Hi-Compression Column

バイクの英語

今月の一言

“Boys are Back”

(ボーイス アー バック)


(12月13日更新)


 風呂場のスノコを持ち上げて風呂場の換気をするのと、スノコを外に出して干すのは別次元の話。
 本当にスノコを乾かしたいなら外ですね。
 ひびが入ったカウルにガムテープを張るのと、裏側からプラリペアで補修するのでは別次元の話。
 ちゃんと直したいなら後者ですね。  


責任って言葉が現代社会をダメにしてる!! ダメにしてーるっ!! 

ホントですよ、責任って言葉が絡むとロクなもんじゃない。みんな責任が怖いから、大胆なことができなくなるわけです。

「誰が責任取るの?」っていうのが常套句。ま、「責任取る」と「辞める」がイコールならば全然楽勝なんだけどね。

責任取りたくないから、規制緩和なんて非常に大変。

責任取りたくないから、頼まれたこと以外はやらない。

責任取りたくないから、今までと違うことはしない。

責任取りたくないから、アイディアがあっても言わない。

今の日本に閉塞感が漂うのは不況のせいじゃないのよ、この「責任」という悪魔のせいなのですよみなさん!!

そんな時代だからこそ紹介したいこの言葉「Boys are Back」。

あらかじめ言うけれど、女性差別だとかそういう意見は一切聞かないよ。事実として存在する言葉なんだからしょうがないもの。

ボーイズ アー バックとは、単純に「男たちが戻ってきた」という意味。

どういう時に使うかというと、なにか大きなことを実行する前に「ガタガタ言わせない」とか「もう中途半端は許さねぇぜ」とかいった意味で使う。

ある意味、物事を強行したり、押し通したり、周りの意見を聞き入れずに貫き通すといった場面でも使われる言葉なんです。「実行力」を示すといってもいいかな。

もう一つの使い方は、「ちゃんとやろうぜ」と言う時。

中途半端な作業や、ヤッツケの仕事に対して「男の仕事なんだから」という意味を込めて使います。今はこちらの意味で使うことがほとんど。

男たちが帰ってくるということと、実行力がリンクするのはなんとなくわかる気もするけれど、男たちは一体どこから帰ってきたのか……。この言葉の語源には諸説ありますが、有力なものを一つ。

   ※    ※    ※

男たちは、(想像に難しくないが)戦争に行っていたのだ。

イギリスでは昔からしょっちゅう戦争をしていて、男達はしょっちゅう兵隊に行かせられていた。

特に隣国フランスとは定期的ともいえる交戦を繰り返していたため、イギリスの大抵の男たちは複数回戦争を経験しており、そのたびにたくましくなって故郷へと帰ったものだった。

イギリスはこれら数々の戦争を繰り返すため、村々では女性が日常的な家事に加え、畑や牧畜など本来は男の仕事である業務をこなしていた。

強い女性がいたからこそ、イギリスは小国でありながら数々の戦争を展開し、戦果を上げてきたともいえる。


[第5回“Up your sleeve”]
[第6回“Boys are Back”]
[第7回“Gungy”]
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しかし男性の仕事を引き受けていたとはいえ、やはり女性には女性に向いた作業というものがあるのだ。

家畜用の柵の修理などという力仕事は向かないし、また女性ばかりではなかなか話がまとまらず、そして主人が持っている年間ビジョンも知らないため、問題のないレベルまでは対策・修繕などされつつも、なぁなぁの作業も多かったのである。

ここへ男性陣が戻ると、色々と気になるところが目に付いてしまう。一家の主として、家にいたならば自分が施した対策に比べればあまりにミスボラシイ、応急処置的な作業の数々。

心の中では家にいてあげられなかったことを申し訳ないと思い、これらの処置を一生懸命やってくれた女性陣に感謝しつつも、「女性に任せるとこうだからなぁ!」と冗談を言い合い、男性衆が戻ったからには物事を本来の形にシッカリと直す、という意味を込めて

「Boys are Back」

というようになったという。

よって、これは本来「ありがとうな! だけど野郎どもが戻ってきたからには任せてくれよ」という、前向きな言葉だったのだ。

その後、イギリスでは女性の人権を訴える「ウーマン リブ」などの運動が持ち上がった。

その運動自体は現在の男女平等社会への先駆けとなったため非常に大切ではあるのだが、男性陣はそんなもの相手にしてはいなく、一部の喧々と吠える女性集団をうるさく思っていた。

あらゆる運動で必ずやりすぎる人がいるように、ウーマン リブでも男性の一挙手一投足についてアゲアシをとる人もいて、男性は徐々にウンザリしていった。

始めはパブにてエールを飲みながら「いつかはBoys are Backって面と向かって言ってやって、昔みたいに一家の主人として振舞いたいものだ」などとブツブツ言っていた男たちだったが、実際に女性に対する不当な扱いとは法律上のものが主であり、田舎の日常生活においては取りざたされるほどのことでもなかったにもかかわらず場違いな環境で吠えるリブな女性に対し、「女どもの好きにはさせない!」という意味で「Boys are Back!」と使うようになったのだ。

   ※    ※    ※


こうして、Boys are Backとは、中途半端を正し、ガタガタ言わせず、しっかりと、正規の方法で目的を果たす。という意味に使われるようになったんですねぇ。

これがどうして冒頭の「責任」の話に繋がるかと言うと、家畜の柵を直す女性陣は柵がどうあるべきかというゴールを知らずに問題に取り組まなければいけないから、その結果について責任をもてないがために応急処置をしているからなんです。

別に新たな柵を作ることぐらい女性の力でもできますが、帰ってきた男性に「違うんだよ、来シーズンはこっちの牧草地を使うつもりだったんだよ!」といわれてしまったら作業が無駄になってしまう。そういった、責任を取れない背景から、今回の話に繋がるんですね。

反対に男どもは「何を」「どうしたいか」というゴールが見えていたから(だって自分の仕事ですもの)、積極的に、スピーディに、そして「とりあえず」ではない作業ができたわけです。

どうですか、今の日本社会が見えてきたでしょう。

誰もゴールが見えてないから、責任もって突っ走れる人がいないんですね。

一家の主のように、国家の主が周囲を納得させられる理論と行動力をもってグイグイと引っ張っていってくれれば、ケチな「問責」などせずに周囲も協力してくれるはずですが……。そんな簡単じゃないのかな……。

いやいや、盛り上がりすぎてしまった。

使い方としては、例えば精度の低い車載工具で作業しようとしている人に対して「おいおいBoys are backだぜ!?」とちゃんとしたメガネレンチを渡すとか、ネットで安物のブレーキパッドを買おうとしている人に「Boys are Backだよ」とベスラを勧めるとか。

「中途半端はいけない」もしくは「そこはちゃんとするべき」という意味で使われることが多いですね。

ご活用下さい。



アンディ・ズプニュエ
バイクの英語
ゼッケン14番。旧いカワサキ車を操り草レース参戦するも、転倒が多いためスポンサー獲得に苦戦している。
自己責任という言葉が大好きで、それが個々の判断能力を高めると考える。日本には欧州で一般的なラウンダバウト(ロータリー)を各交差点に導入すればいいと強く要望している(誰に?)。
「だって信号もいらないし、どうしても譲り合いの精神が生まれますもの」と本人。


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