Hi-Compression Column

おやびん道

それぞれの道には、それぞれの風土、気候、環境などを積み重ねた表情がある。それはまた人生にも似ている。道は人生、道の数だけ物語がある。野口おやびんが走って来た幾多の道を、想い出話と共に語ろうか


第5回・国道5号線



(2010年11月29日更新)

R5

 R5=国道5号線は、北海道内で唯一の一桁国道で、函館と札幌を結んでおり、一桁国道の中では一番距離が短いが、それでも延長は約280kmになる。ニセコや羊蹄山近くの山間部や海沿い(太平洋側の内浦湾、日本海側の石狩湾)を走っていて変化に富んでいる。

北海道はこれまで10回弱、バイクで走っている。

個人的なツーリングは3回で残りは仕事。

最初に上陸したのは前回のR4のとき書いたように`76年の夏で、そのときR5を初めて走った。  

ただ、岬と湖をメインに巡るルートで海岸線が多く、R5は初日に函館〜長万部間を利用し、終盤に手稲〜余市間を走ったくらいで、全線走破しなかった。

それでも、フェリーで着いた函館からR5を北上して、長万部手前の海岸線の真っすぐな道を走ったときは感動的で、北海道のスケールの大きさを最初に実感した。

その後、仕事で何度か北海道に上陸したが、渡道手段は飛行機で、千歳空港からバイクに乗り、道東や道北を巡ることが多かった。

そのため、道南を走るR5を利用することはなかった。

函館。

5号線は北海道の玄関口、函館駅前(といっても今や飛行機が主流となり、イメージが薄れつつあるが)からスタート。長万部あたりのながーい直線路はオービス、ネズミもおさかんなので要注意。


函館。

函館山から函館の「くびれ」を望む。右手の太い筋が5号線。


R5を全線走破したのは'80年代の半ばだった。  

会社(編集プロダクション)に無理を言って1週間超の夏休みをもらい、単独で2度目の北海道ツーリングを敢行した。

TX500を駆り約2週間の日程で北海道を回った'76年以来、約10年ぶりだった。当時乗っていたのはGS750EⅡで、そのときもR4をほぼ全線走り、青森からフェリーで函館に。

上陸したのは夕方で、当初は函館市内か近郊の民宿にでも泊まるつもりだった。  

予約はしてなかったが、過去の経験から飛び込みでもいけるだろうと踏んでいた。だが、宿は見つからず、R5で先に進み、郊外で給油したときスタンドの人に尋ねると、付近に民宿はないという。

すでに暗くなり、その夏は冷夏で革ジャンでも寒さを感じるほどだった。

とりあえず前進と思い、R5を北上して行ったが人家はなくなり交通量も激減した。

その時の目的地のひとつは礼文島だった。  

数年前に取材で北海道ツーリングし、稚内から礼文島に渡って1泊して、とても気に入り是非再訪したいと思っていたのだ。だからルートは単純でわかりやすいR5で札幌まで行き、そこから日本海側の国道をひたすら北上して稚内〜礼文島、という予定だった。

内浦湾沿いをしばらく走り、長万部から山間部に入ると周囲は真っ暗で、ニセコ〜羊蹄山近くでは寒さが増し、胴震いするほどだった。時刻は12時前後だったろう。

当然宿泊は諦めていて、夜通し走って札幌まで行き、終夜営業のファミレスで食事&休憩して先にと考えていた。

煌煌と光る青い月の下、バイクを止めて衣類を重ね、カッパも着た。  

R5を全線走って札幌に着いたのは2時か3時頃だった。

予定通りファミレスで2時間くらい過ごし、まだ暗いうちに出発した。

そしてその日の昼頃には稚内に着き、午後の便で礼文島に渡った(夕方に香深港着)。礼文島の民宿に2泊し、その後は道央にちょっと寄って、帰りも函館からフェリーを利用した。  

4年ほど前、某誌の仕事で千歳まで飛行機で行き、その後道南を数泊でツーリングしたときR5を久々に走った。

小樽〜余市間など部分的に少し、だったけれど…。

今後、また北海道を走りたいという思いはあるが、実現するかどうか、R5を走れるかどうか。

札幌

北海道一の大都市札幌。雪祭りが開催される大通公園の近く、札幌市役所あたりが終点。「世界三大がっかり」のひとつとも言われる?時計台もこの近く。

野口眞一
のぐち
バイクに乗って40年、二輪雑誌の仕事をして30年、の54歳。若い頃からツーリングが好きで日本各地を旅してきた。現在の所有車はトライアンフのサンダーバード(1996年型の水冷並列3気筒)で、13年乗り続けている。
[第4回国道4号線]
[第5回国道5号線]
[第6回国道6号線]
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