Hi-Compression Column

バイクの英語

今月の一言

“Bollocks”(ボロックス)


特に深い意味がなくても、なんとなく知っておきたい言葉。そんな言葉ですボロックス。「ボ」に強烈にアクセントですよ。「ロ」はほとんど発音しないほどで、大音量で言い放ってください。「キ○タマ」という意味ですので場面に注意。


草食系男子とか、肉食系女子とか、ベジタリアンとか何とか、もはや何がなんだかわかりませんがそういう言葉を聞きますねぇ。 ベジタリアンっつっても肉だけを食べない人、肉も魚も食べない人、肉も魚も乳製品も食べない人、さらには卵も食べなければコーヒーも飲まない人と様々。 一体何を基準にしてるのか……。たぶん大きく分けて、他の命をとって食べたくないって人と、草食の方が健康にいいって人がいるんだと思うんですけどね。

西洋社会ではこんな考え方も受け入れられていて「ベジタリアンレストラン」や「ベジタリアンメニュー」なんてものが用意されていたりするんです。色んな主義が受け入れられてますね。

一方で、ジンガイのクセにサムライのココロとワビサビを尊重する筆者は、「出されたものを食わないっちゃあないだろう」と思うわけです。前者の生き物殺したくない主義の人は、食おうが食うまいが、目の前に食事として置かれた時点で動物は死んでるわけで、そこまで運ばれたエネルギーも料理を準備してくれた人の気持ちも、そして残したものを片付ける人の労力も全部ムダになりますからね。後者の健康主義の人は、まー、健康のためって言っても程々なわけで……。

用意されたものはありがたく戴くのが日本の礼儀に沿っているし、自然の摂理にも従っていると思うのですがどうでしょうかね。いずれにせよ、ベジタリアンってモノが日本で商売として浸透しない限り、日本でベジタリアンを貫くのは難しそうです。

草食系男子と肉食系女子の話は、ベジタリアンとは全く関係ないですね。ここまでの話はただの筆者の独り言です。

草食系男子ってのは、なんだろ、なよなよ君のことかな。それともはっきりモノをいわずにもじもじしている人のことでしょうか。一定のところまでは優しさだと思うんですけどね、優しい男は好かれるけれど、それがいつ「頼りない」とされる草食になるのかよくわからん。

肉食系女子は反対にグイグイ引っ張る、強い女の子ってことなのかな。一定のところまでは個性なんだろうけど、一線を越えるとただのワガママですよね。これも男側が感じるその境目が曖昧だから難しい。

西洋ではあまり性差がないようで、どんな場面でもあまり性を意識せずに人と接しているように感じます。社会的にどうかはわかりませんが、人々の意識としては日本よりずいぶん男女平等だと感じますね。

でもね、大切なのはそれぞれの性が生きる職場やシチュエーションだと思うわけです。彼女にアクセサリーを買いに行って、ゴリマッチョ男が出てきたらちょっと違うじゃないですか。そこは可憐な美女のほうが説得力あります。

反対に力仕事の現場で美女が出てきたら、やっぱりそこはゴリマッチョ男の方が見ていて安心できますよね。適した場面で適した性の人がいたほうが、性差を感じることなく接することができるんだろうな。それぞれがその場面のプロフェッショナルとして自信ももてるし。

えぇっと、なんだっけ。

そう、バイクの英語ね。今回は「女性っぽい男性」とも「男性っぽい女性」とも全くかけ離れた「男性っぽい、モロ男性」の話しです。



アントニオ・マンク
バイクの英語
北アイルランド出身。となりのスコットランドで学生時代を過ごす。 北アイルランド、スコットランドではゲーリックという言語が今も話され、かつセルティックという言語も存在するため、 英語の他に様々な言語に揉まれながら育つ。現在はKR250(タンデムツイン)を所有。

今回の英語は「Bollocks(ボロックス)」です。

これはキン○マを指す俗語で、イギリス英語圏では一般的に使われています。正式な言葉はtesticlesなのですが、この他俗語ではnutsなどと呼ばれることもあります。しかしこのBollocksはアメリカでは通じない、イギリスだけの俗語といえるでしょう。

この言葉は普通に金玉を指しても使いますが、実はあらゆる場面で登場する言葉でもあります。

例えばバイクで転んだ時、日本語では「クソっ!」などと自分に対して罵る場面で「Bollocks!」と使います。 もしくは誰かに小ばかにされているような場面では「バカ言ってんじゃねぇぞ(笑)」といった意味合いで「Ah Bollocks」と笑い飛ばしてみたり、 もしくは誰かにダマされそうになり、それを見抜いた時に「オマエ、俺を騙そうとしてたな!」という意味でも「Bollocks」と、 その話を一蹴する用に使います。いずれもフレンドリーな、冗談めいた使い方ですね。

罵り以外で使う場合は、「キンタ○!」と言い放つことでその場の空気をリセットさせるというか、緊張感を和ませるというか、そんな力がこの言葉にはあります。 どうしてこういうふうに使うようになったのか。諸説ありますが有力なのを一つ。

   ※    ※    ※

ローマの軍人に「Bolloxeus(ボロックセウス)」という人物がいた。 この優れた武将はローマ帝国がイギリス北部、スコットランド地方の占領にてこずっていたときに投入された人物だった。 ローマにとってイングランド地方は非常に簡単に手中に収めた(主にイングランドの兵士は毎日11時と15時に必ずティーブレイクをしたため、 この時間に攻めることで簡単に征服することができたとされている)のだが、スコットランドの戦士たちは非常に獰猛で、 しかもティーブレイクを取らなかったためなかなか戦線を進めることができなかった。

ここに投入されたのがボロックセウス。彼は2メートルをこえる大男で、ローマの戦士の甲冑ではサイズがなかったことから、 防具をつけない武将として知られた。この男、まさに肉食系男子。食事は炭水化物をとることなく、肉ばかりを食べていたという豪気な男。 この男はローマの規律は二の次に考え、現地では現地のやり方をするべきだと言う思想を展開。このため部下の信頼も厚く、 敵であるスコットランド軍にも「フェアな武将だ」と一定の評価を得ていた。

彼が戦場に立てばローマの規律正しい戦術はなくなり、ボロックセウスを先頭に猛突進してくるローマ軍がいた。 これにはスコットランド軍も驚き、戦線は前後しながら激しい戦いが続けられたのだ。

しかしこの頃はすでにローマ帝国は縮小を始めていたため、ボロックセウスの健闘むなしく、ヨーロッパ規模でローマ帝国軍は各地で引き上げを開始していた。 ローマの領土が縮小する中、スコットランド戦線は自然終結し、軍人としての職を失ったボロックセウスはローマに引き上げることなく スコットランドにそのまま定住した。

その際、「セウス」とつくローマの名前は捨て、スコットランドですでにそう呼ばれていた「ボロックス」へと戒名したのだ。 直訳すれば「○ンタマ」という名前となるわけだが、当時はまだキ○タマという意味では使われておらず、 ボロックセウスの武勇を称えて男らしい、ヒーロー的な好意を指して「ボロックス的な」という風に使われていた。

また、後に罵る言葉として使われた由来としても、戦場でボロックセウスが現れたときにスコットランド軍の兵士は畏怖の念をこめて 「うわ!ボロックスだ!チクショウ!」と話していたからとされている。これが時と共に変化し、男性自身、キン○マを指すようになったそうだ。

   ※    ※    ※

日本でも「オマエ男だろ!」という意味で「キンタ○ついてんのか」と言うことがあるでしょう。 そういう意味でも、やっぱりキンタマというのは男性の、男らしさのシンボルなんでしょうね。 ○ンタマがついてるからこそ持てる「男らしさ」を大切に、かつ優しさも併せ持てば「草食系」なんて呼ばれることはないでしょう。

この他、「Bollocks!」というのは言葉の響きとしても、なんだかこう、「言い放った感」がある発音であり、 イギリスでは「ヤッホー」というような場面で「ボローーックス!」と叫んでいるような人もいます。 変な人種ですね、イギリス人って。



[第1回“Bollocks”]
[第2回“Cheese under the nail”]
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