メーカーの集まりである一般社団法人日本自動車工業会(自工会)の二輪車特別委員会は、各地の自治体などによる二輪車駐車場の整備実例を紹介した冊子『自治体の二輪車駐車場・事例集2011』を今年1月に発行した。
これは、自治体や駐車場事業者が二輪車駐車場づくりに取り組む際のヒントとなるようとりまとめたもの(冊子は自工会サイトからPDFファイルをダウンロードして入手できる)。そして自工会のマスコミ媒体向け情報発信誌モーターサイクルインフォメーションに、この事例集に収められた駐車場を抜粋し要約したレポートが掲載された。
それを活用して、増えたとはいえ現実的にはまだ圧倒的に少ない二輪車駐車スペース問題を、画像を核にして「中間集約」しておきたい。
全国の都市の駅前でよく見られるペデストリアンデッキ(歩行者用通路)の下に設置したのが仙台駅西口駐車場。
大震災に遭った仙台市は、実は二輪車駐車スペース施策の超先進エリアだ。
JR仙台駅西口には、日本で最大級といわれるペデストリアンデッキ(歩行者用通路)が設置されている。
仙台市では、このデッキ下の歩道部分を少し削って、原付16台、自動二輪車4台を収容する「仙台駅西口北第1路上自転車等駐車場」を設置している。すべて一時利用の駐車枠で、料金は8時間ごとに原付200円、自動二輪車300円だが、最初の2時間は無料とされており、利用者に好評という。
車道と接して設置されていることから、この付近での荷捌き自動車の違法駐車が減少する効果も生み出している。
広い道路の中央分離帯スペースを活用した大阪市・長堀橋の場合。
大阪市の中心部を走る国道308号線(長堀通り)は、幅15mもの広い中央分離帯を持つ幹線道路。
この中央分離帯には、バス駐車場や自転車駐車場も設置されているが、2009年4月から「長堀橋自動二輪車駐車場」も設けられ、活用されている。
一時利用のみの56台分の駐車枠があり、料金は1時間100円で上限が400円、最大で24時間の駐車が可能となっている。
広い道路の中央分離帯を活用するという意味で、各地でも応用が可能な方式といえる。
駅前のデパートに隣接した区道上に設置した東京・新宿駅新南口・高島屋横の例。
JR新宿駅南口近くのデパート高島屋は、駅前のショッピングモールとして利用客が多いが、ここに隣接した区道上に「新宿駅新南口路上自転車等駐輪場」が設置されている。
一時利用のみ32台分の駐車枠が設けられており、利用料金は2時間まで無料、以後1時間ごとに100円となっている。
設置される以前から、この場所は二輪車駐車需要が高く、放置二輪車が多かった。
この駐車施設が設置されたことで、交通秩序が大きく改善される結果となっているという。
神戸・三宮商店街が主体となって設置した、商店街と利用者双方のメリットが一致した路上駐車場。
神戸市の路上に設置された「三宮サンセンタープラザ前駐車場」は、地元商店街が市道の占用許可を得て設置したもので、民間が整備した二輪車の路上駐車場として、ぜひ注目しておきたい。
各地でこういう動きが増えれば…!
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