それぞれの道には、それぞれの風土、気候、環境などを積み重ねた表情がある。それはまた人生にも似ている。道は人生、道の数だけ物語がある。野口おやびんが走って来た幾多の道を、想い出話と共に語ろうか
第5回・国道5号線
(2010年11月29日更新)
北海道はこれまで10回弱、バイクで走っている。
個人的なツーリングは3回で残りは仕事。
最初に上陸したのは前回のR4のとき書いたように`76年の夏で、そのときR5を初めて走った。
ただ、岬と湖をメインに巡るルートで海岸線が多く、R5は初日に函館〜長万部間を利用し、終盤に手稲〜余市間を走ったくらいで、全線走破しなかった。
それでも、フェリーで着いた函館からR5を北上して、長万部手前の海岸線の真っすぐな道を走ったときは感動的で、北海道のスケールの大きさを最初に実感した。
その後、仕事で何度か北海道に上陸したが、渡道手段は飛行機で、千歳空港からバイクに乗り、道東や道北を巡ることが多かった。
そのため、道南を走るR5を利用することはなかった。
R5を全線走破したのは'80年代の半ばだった。
会社(編集プロダクション)に無理を言って1週間超の夏休みをもらい、単独で2度目の北海道ツーリングを敢行した。
TX500を駆り約2週間の日程で北海道を回った'76年以来、約10年ぶりだった。当時乗っていたのはGS750EⅡで、そのときもR4をほぼ全線走り、青森からフェリーで函館に。
上陸したのは夕方で、当初は函館市内か近郊の民宿にでも泊まるつもりだった。
予約はしてなかったが、過去の経験から飛び込みでもいけるだろうと踏んでいた。だが、宿は見つからず、R5で先に進み、郊外で給油したときスタンドの人に尋ねると、付近に民宿はないという。
すでに暗くなり、その夏は冷夏で革ジャンでも寒さを感じるほどだった。
とりあえず前進と思い、R5を北上して行ったが人家はなくなり交通量も激減した。
その時の目的地のひとつは礼文島だった。
数年前に取材で北海道ツーリングし、稚内から礼文島に渡って1泊して、とても気に入り是非再訪したいと思っていたのだ。だからルートは単純でわかりやすいR5で札幌まで行き、そこから日本海側の国道をひたすら北上して稚内〜礼文島、という予定だった。
内浦湾沿いをしばらく走り、長万部から山間部に入ると周囲は真っ暗で、ニセコ〜羊蹄山近くでは寒さが増し、胴震いするほどだった。時刻は12時前後だったろう。
当然宿泊は諦めていて、夜通し走って札幌まで行き、終夜営業のファミレスで食事&休憩して先にと考えていた。
煌煌と光る青い月の下、バイクを止めて衣類を重ね、カッパも着た。
R5を全線走って札幌に着いたのは2時か3時頃だった。
予定通りファミレスで2時間くらい過ごし、まだ暗いうちに出発した。
そしてその日の昼頃には稚内に着き、午後の便で礼文島に渡った(夕方に香深港着)。礼文島の民宿に2泊し、その後は道央にちょっと寄って、帰りも函館からフェリーを利用した。
4年ほど前、某誌の仕事で千歳まで飛行機で行き、その後道南を数泊でツーリングしたときR5を久々に走った。
小樽〜余市間など部分的に少し、だったけれど…。
今後、また北海道を走りたいという思いはあるが、実現するかどうか、R5を走れるかどうか。
- 野口眞一
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