それぞれの道には、それぞれの風土、気候、環境などを積み重ねた表情がある。それはまた人生にも似ている。道は人生、道の数だけ物語がある。野口おやびんが走って来た幾多の道を、想い出話と共に語ろうか
第12回・国道12・13号線
(2011年6月28日更新)
なぜ今回R12/R13のふたつの国道を一緒にしたのかといえば、R12は多分一度しか走ってないし、R13は利用した回数は多いものの一度にほぼ全線を走ったことがなく、印象に残っていることもあまり多くないからだ。
まずR12だが、'80年代半ばに2度目の北海道ソロツーリングに行き、礼文島など道北を走った帰路、初めて利用した。
ある知り合いが砂川の出身で、実家は和菓子屋さんをやっているということを聞いて、親近感を覚え、どんな街なのか興味を抱いていた。
また地図で見るとR12の滝川〜美唄間は20km以上はあろうと推察される長い直線で、さすが北の大地=北海道の国道だ、と思い、是非走ってみたいと思っていたからだ。
稚内を後にしてからオホーツク海側を走り浜頓別から内陸に入った俺は、南下して名寄を経由し旭川に至り、そこからR12で札幌を目指したのだ。
ところが期待した長い直線路に感動しなかった。
というのも、オロロンラインのような平原の中を真っすぐに伸びる一本道を勝手にイメージしていたのだが、R12は平地を通っているが左右に家屋が連なり、それが数kmも途切れることがなくて(俺の記憶では)、確かに道はまっすぐだったけれど風景的に面白味がなかった。
混雑した市街地がずっと続くわけではないのだが、日常、大都会の道を走ってばかりだったから、北海道に来てまで街中を走りたいとは思わなかった。だから、その後、仕事や個人的な旅で北海道をバイクで巡ったときもR12号を走ろうとは思わなかった。
- [第11回 国道11号線]
- [第12回 国道12・13号線]
- [第13回 国道14・15・16号線]
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R13は部分的には数10回使っているだろう。若い時から東北ツーリングに出かけた際に利用してきたし、ここ10年来でも5、6回は通っている。
山形の白鷹町に目黒高校定時制のときの同級生が住んでいて、ソロのときも息子とふたりで東北を旅したときも立ち寄って世話になっているのだが、その白鷹町の近くをR13が通っているからだ。
福島〜米沢間は希だが、米沢〜山形〜天童〜尾花沢〜横手〜秋田のR13は、部分的に結構走ってきた。4、5年前、平泉から田沢湖〜十和田湖〜八甲田山〜三陸海岸を回ったときも、尾花沢〜山形間を走った。尾花沢近郊のそば街道(13号ではないと思う)沿いの店で旨いそばを食べ、その後、雨降りしきるR13をひた走って白鷹の友の家までたどり着いた。
去年の夏も息子と東北を旅した。
東京を発って初日に白鷹の友の家に世話になり、翌日は男鹿半島に泊まったのだが、そのとき内陸部を走りR13を使った。新庄から横手〜大仙あたりの区間だ。
で、俺は興味がなかったのだが息子の要望で、横手市街でB級グルメで有名な『横手やきそば』を食べた。
帰路はR7を利用して海岸沿いを酒田まで走り、鳥海山に寄ってみた。
山麓の曲がりくねった道を駆け上がると、眼下に雄大な景色が広がり、目を転じて見上げれば、緑深い山頂が…。平地の気温は高かったが、標高を稼ぐと涼やかな心地よい風が吹き渡ってとても気持ちよく、コーナリングも楽しめた。
酒田では運河と倉庫で知られる観光地でひと休み&昼食。
その後内陸部を進み、R13の手前で3桁国道に入り、南下して米沢に出、磐梯ゴールドラインで裏磐梯に。
秋元湖から少し入った山間の宿に世話になった。そこのこだわりの夕食が美味しかったなあ。
昔、若い頃は、いろんな場所にツーリングに行く場合、とりあえずわかりやすい幹線道路、1桁または2桁国道を利用することが多かった。
初めての地を走るときは、それが無難で距離や時間も読みやすいからだ。
ただ、バイク旅を重ねて少しづつ学ぶうちに、番号の若い国道で大きな街に近いところは交通量が多いので避けるようになった。
ここ20年はなるべく空いていて気持ちよく走れる3桁国道や県道をつないだルートを使うようにしている。
だが、諸事情により幹線国道を使うこともある。今後も東北に出かけた折りにはR13を部分的に利用させてもらうだろう。
- 野口眞一