★アフリカ大陸
(オンボロ)バスの旅 (その3)
(2010年9月22日更新)
駐車場に飛び散ったミラーのガラスを箒で掃き集めながら、「Yさん……この車で本当にナイロビ往復できるかな〜……」と、思わず本音がでてしまった。
アフリカ滞在の長いYさんの答えは「こっちで免許を取るとき、バックミラーは見ちゃいけないんだよ。こうやって後ろを振り向いて、後続車の確認をしなくちゃいけないんだ」 と、後ろを振り向くそぶりをした。
いや〜そういう意味じゃなくて……と言おうとしたが、Yさんは人生の先輩だ。
私は「まぁ〜どうにかなるか!困ったらきっと誰かが助けてくれるよね、アフリカだもん、ヘヘへ……」などと言って力なく笑った。
翌日、早朝に出発した。
奥さんのJちゃんが作ってくれたおにぎりがありがたい。
バックミラーなんて無くたっていいや、どこか途中でワーゲンのショップがあったら買えばいい。
思いのほか車は快調だった。
交通量も少なく、国道1号線を一気にブルーム・フォンティン迄走った。
時間がもったいないので、運転しながら作ってもらったおにぎりを食べた。
道ははるか地平線まで見渡せる大平原の中のまっすぐな一本道だ。
と、丁度そのとき、ボッボッボッとエンジンが吹けなくなり、何だ!?何なんだ!?と思っているうちにエンジンは止まってしまった。
惰性のまま路肩に寄せる。
「冷静になれ……冷静になれ……」と自分に言い聞かせる。まだ日も高いし、水も食料もあるし、時折車も通る。
キーを回すとセルモーターはギュルギュル〜ンと快調に回る、ん?!
ガス欠?エンジンが止まるときの感じは正にガス欠の症状だった。しかし燃料計の針は残量4/1を示している。
満タンで65リッターだから燃料計を信じれば少なくともまだ15リッターは残っているはずだ。
う〜ん、燃料計が壊れているのか?針の動きがいい加減なのか?
周りは見渡す限りの麦畑だ。
2キロ程あるだろうか、地平線の彼方に家らしき建物が見える。
あきらめて昨日ヨハネスで買ったジェリカンを車から降ろし、手に持って歩き始めた。
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20分程歩いてやっとその家に着いた。農家の作業小屋のようだ。
白人のファミリーが庭で遊んでいる。ジェリカンをぶら下げた私を見て、すべてを悟ったようだ。
「ハーイ、どこから来たんだい?ガス欠か?まだ100キロ先に行かないとスタンドは無いぜ。ハハハッ」
「そう、たぶんガス欠だ。でもまだ燃料計の針では4/1は残ってることになってるんだ……」
いかにも人がよさそうな農家のおっさんは、「車はなんなんだい?」と聞いてきた。
「最近購入したばかりのワーゲンのミニバスなんだけど……中古だけどね」
おっさんは、「トヨタじゃないのか?あんた日本人だろ、ハハハッ。車は南ア製のワーゲンか……そりゃ燃料計が壊れてるんだ。間違いないよ。南アの車は3台に1台は壊れてるからな、ハハハッ。ちょっと待ってろすぐに用意してあげられる」
使用人らしい黒人の兄ちゃんに命じて、私が持参したジェリカンを受け取ると納屋に行き8分目、15リッターほどのガソリンを用意してくれた。
お金を渡そうとすると笑いながら、「今度オレが日本に行った時、ガス欠になったらあんたに連絡するよ。その時は頼むぜ!」と言って受け取ろうとしない。さらに息子らしい若者に命じて、 ピックアップトラックに乗せてくれ国道に止めたミニバスまで送ってくれた。
ガスを入れ、セルを回すとブルルッーと勢いよくエンジンは回った。
本当にガス欠だったのだ。チクショー、やられたぜ!
送ってくれた若者に何度もお礼を言って名刺を渡し、「本当に日本に来たら必ず連絡くれよ!」と言って別れた。
(続く)
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