ふつーのおとーさんのバイクライフ シーズン2 第24回

「SR愛再び」

 ああバイクをいじりたい。
 何度となく書き散らかしている事だけど、バイクをいじくっている時間はとても楽しく過ぎていく。
 ひょっとしたらバイクに乗っているより楽しいと思ってしまうくらいだ。
 ところが最近のバイクだと最早(もはや)いじると言っても僕の力では手も足も出ない位難しくなってしまっている。

 そもそも僕の「いじる」とはどの程度なのかと言うと、キャブレターは一度やってヒドイ目に遭って懲りているので、もう触るのやだ。じゃあ結局何やってるの? と聞かれると、実はバイクのカウル外してシート外してタンク取って、まあ外せるもの全て外してあとは掃除して元に戻すだけってのが大半で、何だ全然いじってないじゃないか! なんだけど、まあその間でオイルチェックしたりブレーキパッド確認したりグリスアップしたりするので、それなりにメンテナンスにはなっているような気はする。
 ところが最近のバイクだと、僕の場合はR1100SというBMクンなのですが、とにかくまあさわれない、さわる勇気が持てない、さわる気にもなれない、というヤツなのです。
 何しろ複雑怪奇過ぎてカウルすら外せない。レバーの取付け角度の調整すらも良く分からん、という感じなのである。聞けばBMWはヘンテコな電子制御になっていてETCの取付けもフツーのショップで実施するとエラーになってしまいディーラーの専用システムでエラー解除しなければならないらしい。
(ということで僕もETC取付けはディーラーさんでやってもらいました)
なんだかな~、もうちょっとバイクを僕等側に解放してくれてもいいんじゃないかな~と思ってしまう。
 もちろんこれにはBMW殿の安全哲学があって、平気で時速200km以上で移動出来る乗物を簡単にシロートにいじらせてたまるか! という思想があるのだろう(と勝手に推測しました)。
 BMWに限らずホンダやカワサキなど国産車だって同じようにシロートの手が及ばない範囲がどんどん広がっているのだろう。
 まあホントは、シロートは乗車前点検だけちゃんとやって何かあったらディーラーに修理を依頼して、あとは半年か1年に1回定期点検をまじめに受けるのが一番、と思わない事もない。
 でも折角のバイク趣味だし、やっぱりへたくそでもバイクいじりしたいよな~、と思うのです。だって楽しいんだもん。

 でその結果(なのか分からないけど)、結局またSR欲しい病、発症なのです。
 いいなあSR!
 何が良いってまず、センタースタンド付いているのがいいよね。センタースタンドが付いていればもう大概の整備は出来るもんね。
 だから軽量化命のオフ車を除いては全てのバイクにセンスタを付けて欲しいと思っています。
 そして次に良いのは、ほんとシンプルで何でも自分でできそうな気にさせてくれるのがいいですよね~。実際には、特に古いSRの完調を維持していくのって相当に大変らしいけど、なんか全部自分で出来そうな気になるのがとても良いのです。
 SRクンにしたって78年のデビュー以来ず~っと変わらない、なんて事は有り得ない訳で、今やインジェクション制御の21世紀型電脳バイクではあるのだけれど、それはちょこっとだけ触れない所が出来ただけで、後は今迄通りの「1分の1の模型」みたいに「よっしゃ手ェ出してみよか~」と思わせるいつものSRクンなのである。

 ところで世の中にはSRクンに関わる本が多数存在する。これだけ多いってのはSR好きがいっぱいいると言う事に他ならない訳で、僕にとっても実にうれしい。
 しかし一体どういったタイプの人達がSRファンになるのか正直ちょっと分からない。
 Zとか刀とか忍者とかが好きってのは分かり易いよね~、ルックスとか性能とか伝説とかその時代のバイクの頂点を極めた1台を自分も愛したい、って思うもんね。
 SRは1978年の生産開始以来12万台以上も生産されているが、そもそも生まれた時から性能的にはぜ~んぜん、どうって事なくて、当時高校生だった僕達もSR400・500のスペックを見て、「ほう?」といったかなり微妙な感想を持ったものだった。つまり生まれた時からスペック度外視という、あの当時の「性能命」の空気感から全く異なった、ある意味実に男らしい生まれ育ちなのである。
 まあ余りにまっさらと言うか、そのまんまで乗り続けるのを躊躇させるような、オレが手を加えてやらないでどうする? 的な子育て本能をSR好きに与えたのであろうか? 世の中の絶対性能にあんまり興味の無い一部の方々や、逆になんとかオレが速くしたる的な方々がSRのカスタムにはまって行ったのだろう。

 1980年代の事である。それ以降ず~っと永きに渡ってSRは色々なカスタムのブームに乗って今に至っている訳だが、最近僕が良く目にするのが、結構古い型式のSRをきれいにノーマルで乗っている人だ。かなり増えてるように感じる。
 その人達はノーマルにこだわる。ふつーSRのマフラーなんて真っ先に交換され捨てられる運命にあるのだが、その人達はノーマルマフラーに強いコダワリを持つ。同様にシートやタンクもその年式の純正でないと気が済まない。
 いいなSR。益々多様化し色々な楽しみ方が生まれて来ているみたいだ。 
 いろいろな人達がいろいろな楽しみ方で接しているのだろうなあ。
 今のリッターバイクなんかには性能面では全く歯が立たないのに、ちゃんとこれからも支持されていくのだなあ。

 と言う事で、買ってしまいました99年式の最後のSR500であります。
 15年以上の長きに渡りず~っと欲しい欲しいと言いながら、きっと買ったら物足りなくて後悔するだろうと恐れ、手を出せなかったSRクンです。
 どうなるのかな~。SRクンと良き生活を過ごして行きたいなあ~。


Betty
※写真はイメージです。

タカヤスチハル
タカヤスチハル
「もう30年以上バイクに乗ってます」と威張れるくらいず~っと乗り続けているのにちっともうまくならないへたれライダー。ふつーのお父さんは逆境にも負けず、ささやかなバイク生活を営んでいます、が…… 

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