Hi-Compression Column

ハマ屋

濱矢フミヲ

日本唯一(自称)の毒舌マニアックバイク評論家。最近はオフにハマったハマオフです。草レースで1等賞もとりました。唯一の自著マニアックバイクコレクション上の巻&下の巻(各巻933円+税)好評発売中。本屋さんにない場合は「モーターマガジン社発行のマニアックバイクコレクション上の巻、下の巻」と注文してね。マニアックバイクは兄弟誌ミスター・バイクBGで連載中。あわせてお楽しみください。

マニアック&マイナーネタに滅法強い濱矢フミヲが主催する、マニアック親睦秘密でもない結社「マニアックバイク興業」がお送りする、ジャンルなきオモシロネタのブログというか、ヨタ話の数々。目標、毎日更新!(できたらいいな)

忘れたことにやってくる。いつぶりの更新だろうか。

最近、TVでよく耳にするが

『健康に問題のないレベル』というコメント。

ワゴンセールの商品みたいに無造作に使われていて、

どんなことがあっても、結びになっていることが多い。

その裏付けについて、「あやしいこともある」と

とささやかれているが、事実の確認をすることが出来ない私たちには判らない。

だいたいの場合、『ただちに』という副詞が頭についている。

そうなると余計に気持ちが悪くなる。誰だって、「じゃあ時間が経過するとどうなんの?」と思うのが人の常。

でも、いまのところとても便利な一文である。

ということでボクの日常にあてはめて使ってみた。

「エンジンオイルがケース内でコーヒー牛乳になっていたが、ただちに健康に問題のないレベル」

「エンジンから変な音がするが、ただちに健康に問題のないレベル」

「ただちに健康に問題なレベルで、仕事が減っている」

「ということでただちに健康に問題なレベルで、年収ダダ下がり」

「社会の窓を1日全開したままだったが、ただちに健康に問題のないレベル」

「原稿の締め切りを過ぎているが、ただちに健康に問題のないレベル」

「ボクは、ただちに健康に問題なレベルで、土の上で遊んでいる」

「この間、背負い投げ状態で転倒して右手がとても痛いが、ただちに健康に問題のないレベル……」(2011.4.7更新)



東京バイク置き場難民。

「バイクの駐車違反取締が厳しくなったのに、バイクが駐車場できる場所が少ないのが現状。出先でどうすりゃいいんだ!」

という問題だけでなく、こと東京都内においては、さらに自分の住んでいる場所にバイクを置くのさえ大問題なのである。

ボクが住んでいる都内、世田谷区の賃貸アパートには

立派な屋根付き駐輪場があって、建坪率のキビシイ地区(だから高い建物が少ない)ということもあってスペースにも余裕がある。

しかし、バイクは置けない。契約でバイクを置くのは禁止なのだ。

理由はワカラン。都内の賃貸物件で「バイク禁止」なところは少なくない。


「じゃあ置ける物件にすればいいんじゃ」と言われそうが、

家族もいるので、住むところに関してはどうしてもバイク以外の項目のプライオリティーが高くなってしまう。


それでバイクはどこに置いているかというと、月2万数千円で借りている駐車場の後方と、家からクルマで40分のところに借りている コンテナの中


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  • 駐車場は家から100mほど離れた場所にある。

    最初は、家のすぐ目の前にあった駐車場だったけど、ある日、「新しいアパートを建てるので出て行ってくれ」という内容を丁寧に書いた1枚の書類が来て追い出された。

    土地を持っていない弱者は言いなりっす。

    一応、微力ながらも不動産屋に「そんなごむたいな」と訴えると、「新しい建物にも駐車場が出来るから」との返答。

    それで今借りている場所へ移った。

      都内で駐車場を借りると敷金礼金を取られる(取られないところもあるけどね)。

    なんじゃぁそりゃあ!」と叫びたい事実。

    確か、前家賃も含めて8万円くらい払ったと思う。


    そこにした決め手は、広いこと

    少し入れにくい場所なのが幸いしてスペースに余裕をもたせている。

    フルサイズのアメ車も置ける横幅に、フィットクラスの小型車を縦列駐車することも可能な奥行き。

    自分の車を置いて、バイクを3台くらいは置けるかな。


    普段はそこにKSR110を置いているのだが、ある日、ガソリンタンクに「このバイクは無断駐車です。撤去します。連絡先○○○○」と書かれた紙がガムテープでしっかりと貼られていた。 

    「ええええええええええっ!」

    愕然。確かにグレーな置き方だけど、このスペースを借りているのはボクだし、はみ出しているわけではないので問題はないはずなんだけど……。

    恐る恐る電話したら大家が出て、「えっ、あれはハマヤさんの? そりゃ失礼」と。

    どうも第三者が勝手に置いていると思ったらしい。

    ちなみに、新しい建物を作るからと追い出されたところには、その後、数は少なくなったけど駐車場が出来た。

    近い方がなにかといいので、また敷金礼金を払っても良いから「借りたい」と申し出たところ、

    「新しいアパートの住人が優先なので」と断られた。

    もう笑うしかない─────世知辛いなぁ。


    一方、コンテナは周りが広いからその前でバイクの整備も出来でとても気に入っている。


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  • 駄菓子菓子。

    この間、突然「撤去するから出てね」と申し渡されたのである。

    それも猶予は1ヶ月しかない。

    「えええええええええええええええっ!」

    “ラブストーリーは突然”に、じゃなく“出て行けは突然に”である。

    中には工具だけでなく、スタッドレスタイヤや、バラバラのRZ50なども入っている。じゃあ「外に置いておけばいい」は無理。


    ということで只今、急いで次のコンテナを探し中。トホホ。

    またお金がかかる。

    東京でバイクを持つことはかなり大変でストレスが多い。

    仕事柄地方に住処を移すのは難しい。

    2輪専門誌でライターやっている身ながら、本気で「いっそのことバイクとその関連グッズを全部手放そうか」と思ったりもした。

    大金持ちだったら気にしないでいいんだろうけど、酷暑なのに寒風吹きすさぶ二輪ライター業。

    都内でバイクを維持するのもムズカシイ。

    (2010.9.17更新)※やたらとお金にならない仕事(お金にならないから仕事じゃないけど)やら雑用が剣岳のごとく立ちはだかり更新が2ヶ月ちかく伸びてしまいました……すいません。




    マニアックカタログコレクション


    バイクのカタログは、メーカーがそのバイクを一生懸命アピールしようと、凝った写真やデザインのものが多く、見るととても楽しい。特に古いものは、そこから流行などの時代背景が垣間見えてくるときもある。

    中には「????」と思うようなものもあったりして、それがまた面白い。面白いものはみんなで楽しもうということで、不定期連載として微妙にストライクゾーンを外した、思わず「ニヤリ」としてしまうカタログを紹介していくことにした。

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    ※写真をクリックすると、大きくなります。

    記念すべき第一弾は、ホンダの「ボーカル」だ!

    ────「なぜ最初がボーカル?」、それは、そこにボーカルのカタログがあったからだ。

    ボーカルを知らない人もいるだろうから(知っている人の方が少ないかもしれない)、ちょっと説明する。

    1983年に発売された原付スクーターで、いちばんの売りは静かで燃費の良い4ストロークエンジンを搭載したこと。変速はベルトとプーリーを使ったVマチック。

    なぜ4ストロークが売りだったかというと、当時の原付スクーターは2ストロークエンジンがほとんどだったから。ほら、エミッション規制が厳しくなるちょっと前まで原付スクーターは2ストロークエンジンが定番だったよね。

    排気量が小さい中である程度の走りを求めると2ストロークエンジンになるわな。ホンダは前年の1982年に、テクノなスクーター「スペイシー」に4ストロークエンジンを積んでいたから、驚きはしなかったけど、当時高校生でRZ50に乗るチェリーボーイだったボクは、2ストローク勢に比べ圧倒的に遅いボーカルの存在意義がまったく理解できなかった。

    同じ年に発売された、冗談としか思えない姿の「ビート」は2ストロークエンジンで7.2ps。ボーカルは4psしかない。まあバイクはパワーじゃないけど、確実に見劣りした(血気盛んな高校生には)。

    2ストロークの「ビーン」という音とは違い、「シャリシャリシャリ」っと静かに走るボーカルは不気味だった。現国の女性教師が通学に使っていたのでよく覚えている。九州だったから「ボボカル」なんて呼んでいたっけ。でも燃費はすこぶる良かったんだよね。


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  • ボーカルのカタログの表紙……。なんだこれは……。
    写真の意図がまったくワカラン。
    この異国のさわやかなボート部員の前に置かれたボーカルの写真を見て「うぉー、ボーカルが欲しー!」と思う人がいただろうか。

    「風と友。歌と友。ボーカル。」というコピーに腹を抱えて笑った。携帯でメールを入力するのに慣れないうちのオヤジが送ってくるような文章だ。
    しかしこの中の誰がボーカルに乗ってきたんだろう。右から2番目の、オリビア・ニュートン=ジョンとシーナ・イーストンを合体させたような女子が乗ってきたと思ったけど違ったみたい(下の写真を参照)。


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  • 走っている写真のタクシーと、「Harrods」から、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の首都ロンドンというのが判る。
    ラグビー部のハイソックスと半ズボンっぷりがいいね。でも、部室にボーカルは持ち込まんだろう。練習中も側に置いているという取ってつけたような写真が微笑ましい。
    説明文には「トラディショナルなデザイン」と書いてある。確かに登場した時からデザインは古くさく見えた。
    奇をてらわないデザインが好みで、速さなんて気にしない人向け。


    「トラッドな美しさ、このフォルム。」
    「必要にして充分。ハイ・クォリティを誇りとする機構と装備。」────
    たのむ笑い殺さないでくれ。
    ハイ・クォリティな機構と装備の中にはウインカー・アラームも入っている。これってバッテリーが弱くなると間抜けな音になるんだよね。
    リッター130kmという燃費に驚愕。タンクは4Lだから、単純計算で満タンからガス欠まで520kmも走るのか。インサイトもビックリ。さすがスーパーカブを生んだホンダだ。
    ボーカルオーナーは「この前ガソリン入れたのっていつだっけ?」と思うんだろうな。


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  • オプションのウインドシールドがいいね。でも車体価格の1割以上もする値段という立派な品だ。
    この時代、ホンダは原付スクーターのことをファミリーバイクと呼んで、今までバイクに乗らなかった主婦層を引き込んでいた。実際に多くのおばちゃん達が乗った。
    ところで、ファミリーバイクってもう誰も呼ばないから、保険のファミリーバイク特約という名前はどうかと思う。
    ボーカルにボディカラーが3種類もあるなんて知らなかった。今の感覚だと「ジェントリー」とか「トラッド」とかを原付スクーターに求めないよね。
    「子供っぽいスクーターはイヤ」という大人用のスクーターということだったのだろう。
    ボーカルのカタログはツッコミどころ満載だけど、あまりこだわらず、価格が安ければそれでいい、となってしまった最近のモノの選びと違い、昔は、いろんなこだわりや多様性があり健全だったんだなぁと思い出させてくれた。

    (2010.7.21更新)※次回更新も可及的速やかに前向きに検討して参ります。←ハマ屋マニフェスト




    1本のタイヤレバー


    セロー250で林道を旅する企画「ほんの少しの大冒険」の第1回目は読んでもらえただろうか。

    セロー250の良さ、林道を走る楽しさを多くの人に伝えたいと意気込んだボクは、
    ロケーションとかルートを確認するために事前に走る林道の下見に出かけた、ひとりで。

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    ※写真をクリックすると、大きくなります。大きくならないのもあるけど。


  • ボクのXR250Rはリアディスクの93年式。メインスイッチはない(笑)あるのはキルスイッチだけ。だからキックを蹴ればエンジンがかかる。ハンドルストッパーもないから見つけても盗まないでね。

    朝早くから秩父の山の中へ潜入し、予定していたルートの半分くらいにさしかかったとき、ボクの林道スペシャルである、XR250R(ME06)のリアが、たいしてスピードも出していないのにニュルニュルと横に逃げた。

    ……そう、パンクしたのだ、山の中で。

    当然、林道を走る者のたしなみとして、空気入れや工具は持っている。しょーがないと、ひとつ溜め息をついてリアタイヤを外した。

    浜松生まれ、アメリカ帰りのマイ17年落ちME06は、ナットひとつ緩めただけで、シャフトが入ったままリアホイール外れる。 腐ってもエンデューロマシンである。

    腐ってはないけどね。ちょっと腐っているか。
    まあそれは置いといて、ガソリンもまだいっぱい入っているし、バイクを横倒しにしたくない。

    こうやってサイドスタンドとそのへんに落ちてある木を支えに使えば、バイクを倒さずにやれる。

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  • さすが浜松製と感心しながら、ここまで外して気がついた…

    「じゃあチューブでも出してみっか」と工具バッグを見たら───

    ない! タイヤレバーが1本しか入ってない!!

    林道ではサイズがちょうどいいので携帯用として使っているKTCのタイヤレバーが1本しか入ってない。

    ええええええええええええええええええええええええええええええええええ。

    もしかして絶体絶命?!

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    『整いました
    「タイヤレバーとかけまして、柔道と解く」
    その心は
    「一本!に泣きます」
    ハマっちです……』


    困った、1本じゃあタイヤのビードをめくれん……。
    通るオフバイクを止めて、タイヤレバーを借りようかと思ったが、平日の林道なんて、バイクなんかこねー!

    バイクを諦めて歩いて山を下りることも考えた。
    山登りも趣味なので、どのくらいの距離をどのくらいの時間で歩けるかだいたい判る。

    そんな時、ふと目にとまったのが、短いプラスドライバー。

    もしかして、なんとかなるかも……。

    と、ダメ元とでやってみる。
    足でタイヤを踏んづけリムの深みに落として、タイヤレバーでビードを持ち上げ、その隙にプラスドライバーを差し込んで、
    ビードがもどらないようにする。なんの反り返りもないドライバーだから、嘲笑うかのようにビードはつるっと滑って元に戻った。

    気持ちはディスカバリーチャンネルでやっている「MAN vs WILD」のベア・グリルス。
    「サバイバル」のサトル少年。

    何度かトライしたら、やっとビードを持ち上げた状態でキープできた。

    チャンスだ。

    1本だけのタイヤレバーを差し込んで、えいっとやったら「ポコ」っという音がして出てきたじゃないか、

    愛しのビードちゃん。この方法を反復。助かったぁ。

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    チューブの穴をみつけたので、パッチを張ろうと思ったら、今度はパッチはあるけどノリがねぇーーーー!

    大丈夫、予備の新品チューブを持っているから。

    フロント用だけど(リアは18インチ、フロントは21インチ)。

    まあ大は小を兼ねるから、林道から脱出するくらい走るのはなんの問題もない、たぶん。

    タイヤを入れるのもプラスドライバーを使うから新品チューブに穴を空けないように細心の注意をした。

    組み上がってシコシコ空気を入れてみるなんとか大丈夫なようだ。完成だ、わ〜い。

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  • 携帯空気入れでビードを完璧に上げるまでやってる気力と時間がなかったので4.1kgf/cm2くらいパンパンに入れて走って山を下りた。

    人間やればなんとかなるもんだぁ。


    今回の教訓。

    出かける前に持ち物チェックをしよう!そうしないと変な汗いっぱいかくぞぅ。

    追伸

    「マニアックバイクコレクション」はミスター・バイクBGにお引っ越ししました。
    7月14日発売の8月号から掲載されますのでどうぞよろしくお願いします。
    そこで「マニアックバイクコレクション+RUN」ではマニアックなバイクに乗せてやってもいいよという太っ腹なオーナーさんを募集しています。
    バイクは汚くてもノンオリジナルでもかまいません。
    かなりのマニアックバイクでなく、ちょっとだけマニアックバイクでもかまいません。
    詳しくはミスター・バイクBG8月号143ページをご覧ください。応募お待ちしております。
    (2010.7.7更新)


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