Hi-Compression Column

アッキーがキタ

■イギリス取材の恐ろしさ・・・・その2

(2010.8.3更新しました)

さて、前回はイギリスで行われたヘルズ・エンジェルスのパーティに行った時までのコトを書いたのだが、今回は本番。

恐ろしげなエンジェルスの中、イギリス人ジャーナリストのスティーブ・ケリー(コイツが今回の話のメイン)と共に会場入りしたオイラは、とりあえず二人で中をぶーらぶらと歩いてみる(この時点ではまだそれほどスティーブと特別仲が良い、というわけではなかった)。

実際にはまあイギリスの片田舎で行われたミーティングだけあって、アメリカとは大きく違ったローカルな集まりだったのだが、それでも出店が結構出ている。

そこでオイラはジャケットなんかが売っているひとつのテントを発見! 入ってみれば、おお珍しや、都市型迷彩色のMA-1が売ってるじゃないの(ミリタリーおたくだもんで)。

これはなかなか日本ではないぞ〜、と値段を見るも、日本円で2万5000円ちょいもする・・・。手持ちも少ないし、どうしようか迷うビンボー人のオイラ。

「ジャーナリスト・ディスカウント!」

要するに、オレ達はメディアだから安くしろ、ということらしいのだが、ちょっと待ってくれ。オイラは別にそんな大したモンじゃないし、いくらジャーナリストったってそんなデカい顔してモノをねだるわけにはいかない。

とか思っているとすでに話は進行中で
「コイツは日本で売れてるメディアだ。パンフレットなんかを渡しておけば、きっとあちこち宣伝してくれるぞ」
などと、スティーブは勝手に話を進め、結局、そのジャケットとTシャツ3枚で約1万5000円という、どんだけまけさせたんだ、と言いたくなる値段でオイラは購入し、スティーブという男の底知れぬ黒さを知ったのだった。

して話は変わるのだが、このスティーブ氏、知れば知るほど恐ろしい男で、恐らくオイラが知る海外ジャーナリストの中では最強。

地元イギリスではチョッパーばかりのクラブに属して(実際にはとても愉快で優しい奴なのだが)その本性を垣間見たのが、1998年、ハーレー・ダビッドソン95周年でアメリカはミルウォーキーに行った時のこと。

偶然現地で彼と出会い、あちこち一緒に取材へ行ったのだが、ある日、メイン会場となる大きなスタジアムで、コンサートやセレブレーションが行われるという情報をキャッチ。

すかさずスティーブと共に会場入り口へ行き、ハーレー本社の広報担当がいたのでまたしてもスティーブが強気に「ジャーナリストだ。入れろ!」と詰め寄る。

しかし相手も慣れたもんで、「とりあえずあの列に並んでください」とあしらわれ、大人しくジャーナリスト達が待つ列の最後尾に陣取る。すると、いきなりスキンヘッドのゴツくてヤバそうな男がビールを持って寄ってきて、オレとスティーブにくれた。

聞いてみると、彼はスティーブの所属するチョッパークラブのメンバーなのだが、その風体の恐ろしさは確実にアウトロー系。

当たり障りのない話でなんとか場を取りつくろうオイラであったが、そんなこんなで十数分、いきなりハーレーの広報がマイクでしゃべり出したと思いきや、なんと、会場スペースの都合で20人しかジャーナリストは入れられないという!

一生懸命、列の最初から数えて自分達が何人目か数えてみると、オイラ達の前には確実に20人以上が並んでいる。こりゃダメかな〜、と半ば諦めかけた時、豪傑スティーブ(すでに酔っぱらい)がいきなりこう言い始めた。

「アキ、列の前の方にいって5〜6人ぶん殴ってこい。そしたらオレ達も入れるから」

イヤイヤイヤイヤ、あんた、それはヤバいっしょ? てゆーか、目がマジだし、隣の仲間はやる気まんまんっぽいし、どーしよー(汗)。と思っていたら知り合いのハーレー社広報の人がいたので「お願い入れて〜、じゃないとエライことになる〜」と懇願して、なんとかオイラ達も会場内に入れることになったのだった。

彼についてはコレ以上書くと、またしてもマナーの良い読者様からお怒りのお便りが来そうなので今回は自主規制ってことで。じゃまたね〜。


[第1回|第2回|第3回] [バックナンバー目次へ]



アッキー加藤
アッキー加藤
アメリカン、チョッパーなどそっち方面が主戦場のフリーライター。見かけはご覧のようにとっつきにくそうが、礼節をわきまえつつ、締切も絶対に守り、かつ大胆に切り込んでいく真摯な取材姿勢で業界内外で信頼が篤い。ここまで書くとかなりウソくさいが、締切うんぬん以外はそれほどウソでもない。

目次
↑クリックするとMBHCC目次に戻ります
バックナンバー目次
↑クリックするとバックナンバー目次に戻ります