Hi-Compression Column

順逆無一文

「右折矢印の時に
    Uターンすると捕まりますよ」

(1月27日更新)

編集部の物知りマン、タカハシが意外なことを言っていた。Uターン禁止の交差点じゃなければ、右折矢印でUターンできるものと漠然と思っていた。確かにやってはいないけどなぁ~、なのだが。

ネットで調べると、これはちょっとした話題になっていたらしい。「キップ切られるんですか?」、「前のクルマがUターンしたのに続いてUターンしたらオレだけ…」、「後ろの右折車を次の青信号に変わるまで一緒に待たせろってのか!」、「クラクションビービーで、ど突かれそうな雰囲気でもUターンしたら捕まるよ」、「青信号でUターンできないうちに右折矢印になってしまったら、仕方ないので右折して左折・左折・左折で元来た方向に戻るのが正解」、「法律は法律だけど、取り締まりの有無で判断すれば?」

けっこう取り締まられている例があるのでしょうか。直接身近な体験者から聞いたわけではないので、あくまでネットの書き込みを信じれば、なのですが。

じゃあ、法律上はどうなっているんだろうと道路交通法(以下道交法)をひっくり返してみた。

第七条(信号機の信号等に従う義務)として、

『道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない』

とさらりと書かれている。その他には、勝手に信号機やそれに似た装置を設置してはいけない、とか、信号機を操作したり壊したりしてはいけない、公安委員会が危険防止のため必要なら設置できる、などなど当たり前といえば超当たり前のことが盛られているだけだ。ま、“権利の時代”ですからいちいち法律で定めておかないとトラブルの元、ということで、法はどんどん粗製濫造(粗製は余計ですか)されていくんですな。

で、もう少し信号機の話題に関連するものはないのかというと、法というものは理念から入っていきますので、実際に身近な生活に係わってくる部分は道交法でも、道交法施行令や道交法施行規則というもので定められてます。

その道交法施行令の第2条(信号の意味等)というところに初めて具体的な記述が出てきます。

信号の3色の意味から始まって、歩行者用信号の意味、そして、青色矢印。

信号の種類『青色の灯火の矢印』として、信号の意味『車両は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。この場合において、交差点において右折する多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進する多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両とみなす』、後半は2段階右折が必要な原付などにふれたものなので、前半に注目です。

小宮山幸雄
komiyama
“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は“閼伽の本人”。


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U-TURN singoki


U-TURN singoki

「矢印の方向に進行することができる」。ということは『矢印の方向以外には進行できない』ということですね。取り締まりが行われているとすればこれが根拠になっているのでしょう。

右折矢印は、あくまで右折。右折して更に右折するUターンは、右折+右折という概念ではなくやはりUターンという別の行為!? なんだか詭弁のようですが、実際に国道20号(甲州街道)と山手通りとが交差する初台交差点にはUターン矢印の信号機があるのですから、東京都の公安委員会としては明らかに右折とUターンは別物と認識している、というわけですね。あ~スッキリ…

じゃないって。

一般市民の感覚から言えば、右折矢印が出ているということは、対向車が来ないわけですから、Uターン禁止の交差点じゃない限り、そして中央分離帯がきちんとある交差点などでは、右折+右折のUターンをさせた方が明らかに交通の円滑な流れを作り出せるはずでしょう。Uターン可の交差点では右折車とUターン車が混在していることがほとんどです。

ちなみに道交法が存在する理由として、 第一条(目的)にあるように『この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする』と声高々に謳っているのです。

地域によって、警察署によって、さらには警察官によっても微妙に解釈が違っているのでしたら、法の下の平等などという大義名分は消し飛んでしまっているわけですね。まあ、もともと使う人間によって結果が違ってしまうというのが法律というものの限界ではありますが。

推測するに、右折と一緒にUターンをさせたくない理由は、右折矢印が消えた途端に歩行者側の信号が青になって歩行者が一斉に渡り始めるでしょうから、Uターン車が(黄色の間合いが無く)直前まで走っていては危険ということなのでしょう。でもそれならUターン信号の場合も同じことですよね。

いずれにせよ、こんなすっきりしない法令を使って取り締まっているとしたら、明らかにおかしいです。

「法は法ですから」の一辺倒で市民を犯罪者扱いするサラリーマン警察官に問題意識を期待する方が無理というものなのでしょうか。

確かに点数稼ぎにはもってこいの都合の良い解釈が出来る法律ではあります。

ちょっとでも問題があるなら、取り締まりではなく、警察庁通達にもあるとおり“指導”で済ませる案件でしょう。そして法律自体をもっときちんと納得のいく法律に改めるべきでしょう。といっても立法府の国会があれじゃあ、取り締まり云々以前の問題ですね。

実際に取り締まられた方がいらっしゃいましたら、体験談を読者コーナーにお寄せいただけると助かります。取り締まりにあたっている警察官の方からの投稿もお待ちします。

            (小宮山幸雄)


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