無断で写真撮ってゴメンナサイ!
たった一行で許されたあの時代
悪ノリはとどまることを知らないなのだ。
「RZ作っちゃった」
事件の真相。
いきなり核心の
最終話。
(2011.2.23更新)
とゆーわけで、RZ250を造っちゃったハナシである。
当時の編集長・オサムはアノ人を、当時まだ珍しかったカスタム工房に訪ね、お願いしたのだった。
「いいよ、ってすぐに言ったさ」
即答ですか?
「そ。面白いじゃない。バイクってさジョークじゃない。そういう部分がないとつまんない。で、やろうやろう、と」
アノ名車・XL250Sもそんな思いがあったのか。
この辺りの真相は、我が社が企画・編集した『Honda DESIGN Motorcycle Part1』(日本出版社刊/3800円+税)に詳しく書かれている。
「それでね、俺も造形やってたから、粘土で造ればいいじゃん! ってことにした。ベースはRD250だったんじゃないかなぁ……」
そう、エンジンは粘土でした。
「粘土なら簡単にできるしね、それに、見た目にゃ分かりゃしないって」
かくして、元・ホンダのデザイナーにしてカスタムハウス・ホワイトの創設者である鵜飼 清さんが、アノRZ250を造ったのだった。
いい造りだったのも頷ける。
そして、出来上がった。
「俺も撮影についていったよ」
ホントっすか?
「ホントホント、面白かったなぁ」
東京の街のいろんな所に、そっと置いてみた。
みるみる人だかりが……。
某ラーメンチェーン店の前でのカットには、20人ほどの人垣が出来ている。それにはこんなキャプションが付けられている。
「ありゃ〜、RZだゼ」「カッチョエー」「いつ出たの?」「いいネェ」「アノォ何かあったんですか?」「店の前でケンカはヤメロ!」
……、あんまりヒネリのないキャプションだね。
高等学校の前にも持って行った。
上野のバイク街へも持って行った。
原宿へも持って行った。
どこへ持って行っても、すんごい注目度だった。
で、原宿にあったホンダ本社前に、そっと置いた。
わさわさ人が出てきたよ。
あ、エンジン触ってるし!
※諸事情によりクリックすることは、出来るだけご遠慮ください。ダメだってば。
あ、3階の窓からコッチ観てるし、バレちゃったし、女性社員が「あそこで写真撮ってます!」と伝令で下りてきたし。
ヤバイし!
スズキのショップの前にも、さりげなく置いた。
のぞき込んでる。
カワサキのショップは……。
少しも動じず……。
で、ヤマハのショップは?
「????」と一人の青年が、アタマ掻きながらビルの中へ。
そしたら、10人ほどのヤマハの方々が表に出てきて、食い入るように見ていた。
たぶん、バレたな。バチモンだと……。
「いや〜、面白かった。面白い時代だったね」
受話器の向こうで鵜飼さんは懐かしそうなのだった。
ところで、企画としては大成功で、読者からも大好評だった。
しかし、その陰で、怒られた人もいたんだな、やっぱり……。
「大変だったんだよ! 後始末が。あるところから呼ばれてよ、結構怒られてよ!」
ミスター・バイク元編集長の近藤健二なのだった。
損な役回りなのだ。
それでも、「ありゃ、面白かった!」と言うのだった。
最後のページの最後の写真で、オサムは満面の笑み。
手にはプラカードが。
“毎度おさわがせ!! ビックリ ミスター・バイク”と書かれていた。
(この項おわり)
- 東京エディターズ代表取締役社長兼
WEB Mr. Bike代表
『中尾祥司拝。』
[第6回|第7回|第8回]
[バックナンバー目次へ]