Hi-Compression Column

ブースカ

第7湯
 奥三河周辺の温泉

遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年は大腸炎で入院して悲惨な正月だったが、今年は仕事もとりあえず一段落して平穏な正月を迎えることができた。しかし結局、年末はどこにも出かけられず、バイクの走行距離はまったく延びなかった。このフラストレーションを解消すべく、正月休みを利用して2011年の走り初めに行くことにした。

この季節のツーリングの悩みと言えば、寒さもさることながら降雪や路面の凍結だ。寒さは防寒対策と気合・忍耐で何とかなるが、降雪と凍結は命に関わる事故を起こしかねない。そうなると必然的に雪が降っていない地域に限られる。地図を見て悩んだ挙句、「長篠の合戦」で有名な長篠がある愛知県の奥三河地方をターゲットにした。

元日に初詣を済ませて翌2日に決行。寒さに凍えながら自宅を午前7時に出発。甲州街道、環八ともにさすがに交通量は少ない。環八から東名高速に入り、ここからは出口となる豊川インターまで一直線だ。スピードを上げるにつれて体感温度がグングン下がってくる。スムーズな流れに乗って、御殿場の峠を一気に越えて駒門PAで休憩。天ぷらそばで冷えた身体を回復させて駐車場に戻ると、目の前に富士山がデンと構えていた。まさに天晴れな光景だった。

再び走り始め、日が昇って気温が上昇してきてちょっと眠くなってきたところで、ふとメーターを見ると時速が「0km/h」と表示されていた。さっきまで100km/hと表示していたはずなのに…。「やってしまったか…事故って天国で乗っているのかな」と思ったが事故ってはいなかった。点検すべく日本平PAに緊急ピットイン。メーターそのものに異常はないようで、どうやらメーターケーブルが切れたようだ。

時速と距離が算出されなくなってしまったので、ツーリングを続行するか迷ったが、ここまで来たのだからと続行することにした。再び東名高速をひた走り、午前11時にようやく豊川インターに到着。ここからは国道151号線を進むことになる。まず目指す第1湯目は「本宮の湯」だ。

国道151号線を進んでいる途中、初詣渋滞に遭遇したが、難なくクリア。県道21号線に入り、目的地に到着。正月にもかかわらず駐車場はほぼ満杯だった。本宮の湯は愛知県豊川市にある日帰り温泉施設だ。高台の見晴らしのいい場所にあり、建物も開放感のある作りとなっている。浴室もロケーションを生かした作りとなっており、大きな窓から太陽が降り注いでいる。入湯料は通常日と同じ600円だった。

一刻も早く冷えた身体を温めるべく、そそくさと服を脱ぎ、身体を流してから湯船にドボン。某CMよろしく「この瞬間が、最高だ!」と思わずつぶやいてしまった。無色透明のなめらかなお湯に身体が染み込んでくる。身体が温まったところで露天風呂へ。やや小さいが、開放的で気持ちいい。しばし時が過ぎるのを忘れた。身体が完全にリセットしたところで、今回入った温泉の中で最も奥にある「とうえい温泉」を目指すことにした。

途中、道に迷ったが何とか復帰し、長篠を通過して後で立ち寄る湯谷温泉を通過。交通量の少ない国道151号線を進み、とうえい温泉に到着したのは午後1時30分を過ぎていた。ここでも駐車場がほぼ満杯だった。

とうえい温泉は愛知県北設楽郡東栄町にある東栄ふれあい交流館に併設された日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。内風呂、露天風呂それぞれ広々としており気持ちいい。ここも無色透明の温泉だ。さすがに1時間以上走り続けていたので身体は冷え切っていた。再び身体をリセットさせるべく内風呂にドボン。指先から身体の芯までじわ〜っと温まっていく感触は何度味わってもいいものだ。内風呂もいいが、露天風呂には様々な湯船が用意されており、飽きずに入れる。

すっかり身体がリセットしたところで、ここからは国道151号線を引き返し、浜松方面に向かう国道257号線の分岐点までの間にある「名号(みょうごう)温泉」と「湯谷温泉」に入ることにした。

とうえい温泉から約30分ほどで、国道151号線沿いにある名号温泉「うめの湯」に到着。「うめの湯」は豊川市と北設楽郡に挟まれたところにある愛知県新城(しんしろ)市にある日帰り入浴施設だ。真横には宇連(うれ)川が流れており、国道沿いながら静かなシチュエーションにある。入湯料は700円。

浴室は本宮の湯、東栄温泉に比べて小さいが、宇連川沿いの渓谷を眺められる露天風呂が用意されている。ここのお湯も無色透明。3湯目に突入し、帰りの正月渋滞を気にしながら適温の湯に浸かる。先の2湯とは趣きの異なる露天風呂で身体を温めた。

外に出ると午後3時を回っており、日が暮れ始めていた。最後の目的地である湯谷温泉は名号温泉から10分ほどのところにある。湯谷温泉では「鳳来ゆ〜ゆ〜ありいな」に入ることにした。国道151号線沿いにある湯谷温泉は、新城市にある愛知県を代表する温泉地だ。近くには鳳来寺山があり、建物の名称はこの山に由来しているようだ。

温泉旅館が何軒も立ち並ぶ中、鳳来ゆ〜ゆ〜ありいなは唯一の日帰り入浴施設。ここは浴場の他にプールも併設されている複合施設だ。入湯料は600円。ここも駐車場がいっぱいで、施設内にもお客が大勢いた。浴室は広く開放的で、露天風呂も広い。お湯は滑らかな無色透明のお湯(カルシウム・ナトリウム塩化物泉)だった。ちょっと前に入ったばかりなので身体は冷えていないが、ここが今日最後の温泉なのでじっくり入浴した。

外に出ると、日が暮れてきたせいか気温が下がり始めていた。強烈な西日を浴びながら、途中給油して国道257号線をひたすら進んだ。浜松市内に入り、浜松西インター手前のコンビニで軽めの夕食を取り、浜松西インターから東名高速に乗った。

ところどころで発生していた渋滞を回避しながら御殿場手前の裾野インター近くに差しかかったところで、何と雪が降ってきた。標高が上がるにつれて強くなり、さすがにパンツが濡れてヤバイことになってきた。すぐさまバス停を発見して緊急ピットイン。待合室でレインパンツを着用して走行再開した。

しかし不思議と足柄SA手前で雪が止んでしまった。雪は止んだがさすがに寒さには耐え切れなくなり、鮎沢PAでピットイン。ラーメンを頬張ってリフレッシュ。あとは東京に向けて帰るのみだったが、予想どおり秦野中井あたりからひどい渋滞にはまり、自宅に到着したのは午後10時を過ぎていた。今日は久しぶりの試練・修行の一日だった。

今日を含めて入った温泉数は462湯。500湯まであと38湯となった。自分としては今年中に達成できると思っているが、果たしてどうなることやら。今年も走って、温泉入って、メシ食って寝るぞ!(もちろん、ちゃんと仕事もしますよ)


毛野ブースカ
ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は462湯。湯巡りツーリングの相棒はスズキ・ジェベル250XC。ちなみにマイカーもスズキのエスクードというスズキスト。


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(2011.1.21更新)

  • 駒門PAから見た富士山。空気が澄んでいるだけあって姿がパッキリと見えた。思わず合掌してまった。正月から縁起が良さそうだ

  • 駒門PAから見た富士山。空気が澄んでいるだけあって姿がパッキリと見えた。思わず合掌してまった。正月から縁起が良さそうだ




  • 第1湯目の「本宮の湯」。高台にあるため非常に見晴らしがよく、ロケーションは抜群。お風呂も気持ちよかった

  • 第1湯目の「本宮の湯」。高台にあるため非常に見晴らしがよく、ロケーションは抜群。お風呂も気持ちよかった




  • 北設楽郡にある「とうえい温泉」には、それこそ町中の方が集まっているのではないかと思うほど館内には人がいた

  • 北設楽郡にある「とうえい温泉」には、それこそ町中の方が集まっているのではないかと思うほど館内には人がいた。




  • こじんまりとした「亀の湯」の湯船。今回入った他の温泉に比べてそれほど熱くなく、ぽわ〜んと漂う湯気と静かな雰囲気を相まってまったりしてしまう

  • 国道151号線沿いにあり、近くに宇連川が流れるいいロケーションにある名号温泉「うめの湯」。こじんまりしているがゆったりできる。




  • 最後に訪れた愛知県の名湯・湯谷温泉にある「鳳来ゆ〜ゆ〜ありいな」。名湯にふさわしく内風呂、露天風呂ともに広々としていた

  • 最後に訪れた愛知県の名湯・湯谷温泉にある「鳳来ゆ〜ゆ〜ありいな」。名湯にふさわしく内風呂、露天風呂ともに広々としていた。



    ブースカ的評価
    (5段階評価)

    ●本宮の湯
    ★★★★★
    見晴らしがよく清潔感のある湯船は気持ちいい
    ●とうえい温泉
    ★★★★★
    趣向を凝らした数種の露天風呂が楽しめる
    ●名号温泉
    ★★★★★
    国道からすぐのところにあるので立ち寄りやすい
    ●湯谷温泉
    ★★★★★
    名湯らしく内風呂、露天風呂ともに広々としている


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