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衛藤達也

顔写真
1959年大分県生まれ。大分県立上野ヶ丘高校卒業後、上京し日本大学芸術学部写真学科卒業。編集プロダクションの石井事務所に就職し、かけだしカメラマン生活がスタート。主に平凡パンチの2輪記事を撮影。写真修行のため株式会社フォトマスで (コマーシャル専門スタジオ)アシスタントに転職。フリーになり東京エディターズの撮影をメインとしながらコマーシャル撮影を少しずつはじめる(読者の方が知っているコマーシャルはKADOYAさんで佐藤信哉氏が制作されたバトルスーツカタログやゴッドスピードジャケットの雑誌広告です)。12年前に大分県に戻り地味にコマーシャル撮影をメインに活動中。小学校の放送部1年先輩は宮崎美子さんです。全く関係ないですが。
信哉さん、やはり貴方はすごい人。前編

(2011年6月16日更新)

バルカー!危険な男の香り

今回は信哉さんと当時編集長だった近藤さんが写っている表紙(1990年1月号)についてのお話を。その前に、上のタイトルは特に意味はありません。先に言っておきます。

それは信哉さんがVMAXにまたがってウイリーしながらバーンナウトしている横で、近藤さんがGOサインを出してるというシチュエーションの“男らしい写真”。

表紙

一見なんでもないようにみえるが、ウイリーしながらバーンナウトってできるの?? だからタネも仕掛けもバッチリある。

でも、全ての仕掛けをばらすと信哉さんに怒られるので、ちょこっとだけお話ししちゃいましょう。いいですよね信哉さん。

あの頃、大型ストロボの性能が格段に進歩して、ちょっとやそっとでは爆発しなくなっていた。

ストロボが爆発? と疑問に思われる方がほとんどだと思うので、ストロボの仕組みをすごく簡単に説明すると、内部に貯めた大電流を一気に放出して、ピカッと球を光らせ明るくして写真を撮る道具。大型になればなるほど貯める電流も大きくなるので、危険度も増す。

当時まだまだアナログ全盛期だったので、大型ストロボに安全装置的なものはほぼ無かった。ゆえに、大電流が貯まった状態で取扱を誤るととんでもないことになるのだ。

バルカー(外国製の大型ストロボ。当時ストロボの代名詞)はスイッチの切り替えや電源を落とすときに必ずストロボを発光させて放電させてからでないと恐ろしいことになった。学生の頃に梅津君がそれを忘れて、となりのスタジオでドラゴン花火の様にバルカーからハデに火花をぶちあげる事故をやらかした。

しかも、バルカーは倒したりするだけで、未知の世界に連れて行かれるというC4火薬のような危険物だった。

しかしコメット(メイドインジャパンのストロボ)の新型が登場し、使用条件がとてもよくなってきた。

ミスター・バイク編集部にはホンダ恒例の大忘年会(昔は盛大に開催されていた)のジャンケン大会で、安生さん(現ミスター・バイクBG編集部員)が勝ち取った新型デンタくん(600w級ポータブル発電機)と、前々からある発電機(300w)の2台があった。安定電源がないと使うことができなかったバルカーは300wの旧型では怖くて使えなかったが、コメットなら大丈夫ということが解って撮影の幅が広がった。

しかも、例のZ2改の工場での撮影(昨年10月に掲載。まだ読んでないという方は夏のバックナンバー祭をお楽しみに)に成功した頃から、編集部で大型ストロボを借りる経費を出してくれることになり、お世話になっていたスタジオに無理を言い、安く貸してもらうことができた。

こうして夜間外ロケの条件が整い、大掛かりな撮影セットを組んで撮影するのが当たり前になろうとしていた(道路使用許可なんて下りるわけないからゲリラ撮影)。

  そんな流れでこの表紙の撮影となったのだが、自分をはじめ近藤さんも小心者なので、人通りのなく、撮影条件を満たす場所を信哉さんに探してもらった。

信哉さん曰く「俺の土地」だと言う。ちなみに信哉さんは「俺の土地」をいくつも持っているらしい。

私の知っている限りでも30くらいは見せてもらった。もっとあるのらしいだが、そう簡単には教えてくれなかった。信哉さんがらみの撮影はほとんどこの場所で行われたといっても過言ではない。


記事1
1990年1月号の記事その1。「1989年はバイクが売れなくてこまったこまった」というような内容だが、それでも140万台も新車が売れていたのだから、現在から見れば夢のような話ですな。祇園精舎の鐘の声……
記事2
1990年1月号の記事その2。「バイクブームに乗って増えたバイク雑誌が消えていく」みたいな記事。まさか、ミスター・バイクがなくなるなんて思ってもいなかったんでしょう。盛者必衰の理わりを……

[後編へ]


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●メール tatsuyaetoh@gmail.com

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