Hi-Compression Column

アッキーがキタ

■バイカーって、ナニ?

(2010.9.8更新)

え〜とですね、今回はいつもどおりバカな話をしつつ、少しだけマジメな考察を皆さんにしていただこうと思います。

あれは13年くらい前かな〜(もう10年以上昔の記憶は定かじゃないオレ)。某ハーレー専門有名誌のバ○○ズは毎年ミーティングを主催していて、いつも数千人が来るというデカいイベントだったのだが、オレが所属していた編プロのカラーズは毎回、このミーティングのスタッフとしてお手伝いをしていた。

そしてイベント当日の朝、何気なく編集部のスタッフと話をしていると、今回はアメリカからゲストが来るというので、「おお、誰、だれ?」と聞いてみると「リアルバイカーのブッチ」という答え。

「へ、リアルバイカー? ブッチ? クロネコか」と、分けわからん状態なのだが、どうやらVIP待遇で参加するらしい。

う〜ん、何やらうさんくささを感じるオレ。でも、まいっか、と、一応本部の仕切りを任されている手前、余計なコトは気にしないようにしていた。

そしてミーティング初日、とりあえず会場内をぶらぶらしていると、おお、いたいた。もう何年着てんだか分からないほどヨレヨレのTシャツとボロボロのジーパン履いた外人が。

なるほど、アレがブッチさんですか。と、とりあえず用はないのだが、挨拶してみることにした。

「ブッチさん、こんちわ。オレはライターのアッキーでござんす(一応英語)

「ああ、こんちわ」

・・・・・・・・・・・・・・・・(会話がはずまない)

「あああ、えっと、ブッチさんは仕事とか何やってるの?」

「今は仕事してない。だから妹夫婦のところに居候しているんだ」

むう、仕事もせずに毎日ブラブラしてるとは、さすがモノホンのバイカー、なのか? だが、次の質問で、オレは驚愕の事実を知った!

「ブッチさんは、さぞかしカッコいいチョッパーなんか乗ってるんでしょ?」

「バイクは持ってない。金がないから売っぱらった。もう1年くらい乗ってないよ」

えええええええっ! バイカーなのにバイク持ってないって、それは本末転倒というか、リアルバイカーでも何でもないじゃん!そんなヤツがVIP待遇でわざわざアメリカから呼ばれてきてるの!? ワケわかんないっす〜!

とまあ、そんな出来事があってから、オレはちょっと考えちゃうようになった。

今はだいぶ薄れてきた風潮だけど、当時、バイカーってのは汚いカッコして、いつでもどこでも毎日バイクに乗るもの、それがホンモノなんだってみんなが思ってた。

だから何十年もハーレーに乗って、小汚いカッコしたブッチみたいな人間が、バイク持ってないのにありがたがられて、みんなが「すげ〜、ホンモノのバイカーだ」なんて言われてたんだよね。

でもさ、オレは今になって思うけど、どんなカッコしてても、仕事が忙しくて週末に少しだけしかバイクに乗れなくても、その人がバイクをスゲー好きなら、それだけでバイカーなんじゃないかな。

わざとよれたTシャツと古着のジーパン履いて、大して乗りもしないしメンテもできない。中には数年の間一切洗車もしないでサビが浮いたバイクにしたてて、さも自分が年期の入ったバイクに乗ってるように見せかける。

それってどーなんだろ?

見てくればかり大事にして、本質の部分を忘れてるんじゃないかなあ。

知ってる人もいるだろうけど、世界最大のモーターサイクル・クラブであるヘルズ・エンジェルスなんて、みんな真っ白なTシャツで、高そうで綺麗なベストを着てるよ。

もちろん背中のパッチも清潔に手入れされてる。何がいったいホンモノなのか、日本のみんなもちょっと考えようよ。ね?


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アッキー加藤
アッキー加藤
アメリカン、チョッパーなどそっち方面が主戦場のフリーライター。見かけはご覧のようにとっつきにくそうが、礼節をわきまえつつ、締切も絶対に守り、かつ大胆に切り込んでいく真摯な取材姿勢で業界内外で信頼が篤い。ここまで書くとかなりウソくさいが、締切うんぬん以外はそれほどウソでもない。


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