オオカミ男のひとりごと


HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。

時折、かかってこい!と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250、エイプ900。

第40回 オオカミ男の首都圏満喫生活!?狂喜の街呑み編

 
 4月のとある日曜日。神奈川県川崎駅前。時刻は正午少し前。オレは若チャン、ショウマン氏とジョッキを片手に乾杯した。前夜、日野市にあるがんじー宅で家呑みしたその帰り道である。こっちにいるうちに一度は遊びに行くわと今回、がんじー宅に押しかけたわけだがなぜかこれがいつの間にかオレの送別会という事になっていた。いやいや、確かに来た当初、こっちにいるのは5月いっぱいと言っていたのでそういう趣も理解できないわけではないが勝手に追い返さないでもらいたい。ビール、日本酒、ウイスキーと散々、呑み散らかした翌日、帰り方向が同じ若、ショウマン両氏と電車の乗り換えで川崎に降り立ったのだが昼から呑めて料理のウマイ店があるというのででは、一杯やって帰るかという事になったわけだ。当初おすすめだったその店は満席で入る事ができなかったが他にもやっている居酒屋があったのでそこへ入っての乾杯だ。
 入ったのは全国チェーンの居酒屋なのだがなぜか24時間営業。しかもオレ達が入ってからも続々と客が入り昼過ぎには満席状態。なんてことだ。これが都会の文化なのか!? 田舎の方ではそもそも24時間で開いている居酒屋なんてものが存在しない。だがここでは……・それだけ需要があるのだろうな。まぁ田舎にも酒屋の前で呑んでいるホームレスのようなアル中はいるが店内で呑んでいる客層はいたって普通。カップルで来ている客なんかもいる。これは昼夜問わずに呑むというのが娯楽として成り立っているのか、それともただ単にこの地域の住人が病んでいるのか。だがよくよく考えてみるとオレ達もその中のひとりだ。そして……これがまた実に心地良く酒がウマイ。この休日とはいえ、真昼間から酒に酔うというのは人としての堕落をイメージする。しかしこの堕ちるという状態は人間にとってある種の快感を伴うものなのかもしれない。誰しもが破滅願望を心のどこかに持っていると何かの本で読んだ事があるがこれなどその潜在意識の表れである可能性も否定できない。若ちゃんもショウマンさんも割と普段、一人で呑みに行ったりするらしくその手の店情報は詳しい。
 そんな情報の中でも横浜の桜木町駅近くの野毛などはかなりディープな感じの飲屋街なのだという。しかもショウマン宅の近所。ならば近いうちに野毛を飲み歩こうという話になった。まぁそれが実現したのはそれから一か月ほどのちの話。そんな4月の終わりごろオレは富士山へ向かった。季節的にこの時期の富士山では天気さえよければダイヤモンド富士が見られる。そう、ドクター主催の宴会である。
これもまたオレにとっては5年ぶりくらいの参加となる。


ちょっと霞んでいるがやはり間近で見る富士山はデカイ。景色としては実に雄大
ちょっと霞んでいるがやはり間近で見る富士山はデカイ。景色としては実に雄大。

 さすがにこの時期になると走っていても寒さは感じない。しかも新東名ができたことにより会場となる田貫湖へのアプローチが幾分楽になった。昼前にキャンプ場に着き受付をする。テント一張2500円。高ぇ~!! 元々、高額な料金のキャンプ場とはわかっているが以前来た時よりも一段と高くなっていやがる。
 荷をほどいて場内へ入っていくとボロボロの状態のドクターをはじめ数人の面子がすでにいた。どうやら前夜からやっていたようだ。がんじーは朝一で家族とやってきて今回は日帰りだという。姫路からは眞砂谷氏もやってきた。そしてこの宴会の恒例と言えば昼に富士宮市内の『ゆぐち』(お好み焼き、焼きそばなどの店)での街呑み。これはやはり……実にいい。B級グルメで常に上位に位置する富士宮やきそばをはじめとする料理の数々にキンキンに冷えたビールが絶妙にマッチする。外で食うキャンプ料理もいいがやはり街の店に入り地元の名物を食しながらの呑みはハズレがない。しかも何人かで行けば腹一杯のわりにはリーズナブルな料金で済んでしまう。
 その後は、温泉に入りキャンプ場に戻っての宴。こっちはこっちで採ってきた旬な山菜などの天ぷらを肴にちょいとグルメな呑みが続く。もちろん深夜まで。と、まぁこれはいつもの事。肝心のダイヤモンド富士はというと……翌朝、かなりいい感じのダイヤモンド富士が見られた……らしい。オレはすっかり寝過ごし見る事ができなかった。これもいつもの事。それでも起きた時、目の前の富士山を見上げるとちょうど山頂付近にだけニット帽のような雲がかかった結構、絵になる富士山の姿があった。地元の人が言うにはこれはこれで非常に珍しい貴重な光景だそうだ。今回久しぶりに訪れた富士山は何だかんだと色んな顔を見せてくれた。



久しぶりに来た田貫湖キャンプ場は二輪専用の置場が新設されていた。その分、利用料金も大幅に値上がりしておりましたが


主催のドクターは昨年、踵を骨折するという大事に見舞われた。そして今年は呑み過ぎでボロボロ
久しぶりに来た田貫湖キャンプ場は二輪専用の置場が新設されていた。その分、利用料金も大幅に値上がりしておりましたが。 主催のドクターは昨年、踵を骨折するという大事に見舞われた。そして今年は呑み過ぎでボロボロ。


B級グルメの聖地富士宮市内で名物の焼きそばなどをつつきながら昼から生ビール。ふふっ、やはりウマイですな


姫路から参戦の眞砂谷氏はこれから500キロほどの距離を走って帰る。お疲れ様でした
B級グルメの聖地富士宮市内で名物の焼きそばなどをつつきながら昼から生ビール。ふふっ、やはりウマイですな。 姫路から参戦の眞砂谷氏はこれから500キロほどの距離を走って帰る。お疲れ様でした。

ダイヤモンド富士は見損ねたがそのあと「こんなんもありますけど」と言わんばかりに見せてくれた富士山の珍風景、“ニット帽富士”
ダイヤモンド富士は見損ねたがそのあと「こんなんもありますけど」と言わんばかりに見せてくれた富士山の珍風景、“ニット帽富士”。

 そしてその数日後、GW突入である。関東を拠点にしているオレはどこへ行こうか? そんな今年のGWにオレは車の助手席に鎮座し、深夜の高速を西へ向かっていた。明らかに渋滞が随所で予想される連休の高速をわざわざ車で移動するなどオレにとって生まれて初めての経験である。そう、こんな馬鹿げた計画は自分ひとりではまず思いつくことはないだろう。
 事の発端は、ひと月ほど前。沼津のベティと電話で話していて彼女が今年のGWも広島の里親の所へ遊びに行くという話になった。特に何も計画を立てていなかったオレは何気なくそれならオレもこのあたりで一回、岡山に戻ろうかなと。ほったらかしにしているマシンの事も多少は気になる事であるし。そのあたりからじゃぁ一緒に西へ向かうとして交通手段はどうするかとバイクでつるんで走るか新幹線でサクッと行くかとあれやこれや話した挙句、車で同乗して帰るという結論に至った。理由はお互い一度もやった事がないから。かと言ってこんな事一人でやってもただツライだけでちっとも面白くない。しかし、実行する以上は無駄に渋滞を喰らうつもりもない。なんせ一番の目的はお互い行くべきところへちゃんと辿り着く事なのだから。
 そんなわけで深夜にスタートしたわけだが……・この時のオレの体調は最悪。二日前に風邪をひきその翌日にこじらせてしまうというこの期に及んであってはならない不始末ぶりである。今更、体調不良で行けないとも言い出せずこの当日を迎えてしまった。当初は長距離なうえに深夜のドライブという事もあって交代しながら運転して行こうという話だったのだがこの時のオレの体調では交代した方がかえって危ないんじゃないかと思える有様で文字通りオレはただのお荷物と化してしまっていた
 



GWの高速を広島まで片道600キロの行き帰りを一人で走り切ったベティ。わたくし、諸事情によりまったく役に立ちませんでした


昼間のピーク時は凄まじい数字を見せていた渋滞も深夜にあっては拍子抜けするくらいどうと言いう事はなかった
GWの高速を広島まで片道600キロの行き帰りを一人で走り切ったベティ。わたくし、諸事情によりまったく役に立ちませんでした。 昼間のピーク時は凄まじい数字を見せていた渋滞も深夜にあっては拍子抜けするくらいどうと言いう事はなかった。

 岡山に帰ってからもその休日のほとんどを寝て過ごす羽目に。関東に戻る日には何とか体調も回復していたが結局、この帰り道も運転はベティにまかせっきりでオレは彼女が退屈しないための話し相手に終始していた。相変わらず元気いっぱいのベティは600キロもの距離をものともせず走り切った。まったくタフだ。で、どんなものなのか興味深かったGWの渋滞はというと行き帰りともに深夜のドライブだった事もあってか特に目立ったものもなく大したことはなかった。
 そんなGWを終えた数日後、オレはかねてからの約束通り野毛でショウマン氏らと呑み歩くため桜木町駅に降り立った。少し早目についてしまったので駅前の表通りに出てみるとオレの好物であるモンスターエナジーの無料配付を行っていた。ついついそのブースに行き一本もらってしまう。ちょうど喉が渇いていたのだがこの渇きは呑む際の最初の一杯を引き立てるための調味料のようなものだ。こんな所で癒してしまうのはもったいない。しかし……飲みました。人は時として己の行動そのものすら思うようにコントロールできない事がある。



GWの高速を広島まで片道600キロの行き帰りを一人で走り切ったベティ。わたくし、諸事情によりまったく役に立ちませんでした


昼間のピーク時は凄まじい数字を見せていた渋滞も深夜にあっては拍子抜けするくらいどうと言いう事はなかった
無料配付についつい反応してしまう小市民なオレ。実はモンスターエナジーが大好きなのですよ。

 約束の時間に駅に戻り若、ショウマン氏、前田君と合流し野毛に向かう。途中の地下街で“ゴールデンもつ”と書かれた看板を発見。なんとも食欲をそそるネーミングである。さっそく入ってみるとほぼ満席な状態。実に残念である。地下街から野毛小路に出ると通りの両側には居酒屋をはじめとする呑みの店舗が延々と軒を連ねている。その雰囲気たるや実にディープ。オレひとりであったならどこへ入っていいやら迷い、右往左往してしまいそうだ。ここは地元のショウマン氏に任せる。あとで合流する面子が何人かいるという事でひとまずは立ち飲み屋で軽く一杯始める事に。生ビールを注文し乾杯! 実にウマイ!! ついさっき飲んでしまったモンスターエナジーが悔やまれるがそれでもウマイ! しばらくそこで呑んでいるとルイさん、がんじー、タケぴょんが合流した。結果、前にがんじー宅で呑んだ時とほぼ同じメンバーが揃った。どうやらオレの送別会第二弾らしい。まだまだ帰らないんだけどね。


ホルモン好きなバイク乗り刺激するには十分なインパクトのあるネーミング。その名もゴールデンもつ。まぁ中身は普通の居酒屋ですが
ホルモン好きなバイク乗りを刺激するには十分なインパクトのあるネーミング。その名もゴールデンもつ。まぁ中身は普通の居酒屋ですが。

 面子が揃ったところでオレ達は以前にテレビで紹介された店のつくりが汚い事で有名な中華料理屋に入った。席に着くやいなや店の主がほとんどこっちのオーダーを聞くことなく「餃子は6人前もあれば足りるだろう」などと言いながらオレこれと勝手に注文内容を決めやがる。まぁ出てきた餃子は非常に美味かったのだがどうも微妙な味の料理なんかもあったりした。
 その後、どうしても来た時に見た地下街のゴールデンもつが気になりそこへ行き乾杯。そして表に戻って2軒ほど。最後にちょっとおしゃれな感じのたこ焼きダイニングなる店に。ここでがんじーが終了。そのままショウマン邸に流れて締めは家呑みと。何時くらいに寝たのかは……覚えていない。


ビールに餃子はやはり鉄板ですな。しかし、ちゃんと客の注文聞けよ。あまりにも勝手なオヤジの接客に他の面子も少々、困惑気味
ビールに餃子はやはり鉄板ですな。しかし、ちゃんと客の注文聞けよ。あまりにも勝手なオヤジの接客に他の面子も少々、困惑気味。


某テレビ番組で汚いけど美味しい店って事で紹介された店。確かに店は汚くて餃子はウマイが……ちょっと調子に乗ってんな。ここのオヤジ


某テレビ番組で汚いけど美味しい店って事で紹介された店。確かに店は汚くて餃子はウマイが……ちょっと調子に乗ってんな。ここのオヤジ



次から次へと店を変え呑み歩く事、6軒。愉快な仲間との呑み歩きは実に楽しい娯楽ですな
某テレビ番組で汚いけど美味しい店って事で紹介された店。確かに店は汚くて餃子はウマイが……ちょっと調子に乗ってんな。ここのオヤジ。


次から次へと店を変え呑み歩く事、6軒。愉快な仲間との呑み歩きは実に楽しい娯楽ですな
次から次へと店を変え呑み歩く事、6軒。愉快な仲間との呑み歩きは実に楽しい娯楽ですな。

 翌朝は完全なる二日酔いである。これだけバカみたいに呑み歩いたのは久しぶりな気がする。そんな朝にサクサク動けるはずもなくみんなでダラダラとインスタントラーメンの朝飯をつつきがんじーはトイレットペーパーを丸々一本使い切るほどにトイレの行き来を繰り返し、各々のたわいもない会話が続き……ショウマン邸では部屋の中に自転車がロードタイプのものと折りたたみタイプのものとが2台置いてある。その内、折り畳みの方はほとんど乗っていないらしくそれをオレがこっちにいる間、貸してくれることになった。そしてこの自転車を皮切りにこの後、オレはニューアイテムを次々に入手(衝動買いとも言う)する事に。それはそれは凄まじいほどの散財となるわけだが……・それはまた次の話。


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