それぞれの道には、それぞれの風土、気候、環境などを積み重ねた表情がある。それはまた人生にも似ている。道は人生、道の数だけ物語がある。野口おやびんが走って来た幾多の道を、想い出話と共に語ろうか
第9回・国道9号線
(2011年3月31日更新)
かつての山陰道を継承するルートともいえるR9を初めて走ったのは`74年の夏だった。
初のロングツーリングで九州を旅したときの帰路にR9を利用した。バイクはTX500だ。
当時は、自分が海なし県の群馬に生まれ育ったためか海沿いを走るのが好きで、九州の門司から下関に渡ったあとも北上して海辺りを走り、長門を経由して萩まで行き、市内の民宿に泊まったので、R9は使わなかった。
だがその後、萩から益田に至り、そこから鳥取までの区間はR9をひたすら東進した。
途中、出雲大社に参拝したりして記念に写真も撮った。
別に良縁をお願いしたわけではないが、立派かつ厳かな大社に感じるものがあったのだ。
松江か米子あたりで泊まり、鳥取に着いたときは砂丘にも行ってみた。
そこでも写真を撮ったが、砂丘は想像していたよりもスケールが小さくて、ちょっと拍子抜けしたことを覚えている。
鳥取砂丘から京都までのルートは、記憶がおぼろげだ。
ただ、前述したように海沿いを走るのが好きだったから、R9の鳥取〜京都間は山間を走る区間なので使わず、日本海を左に見つつR178号線を利用した気がする。
そうそう、思い出した。
R178で豊岡、城崎に寄った。その後丹後半島を回ったかどうかは定かではないが、舞鶴まで。
その後、南下する形で京都北部の大原まで走り、三千院近くの思い出深い民宿に泊まったのだけれど、どのルートを利用したのかよく覚えていない。
舞鶴からR27を南下してR9とつなぐのが京都までは最短だがずっと山の中だ。
舞鶴からR27を東へ走れば海岸線の区間もあって、小浜に至る。そこからは3桁国道のルートがふたつある。
曲がりくねって京都まで南下するR162の周山街道と、R27〜R303〜R367とつなぐ鯖街道だ(小浜から一度東に進んでから南下する)。
でも、前者だと京都西部の高雄に至る。後者は大原だ。
大原に着くまでに市街地を走った覚えはないから、鯖街道を利用した可能性が高い。
ただし、周山街道を京北まで南下し、そこから東に進み、鯖街道に出て大原に、というルートも考えられる。う〜ん、どっちだったか。
どっちでもいいか…。とゆーわけで、初回のR9は益田〜鳥取間を走ったわけである。
夕暮れ時、飛び込みで入った大原三千院近くの民宿は、民宿とはいえさすが京都、と思わせる宿で、建物に風情があり、飛び込みだったにもかかわらず夕食も出してくれ、その献立が充実していて、とても美味しかった。
料金はそれなりに高かったが大満足。その後も何度かツーリングで京都に寄ったときにはお世話になった。
数年前も30年ぶりくらいに泊まった。が、代が替わって昔の雰囲気はなくなっていた。少し寂しかったが、時の流れで仕方ないと思ったのだった。
2度目の九州ツーリングを楽しんだ`77年の夏にもR9を走った。
熊本出身のバイク仲間の帰省の旅に同行して熊本まで行って、その後、俺は奄美大島に渡ったりしたが、九州を後にしての帰路に、再びR9を使った。
初回のときと同じようなルートだったと思う。
3度目はいつだったろうか。
`80年前後に若狭や京都にタンデムツーリングに行ったときか…。
仕事で`90年代初頭、豊岡に行ったことがあり、車移動で自分では運転しなかったが、京都から福知山あたりまで使ったように思う。
同じように仕事&車で、大山方面に行ったときも使っているだろう。
数年前に広島ツーリングに行った際も走った。
でも、すべて100kmに満たない短区間だった。
山陰地方はあまり縁がないし、東京からは遠い。
この先、バイクで走る可能性は少ないだろう。特に鳥取以西は。
- 野口眞一
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