確保するPINLOCKの最新バージョン「EVO Lens」を標準装備。カラーは写真のタンジェリンオレンジの他、全6色。サイズはXS(53cm)からXXL(63cm)まで全6種。45,000円+税。
 
問い合わせ:SHOEI

TEL:03-5688-5180
http://jp.shoei.com/


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