Hi-Compression Column

アッキーがキタ

■閑話休題。
夏の夜におくるコワ〜い実体験?
(「夢抱き上京したバカ編」はお休み)

(2011.9.6更新)

いや〜、もう夏まっさかりで海へ山へとツーリングに行く人も多いだろうが、オレは一人で自宅にこもりっきり。原稿執筆が終わらないったらありゃしねえ! というワケで(?)、いつものミュージシャン編はいったんお休みして、夏といえば!! の恐怖体験実話をお送りしよう。なお。このコラムを読んだ後、夜に一人でトイレに行けなくなって寝小便たれても、オレは一切関知しないのでそこんとこヨロシク!

あれはオレが、編集プロダクション・カラーズに入ってから数年後。編プロとは名ばかりでほとんどまともな仕事も来ず、事務所に来てはバイクをイジったり壊したり、というような毎日を送っていた。そんなある日、同僚のテッド黒川が「いいモン拾ってきた〜」と喜びいさんで持ってきたのは、なんとピンクの公衆電話。「えっ、コレってNTTに返さなきゃいけないんじゃないの!? 勝手に持ってきたらマズいよ」とオレが言うも、テッドは「捨ててあったから平気」というので仕方なくそのピンク電話はしばらく事務所に置かれることになった。もちろん、配線などしないので、電話の発着信など出来るわけがなく、ただのオブジェに成り下がっていた(これ、良く覚えておいてね)。

そしてもちろん当時のオレ達はケータイなんぞ高くて持てず、ポケベル(若い人は知らんだろうなあ)をいつも持ち歩いていたのだが、その頃、我らがカラーズに新人のJ君(個人の名誉のため敢えてイニシャル)が入ってきた。スキンヘッドに無精ひげ、しかも45度のヤンキー・サングラスをかけ、ルックス的には北斗の拳に出てくるザコキャラのような彼だったが、実は大変人見知りでナイーブ、カラオケに行けば中島みゆきを連番で予約してひんしゅくを買うような、まあとても心優しい男だったのだ。

そんなある日、事件は起きた。たまたま舞い込んだ大口の仕事をこなすため、オレとJ君は二人っきりで事務所に泊まり込み、深夜まで仕事に追われていた。締め切りは明け方、果たして間に合うのか!? という状況下、ふと背後から声が聞こえてくるではないか。


右上へ

「いや〜もう仕事が終わんなくてさあ。やってられないよ〜ホント」

この言葉で、かなりオレは動揺した。というのも、その時のカラーズの机の配置は、ちょうどオレとJ君が背中合わせになるレイアウトであり、電話といえば、オレの机の上に置いてある、かろうじて留守電機能付きだが子機はない旧タイプ。つまり、J君はケータイも持たず、また事務所の電話を使っているわけでもないのに、あーだこーだとつぶやいていたのである!!!

おそるおそる、後ろを振り返るオレ。確かにJ君は電話の受話器を耳に当て、誰かとしゃべっている、というかグチをたれている。その彼が持っている受話器の先をたどれば、そこには数日前に拾われてきたピンク電話があるだけ。もちろん、先ほども述べたとおりこのピンク電話には一切配線がされておらず、通話など出来るはずがない!!!!

いったい何が起きているのか!!! 考えて見てくれ。使えないピンク電話に向かってスキンヘッド&無精ひげの男が、なにやらグチグチと喋っている。その光景がどれほど恐ろしいか。そして数分後、彼は「じゃあまたね〜」と言って受話器をガチャリと置き、またチマチマとした写真選びの仕事を再び始めた。もちろん、それから先はずっと無言のままである。そこでオレは意を決して聞いてみた。

「ジェ、J君。さっきの電話はいったい・・・?」 

すると、彼は平然とこう切り返した。

「あ、あれはね。“心の電話”なの」

こここ、心の電話とはいったい!! オレはそれ以上のことを知りたかったが、なんか触れてはならぬ領域のような気がして、結局それについては、もう十数年が経過した今でも聞けずじまいでなのである。

そして何を隠そう、J君とは、今や大出世してハーレー専門誌バイブズの会社で働いているジェームス関島君なのであった。あはは〜、ごめんねジェームス。勝手に書いちゃった〜。

ということで、次号からはまた(たぶん)ミュージシャン編をお送りするぜぃッ!

アッキー加藤
アッキー加藤
アメリカン、チョッパーなどそっち方面が主戦場のフリーライター。愛車の1台は写真の750ニンジャというマニアックな一面も合わせ持ち、アメリカン以外のジャンルもほほいのほい。見かけはご覧のようにとっつきにくそうが、礼節をわきまえつつ、締切も絶対に守り、かつ大胆に切り込んでいく真摯な取材姿勢で業界内外で信頼が篤い。ここまで書くとかなりウソくさいが、締切うんぬん以外はウソでもない。

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