Hi-Compression Column

フツーのおとうさんのバイク生活・シーズン2

タカヤスチハル
タカヤスチハル
「もう30年以上バイクに乗ってます」と威張れるくらいず~っと乗り続けているのにちっともうまくならないへたれライダー。ふつーのお父さんは逆境にも負けず、ささやかなバイク生活を営んでいます、が……

「やっぱりバイクは自己満足です」

(2011.6.1更新)


昨年の春、SR400がインジェクション仕様になって復活して以来、僕は「SR500の再販も在り得る! 出たら必ず買う!」とばかり500円玉貯金を始めたのだった。

それから約1年、僕の(勝手な)思いはやはりヤマハ様には届かなかったのだろう、今の所SR500の再販に向けた動きは無さそうだ(あ、もちろんヤマハ様には全く非はありません)。

僕は例年春になると何故か「ビッグシングルが欲しくなる病」を発症するのが常で、あ〜もう我慢出来ない、こうなったらSRX600の中古買っちゃおうかな〜、とゆー思いがここひと月程フツフツとこみ上げて来て、バイクショップのホームページのユーズド欄を眺めたり、某オークションをチェックしたりと結構ココロ動いていたのでした。

そんな矢先の週末、友人がSRV250からゼファー750RSへステップアップしたと70kmかけて見せに来てくれた。20世紀生まれのバイクとのことだが、とてもきれいで程度が良い。へえ〜、バイクの10年(以上)落ちってのは(もちろん使用状況とマメな消耗品の交換にもよるんだろうけど)全く古く見えないのねー、ととっても感心してしまった。

なんだかSRX600の欲しい気持ちを更に背中からグイグイと押されたような感じである。事実「オマエも買っちゃえよ〜」などと何度も言われ心がグラグラと揺れる。 

そう簡単に言われても今でも2台バイクがあるのに「もう1台ご購入〜」とはいかねーよ、と反論しても「30年以上も前のバイクで苦労するのはもう止めた方がいいんじゃな〜い?」と言われると「そ、それはそうかも」と素直に納得してしまう自分がいる。

確かにバイクって、重かったりエンジン掛けるのに手間が掛かったり、置き場から出すのが大変だったり、さっと乗れない状況だとだんだん乗るのが億劫になって来るしなあ。

我が79年モデルのCB-Fクンは2週間乗っていないとエンジンを掛けるのにとてつもなく儀式(要するに手間暇)を要求してくる。キャブのガソリンを抜くところから始まって最悪ブースターケーブルでバッテリー繋ぐまで、いろいろいじらないと動き出さない。御機嫌ナナメだと出発不能にも成りかねないのでツーリングの時は前日整備が必須である。

「じゃ、まあ折角ですから軽〜くツーリングでも行きますかぁ!」と誘われても絶好調完全整備済のゼファー750に対し、我がCBクンは実は3ヶ月もほったらかし状態である。

キャブのガソリンを抜き、祈るような気持ちでセルを廻すと、かなりカブリ気味ではあるがエンジンが掛かった! すぐに止まってしまうけど掛かる。こうなれば何度かトライする内にうまく回転をすくいあげることが出来る。バッテリーよ耐えろ!と祈りながら何度もトライする。

なんというキセキ(とまで言うとオオゲサだが)。3ヶ月ほっておいた32年前のバイクがちゃんと普通に(でもないか?)エンジンが掛かるのである。正直、心にジンと来ました。「ずっと冷たくしていたのにキミは待っていてくれたのか」とゆー感じ(かな?)。

チェーンに給油し、フロントフォークの汚れを落とし、エンジンオイルの量とタイヤの空気圧を確認するとなんじゃかんじゃでやっぱり1時間位は掛かってしまう。

つい先程までの「もう古いバイクで苦労するのイヤだ病」はどっかへ消えて、「ゴメン、来週にでもちゃんと整備してあげるからね」とアイシテル気持ち全開である。

とゆー訳で実に3ヶ月以上振りに、突然のツーリングに行くこととなったのでした。



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突然過ぎてぜーんぜん整備もされてないのに、果たしてツーリングに行っていいのかしらん? などと一抹の不安もよぎるのだが、何しろ相手はノリノリで「そこらのキッサ店でお茶でもしよーよ」位で済ます訳にもいかなそうである。

従って最初は恐る恐るCBクンの御機嫌を伺いながらの走行となった(聞けばゼファー君も今日が2回目の走行なんだそうで、ま、2台ともゆっくり走った方が良さそうだ)。

5月の晴れた土曜日は正に初夏そのものとゆー気持ちの良い日差しで、風も乾いていて、バイクで走るのにふさわしいお天気だ。

今僕の住んでいる名古屋は、郊外へ20kmも走るともう、クルマもまばらなくねくね道が現れるかなりありがたい環境なので、午前11時半からの出発でもぜーんぜん遅すぎるということはない。

市街地から3桁国道を40分も走り、郊外のくねくね道になってから一旦休憩、空気圧をもう1回チェックする。3ヶ月もの放置プレイの後ですもの、これくらいの配慮はね。

空気圧は良好、ブレーキもサスも問題なし、とチェックが完了したら、さあいよいよ楽しい時間の始まりです。

我がCBクンもそうだけど、古いバイクだからといって、「走らせる楽しさ」では最新の高性能バイクと何も変わらない。別に「古いバイクの方が楽しい」とまでは思わないけど、「古かろうが新しかろうがどっちも楽しい」とはしみじみ思う。ま、古いバイクが楽しいためには「走る・止まる・曲がる」がちゃんと整備されてないといけないんだけど、ね。

実は僕にとってはこのヘンが最大のテーマで、この古くてでかいバイクの「走る・止まる・曲がる」をきちんと維持できるのか、をいつも悩んでいる訳です。SRXみたいにシンプルなバイクだったら自分でイジれる所もっと多いのになー、なんてね。

で、今回久し振りのツーリングに行って、正直僕は悔い改めました。別に愛車自慢している訳じゃないけど(してる?)、良いんですわこれが。

何が良いって、ナンだか僕の思い通りに曲がってくれるんですよ。コーナー手前でブレーキ掛けて減速して、フロントとリアのブレーキをパッと離すとその瞬間す〜っとバイクが寝始めてくれるこの感覚。あれれ、コイツこんなに言うこと聞くヤツだったっけ?って感じ。そしてその後加速していくと段々バイクが起き上がってくる感覚。僕がここで起き上がって欲しい、と思うタイミングでピタリと起き上がる。「お〜このタイミング!」って感じ。上手く書けないけど分かってくれます? 

最初はぎくしゃくしていたのに、走るほどにフィットしていく感じ。思わずヘルメットの中で「楽しー」って叫んでしまった位気持ち良かった。

「やっぱオレのCBめちゃんこ良いわ〜」う〜ん、我ながら究極の愛車ジマンである。大きな勘違いであろうことは分かってるのだけど、でもみんなきっと自分のバイクってこんな風に勘違いしているのだろうね。「オレのバイク最高!」そう思いながらせっせと整備していくのなら、それはきっと僕とCBクンにとってはとてもシアワセな事だよね。

とゆーことで、「走る・曲がる・止まる」をいつまできっちり維持出来るのか不安を抱えつつも、「やっぱりCB楽しい〜」と今シーズンもスタートしていくのであった。

ところで今回とても良く整備されたゼファー750に乗せてもらって案の定感心した。なるほどこりゃー世間で言う通り、なかなかの名車だわ。こじんまりとしていて、でもポジションはゆったりとしているし、パワーだってけっこーモリモリとあるしさー(体感では僕のCBクンの1.5倍はあるなあ、って感じ)。見た目の鉄のカタマリ感もいいですねえ。

最近「ヒトのバイクに乗ってみる事って結構大事なんじゃないかな」と思うようになってきた。やっぱし自分のバイクだけずっと乗り続けていると、自分のバイクの欠点も長所も分からなくなるものね。世の中一般のブレーキの効き方が分かっていないと自分のバイクのブレーキの劣化に気付かないかもしれないし。

そういう意味で今年は、なるたけヒトのバイクに乗せてもらって色々なバイクの良さを味わいたいなー、僕のバイクにも乗ってもらって感想を聞きたいなー、なんて思っております。

ツーショット


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