2015年7月27日 

■ヤマハが19年振りに“真夏の祭典”を制す!

 7月26日、午前11時30分にスタートした鈴鹿8耐(鈴鹿8 時間耐久ロードレース第38 回大会)。ここ近年では最も“メーカー四つ巴”的色合いの強い印象を受け、レース前から盛り上がりを見せていた“真夏のバイクの祭典”は、創業&レース活動60周年を迎えたヤマハのファクトリー・チーム「♯21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM」が204周を走って優勝。2位は同一周回数で「♯778 F.C.C. TSR Honda 」、3位は毎年サプライズで話題を提供する「♯17 Team KAGAYAMA」だった。MotoGPチャンピオンのケーシー・ストーナーは転倒によりリタイア、「#634 MuSASHi RT HARC-PRO. 」の3連覇はならなかった。

 1985年のケニー・ロバーツ/平 忠彦組以降、ヤマハのエースを担う「21」のナンバーが付けられYZF-R1を駆る中須賀克行、ポル・エスパルガロ、ブラッドリー・スミス組は、スタートこそエンジン始動に手間取り20番手前後に順位を落とす。しかし、R1を知り尽くした中須賀による究極の燃費走行、そして現役MotoGPライダーのふたりによる初の鈴鹿、初の耐久レースとは思えない走りがレース途中のペナルティをものともせず、終盤には盤石の体制を築き、ヤマハに1996年以来となる5度目の優勝をもたらした。


中須賀克行のコメント

「全日本のタイトルは5 度獲っているけれど、鈴鹿8 耐のタイトルは獲れずにいました。まさかファクトリー体制1 年目で獲れるとは思ってもいなかったけれど、ポルとブラッドリー、チームスタッフ、そして応援してくれたファンの皆さんのおかげで優勝することができました。今回、MotoGP ライダーとチームを組むことができて、彼らのレベルの高さが改めてわかったし、得るものも大きかったですね。それにしても表彰式は本当に感動しました。話しには聞いていたけれど、こんなにすごいものだとは思いませんでした。こうした環境を整えてくれたヤマハに本当に感謝ですね。ここ数年、スタートライダーを務めていて転倒しているので緊張しましたが、今回はエンジンがかからず本当に焦りました。たぶん20 番手くらいまで下がったと思うけれど、うまく挽回できたし、1 スティント目で28 周まで引っ張れたのがひとつのキーポイントになりました。これでライバルにプレッシャーを与えられたのが大きかったですね」


ポル・エスパルガロのコメント

「優勝できて本当にハッピーだよ! 心の中では涙が止まらない(笑)。信じられないレースだった。まずはチームメイトのふたりに謝りたい。僕のミスでレース中にペナルティが課せられ、タイムをロスしてしまったからね。でも、ふたりとも素晴らしい速さで走ってくれたし、僕もリカバリーするために200%で走ったよ。ヤマハの19 年ぶりの優勝、そして中須賀さんの初優勝をチームメイトとして一緒に祝うことができて、とても光栄だよ。YAMAHA FACTORY RACING TEAM はまるで家族のようで、中須賀さんとブラッドリーとは親友になれたんだ。鈴鹿8 耐は最高だよ! 鈴鹿は過去にも素晴らしいレースが数多くある伝説的なサーキットだからね。いつか走ってみたいと夢見ていたんだ。才能ある素晴らしいチームメイトと、歴史の1 ページを刻むことができたのは、本当にうれしいよ」


ブラッドリー・スミスのコメント

「レースウィークが始まる前から、ずっと大きなプレッシャーを感じていたんだ。レース前、ヤマハ本社を訪れた時に、みんなに“優勝します”と約束していたからね。僕自身はレース中にちょっとミスをしてしまったけど、チームメイトふたりのおかげもあって、いいペースを守ることができた。素晴らしいマシンと素晴らしいチームメイトとともに、“優勝する”という約束を果たすことができてホッとしている。この優勝で、ヤマハの60 周年に華を添えることができたと思う。鈴鹿8 耐の優勝は、MotoGP のタイトルに次いで、ヤマハにとって重要な勝利だからね。ファクトリーとしての鈴鹿8 耐参戦は、本当に素晴らしいプロジェクトだった。チャンスがあれば、また必ず参戦したい」


吉川和多留監督のコメント
「レースウィークでのポル選手の転倒や、レース中でのポル選手のペナルティなど、いろいろなことがありましたが、優勝することができ、関係者の皆さん、応援していただいた皆さんに感謝の気持ちで一杯です。それにしてもMotoGP ライダーのレベルの高さには驚かされたし、改めてですが中須賀選手のスキルの高さに感服しています。ポル選手とブラッドリー選手は、事前テストまで鈴鹿サーキットを走ったこともなく、耐久用マシンに乗ったこともなかったのに、あっと言う間に好タイムを連発するようになりました。また、中須賀選手は、決勝レースの1 スティント目で、我々が驚くくらい丁寧にマシンを操り、最初のピットインまで28 周を走ってくれました。そしてこれが、その後のレース展開に余裕を与えてくれました。ライダー3 人のキャラクターが融合した素晴らしいチームでしたし、チームスタッフも全力で彼らの走りをバックアップすることができました。今回の優勝はチーム一丸となってのものであり、改めて応援していただいたすべての皆さんに感謝します」